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Study25.人参をおいしいポタージュにするには、炒めてから煮るか、煮るだけか。

前回ニンジンと初めて真剣に向き合い、部位ごとの味の違いなどについて研究しました。前回の記事はこちらからご覧になれます。→(Study24.「人参は芯が細い方が味が濃い」は本当か。皮・肉・芯どこがおいしいのか。)

続いての今回は、「ニンジンの美味しさをダイレクトに味わえるポタージュを作ること」を目指していきます。

今回比較するのは「A 炒めてから煮こんでペーストにする方法」と、シンプルに「B 煮込んでペーストにする方法」です。この二つを比較するのは、過去に行ったゴボウのポタージュ実験(Study15.ゴボウポタージュを美味しくする方法。)からの流れもあります。

ゴボウの場合、「A 炒めてから煮こんでペーストにする方法」の方が断然美味しくなったため、今回のニンジンでも「同じ結果が出るのでは」と予想しました。結果からお伝えすると、予想とは完全に逆の結果になりました。結果を信じられず器に盛る際中身を逆に入れ間違えたのかと思い、器に盛る前の鍋のポタージュを味見してみたほどでした。驚きの結果になった今回の実験、ご覧ください。

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まずは、ニンジンを細切りにします。そして、同時に加熱をスタートしAは炒める工程から、Bは200mlの水から煮込んでいきます。Aは大さじ1の米油と共に炒め、Bにも後から同量の米油を入れます。

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5分たったらAにもBと同量の200mlの水を入れ煮込んでいきます。

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Aに水を加えてすぐのタイミングでも、煮汁の色が違うことが分かります。Aに水を加えてから5分煮込んだタイミングの煮汁を比較します。

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Aは水面に浮いた米油の黄色が目立ちます。Bはニンジンと同じオレンジ色です。味を比較すると、Aは「ほぼ水のよう」Bは「強い甘み」があり驚きます。この時点で、ゴボウの実験とは全く逆の展開です。

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さらに5分ほど煮込み、煮汁が亡くなる直前の煮汁を比較します。※途中、先に煮込み始めたBの煮汁がなくなったので100mlの水を足しています。両者とも5分前よりさらに色が濃くなっています。味は、Aは「少し甘み」が出ており、Bは「更に甘く」なりました。

煮込んだニンジンにひとつまみの塩・豆乳200mlを加え(炒める工程がなく米油が入っていないBには米油大さじ1も加えます)、ミキサーで攪拌します。

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ミキサーで攪拌すると、色の違いはなくなりました。ここから、味を比較していきます。

味に確かな違い。

両者とも甘みがあります。しかし、Bの方がコクが強くより「おいしい」と感じます。ゴボウ実験の経験からAの方が美味しくなると予想していたため、その結果をすぐに受け入れることができませんでしたが、確かにBの方が美味しく感じます。

ゴボウとニンジンの違いがわからない。

この実験を行いながら、ゴボウが炒めてから煮込んで美味しくなったのは「おいしい成分には脂溶性と水溶性のものがあり、炒めた時に脂溶性の成分が、その後煮込んだ時に水溶性の成分が煮汁に出ることで両方の成分が煮汁に出ることからより美味しくなるのではないか」と考えていました。しかし今回逆の結果になったため、その予想は間違っている可能性が出てきました。そもそも「旨味成分」と言われているアミノ酸は水に溶けるので、通常だと煮込む工程のみで美味しく仕上がるはずです。そう考えると、ゴボウが特殊な野菜なのでしょうか。

誰か教えて。

いろいろ調べはじめてはいますが、納得できる答えには行きついておらず謎は謎のままです。もし参考になる実験結果などの文献がありましたら本気で教えて頂きたいです。しかしこのまま立ち止まってもいられないので、次はこのポタージュをより美味しくするための混ぜ合わせ実験を行います。次回もぜひご覧ください。

逆の結果が出たゴボウ実験の記事です。
→Study15.ゴボウポタージュを美味しくする方法。

ニンジンに関する下記実験も、合わせてご覧ください。
→Study24.「人参は芯が細い方が味が濃い」は本当か。皮・肉・芯どこがおいしいのか。


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