誘蛾灯

蛾は嫌いだ。

じっとしてるものと安心すれば、突然なにかに急き立てられるかのように飛び立つ。
かと言って必要以上に身構えれば、飛び立つ気配すら見せない。

あいつは一体何がしたいのだろうか。

小さな音さえどこまでも響きわたりそうな暗闇。
そこにぼんやりと浮かぶ誘蛾灯。
煌々とした光に群がるのは、何故か。

それはなにかに似ている。

不格好な羽ばたき。

杞憂に寄り添う。

光を求める。

だから。

蛾は嫌いだ。

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