Study85_4.「リンゴ」を一番シンプルで香り良いアップル・バターにするには?(切り方・皮の有無 編)
前回の実験でもやもやと少しずつリンゴのことが分かってきましたが、まだまだ確信が得られないので、引き続き実験を行っていきます。
これまでの「アップル・バター」の関連記事はこちらから
Study85_1.下調べ編
Study85_2.グランマ・モーゼスが描いた「アップル・バターづくり」の方法を書籍から読み取る(下調べ編)
Study85_3.切り方 編
実験内容
今回つくったリンゴペーストはこちらの6種類
前回、すりおろしがおいしく感じたものの舌触りの悪さが気になったので、攪拌したものとしないものを比較。酸化による味の変化をはっきりと確認するため、すりおろしの放置時間を40分から4時間45分に延ばしました。また、前回よりもより大きなカット「4つ割り」を採用。このサイズはグランマ・モーゼスの「アップル・バターづくり」と同じカット方法です。最後に、今回の実験で初めて「皮なし」を試します。
分かってきたこと
滑らかなのはとにかく「4つ切り」
味見の仕方として、「甘みの強さ」「甘みの種類」「舌触り」などおいしさの要素を分けて比較していったのですが、何よりも「舌触りの良さ」がおいしさに直結しているように感じました。そして、滑らかさが出やすいと感じたのは「4つ切り」でした。前回すりおろしの甘みが強かったので、ざらつきを改善するためミキサーにかけましたが、「4つ切り」はそれよりも圧倒的に滑らかになりました。こちらが4つ切りをミキサーにかけた後の様子。
白あんを思わせるような圧倒的な滑らかさでした。口に入れずとも滑らかさが分かりました。美しさすら感じます。
滑らかな方が甘みを感じやすい
「4つ割り・皮なし」までは同じ条件で、「ミキサー」もしくは「煮崩す」で比較をしたところ、「ミキサー」の方が甘みを良く感じました。「煮崩す」は「すりおろし」のようにトゲトゲしたざらつきはありませんが固形物が少し下に残ります。その舌触りが、甘みを弱く感じさせているように感じます。「すりおろし」ミキサーにかけたとしても、やっぱり「4つ割り」ほど滑らかさは出てきません。加熱前に大きくカットするほど滑らかになり、甘みも感じやすいペーストになります。
酸化させすぎると甘みが減りクセが出る
「4つ割り」に比べると、「すりおろし」でクセが出る
前回40分酸化させたリンゴが「蜂蜜っぽさ」が出ておいしくなったように感じたのですが、微々たる違いだったため今回は4時間45分と、とことん放置してみました。すると甘みが減ってしまったように感じました。前回感じた蜂蜜感は変わらずあったのですが、「クセのある味」が出てきて甘みをかき消してしまっているように感じます。神経質になって酸化を阻止する必要はなさそうですが、良い方向には向かっていないようです。
皮を入れると酸味が出て
皮を入れないと蜂蜜感が出る
「4つ割り・ミキサー」は同じ条件で、「皮あり」「皮なし」を比較した2つです。この2つはとてもおいしかったのですが、違いは酸味の強さと舌触りでした。「皮あり」の方が酸味が強く、舌触りが少しざらつきます。全体的にみても皮ありのものは酸味が強く仕上がっていて、皮なしは酸味がない代わりに蜂蜜感が強くなっていました。
皮を入れても香りはそんなに変わらない
香りをよくしたいと思いずっと「皮入り」で実験を続けてきましたが、今回本当にその効果が出ているのか検証しました。冷めたペーストだと香りが感じにくいので、トーストしたパンに塗りペーストが温かい状態で比較しました。すると… 差をあまり感じない… リンゴの香りはほのかにしてきますが、2つの差はあまり感じません。
香りを増やしてくれていると信じて皮を入れ続けてきましたが、アップル・バターの場合、違いは出にくそうです。ちなみに「ジェニーさんのりんご畑 APPLE BUTTER」はそういえばシナモンが入っていたのでシナモン香りが強く、リンゴ自体の香りは正確に判断できませんでした。
トータルしておいしいのはとにかく「4つ割り」
思い切って大きく切ること
今回試した切り方は「すりおろし」と「4つ割り」でしたが、トータルしておいしかったのは「4つ割り」でした。ミキサーにかけずに煮崩し舌触りは決して良い方ではなかった「4つ割り」ですら、全ての「すりおろし」よりもおいしいと感じました*おいしさのポイントとしてはとにかく甘みが濃いと感じた点です。
前回の実験では大きくても1/16だったので、4つ割りのさらに1/4の大きさ。中途半端に大きく切ってもあまり意味はなく、4つ割りまで思い切って大きく切ると良いみたいです*
つくり方を決定
今回はこの3つを守りながらアップル・バターのレシピを完成させようと思います。
切り方は4つ割り
皮は入れない
ミキサーにしっかりかける
皮を入れることは決して悪いことではなく、むしろ甘さの中に酸味があってもおいしさに繋がると思っています。ただ今回は「滑らかさ」を優先し、皮なしでつくることにします。長時間煮混む時は、皮が入っていても滑らかに仕上げられる可能性があると思っていますし、グランマ・モーゼスの描いた「アップル・バターづくり」では大量に仕込むため皮なんて剥いていないのではないかと思っています。今回はあくまでも、家庭で比較的短時間でつくることを踏まえ、この方法を選びました。
最後にやってみたいこと
レシピ完成しました!と言いたいところではありますが、もう少し確認してみたいことが。
激しく強火で煮込んだら本当に香りがなくなるか?味の変化はあるか?
メイラード反応させたらどうなるか?
この2つ、どうしても気になります。最後の悪あがきで、もう少し実験を続けてみたいと思います。続きもお楽しみに*
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