Study85_5.「リンゴ」を一番シンプルで香り良いアップル・バターにするには?(手抜きの許容範囲 編)
レシピづくりの仕上げに、
手抜きできる加減を確認*
今回の実験では、次の2つの視点を持って進めていきます。
最後の煮飛ばし時間を減らしたら、いいことある?
火加減はどの程度神経質に気にするべき?
これまでの「アップル・バター」の関連記事はこちらから
Study85_1.下調べ編
Study85_2.グランマ・モーゼスが描いた「アップル・バターづくり」の方法を書籍から読み取る(下調べ編)
Study85_3.切り方 編
Study85_4.切り方・皮の有無 編
実験内容
今回つくったリンゴペーストはこちらの5種類
分かってきたこと
水をぎりぎりまで減らす、
もしくは煮込みを強火にすると色が鮮やかに
上2つは「ずっと強火」と「煮飛ばし時間が短い。水の量60ml」。この2つに共通して見えたのは、蒸し煮のときに火の通りが緩やかだったこと。火の通りが足りないのでは?と少し不安にもなった2つでした。
蒸しているとき、これまではリンゴから泡がぶくぶくと勢い良く吹き出し、見た目に火が通っている様子が感じられました。ミキサーにかける前にトングで掴む時も、リンゴがとろりと崩れてしまいそうになる程火が通っていました。でもこの2つは、泡の吹き出しが少なくミキサーにかける前もトングでしっかり掴むことができました。
水を減らすことでフライパン内の温度が上がりにくい可能性があり、それが結果的に緩やかな加熱になるがったのかと思います。また、不思議なことに強火すぎる火で加熱してもリンゴがトロトロにはなりませんでした。
逆にいうと、弱火で加熱するとトロトロになり色も濃くなりやすい。上がる水蒸気が少なかったり、火が一定以上強いとトロトロにはなりにくく、その代わり色が鮮やかになる、ということが言えそうです。
最後の煮飛ばしは、
10分ほどなら強火にしても大丈夫*
蒸し煮を強火で30分だと
流石に香りが飛んでしまう
先ほど色は鮮やかになった、とお伝えした「ずっと強火」のリンゴですが、香りはさすがに飛んでしまいました。完成したときも香りが弱いように感じ他のですが、トーストしたパンに塗って比較したところ、1つだけほとんど香りがありませんでした。
もう一つ香りの比較のために用意していた「蒸し煮までは【トロ火】、煮飛ばしから【強火】」のリンゴは、意外と香りの差は出ませんでした。強火で煮飛ばした時間は10分。一方香りがなくなってしまった「ずっと強火」のりんごは30分強火で蒸し煮していました。このとこから、香りを残すにはいつ強火にしたらダメか?というより、強火にかけるのを何分以下にするか?が大切と言えそうです。
実は、香り成分は細胞の中に入っているので、細胞が壊れたペーストにした状態で強火にかけると香りが結構飛んでしまうのではないかと懸念していました。ですが、結果的に4つ切りのリンゴを30分蒸し煮したときの方が香りに影響していたので、意外な結果となりました。
味と舌触り
色が鮮やか=シャリシャリ=酸味
色が暗い=舌触り滑らか=蜂蜜感
色・味・舌触りには関連性があることも分かってきました。色が鮮やかであるほど=少しシャリシャリ感があり=酸味がある仕上がり。色が暗いほど=舌触りは滑らかでねっとり感があり=蜂蜜感のある仕上がり になります。
どのつくり方にしていくか、悩みどころです。とっても悩んだのですが、今回のレシピ作成ご依頼主である東広島市立美術館の方々に味見をしてもらったところ「酸味があるアップルバターの方が好み*」という方が多かったので、酸味を残すことに注力しつつレシピを完成させることにしました。
実験はまだ終わりません。続きをお楽しみに*
最後までお読みいただきありがとうございます。頂いたサポートは「野菜のおいしい食べ方がもっと世の中に溢れるため」の活動や勉強のために使わせていただきますね。