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最新刊に寄せて「楠木建先生の言葉」

僕が敬愛してやまない一橋大学の楠木建先生から、拙著「未来の学校のつくりかた」への推薦コメントをいただいた。

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改革者は「構造改革」を待たない。
どこかで誰かが始めている。

楠木建(一橋大学ビジネススクール教授)
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楠木先生から推薦コメントをいただけるということ。それは僕の人生において歴史的な出来事だ。楠木先生は、ここ数年の僕にとって、ジブリの鈴木敏夫さんと並ぶ影響を受けた人。著書「好きなようにしてください」は大好きすぎて何度も読み返してボロボロだ。どうしても楠木先生の教えを直接受けたくて、先生が講師を務める日本元気塾(塾長:米倉誠一郎先生)に入塾したほどだ。

僕はここ数年、「米倉誠一郎イノベーション教」から「楠木建好き嫌い教」へのトランジションがあった。特にそのシフトが進んだのが、2018年5月から2019年3月までの約1年間の育児休業だ。育休取得の精神的支柱が、楠木先生だった。僕は当時29歳で、息子が生まれてからの育休をどのくらいの期間取得するかを悩んでいた。僕の中では人生でこんな機会はまたとないので、「1年間育休を取ってみたい」という想いがムクムクと湧いていた。しかし、会社の先輩からは「篤、29歳というのはビジネスパーソンとして、一番成長できる時だよ。その1年を育休に使ってしまっていいのかい?」と強くたしなめられることがあった。

そのやりとりを楠木先生に話すと、彼は言った。

「人生の選択は常にトレードオフです。決断をすれば、いい面も悪い面も両方引き受けなければいけません。ただすぐれた人というのは、そういった決断の中で、いい面をうまくすくいだしていける人のような気がします」

「個人的には自分も育休のような生活をしていたことがありますが、オススメです。僕の個人的な考えですが、人生は『なにかを達成した』ことよりも『豊かな思い出』のほうが大事な気がします。夫婦で育児にどっぷりつかるという思い出はとても得難い貴重なものですよ」

(スタジオジブリ熱風2018年10月号「僕、育休いただきたいっす!」第二回より)

僕はこの楠木先生の言葉を聞いて、スッと身体が軽くなったのを覚えてる。そのまま僕は上司にお願いして、約1年間の育児休業を取得した。1年の間、山あり谷ありな経験をした。それを記録するために書いていたら、その文量は7万文字近くになり、ジブリの熱風の誌面で連載を書き終えるまでに1年半も時間がかかったほどだ。

日本元気塾の卒業発表で僕は米倉先生と楠木先生に自分のプロジェクトを発表した。「育休で起きていることをしっかり体験し、それをジブリの熱風の連載で書ききりたい」というのが主旨だった。米倉師匠は手厳しかった。「それがどうした!?」「いつからそんな小市民的になったんだ」

「なるほど、小市民的か・・・」僕の心で木枯らしが吹いた。しかし、その隣に座っていた楠木先生は違った。普段と全く変わらない落ち着いた様子でこういった。「いや、イイ。すごくイイと思います。どうでしょう。せっかくなのでその連載は本にしたらいいと思います」

ジブリ熱風の連載は今年の1月号で無事に終了した(全17回)。楠木先生の言葉通り、僕は連載原稿を抱えて、出版社へ持ち込みを続けている。いまのところ3つの出版社から断られた。そうそう、先生。先週、4社目の出版社に手紙を投函したところです。


現在、新刊の帯を鋭意製作中。帯は米倉先生、楠木先生の夢の共演、ダブル推薦コメントです。

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