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今年公開された中で、最も「怖い」映画かも… 映画『バーバリアン』レビュー

今月から配信された、とある奇妙な映画について語りたい。動画配信サイト「ディズニー+」公開されている『バーバリアン』なのだが、さっき何気なしに見てみた。その感想なのだが、私が近年見てきた中でもとりわけ「異様」かつ「怖い」映画と感じた。なんでぜひ入会して見て頂きたい。ディズニー映画をはじめ、かなり豊富なコンテンツを誇る優良配信サイトなので。ってこうして書くと某ネズミランドのダイマの手先になったみたいだな。

就活のため、Airbnb(サンフランシスコに拠点を置く民泊提供サーヴィス)で借りたデトロイトの郊外に建つ物件に、真夜中に到着したテス(ジョージナ・キャンベル)だったが、ダブルブッキングのためか、既に先客の男キース(ビル・スカルスガルド)なる男がいた。家の管理者にも何故か連絡がつかず、近隣の宿も満席だった為、不本意ながらも一夜を共にする二人だったが……。

ミステリにせよ、こうしたホラー作品にせよ、兎に角序盤は「何が起こるかわからない」という状況が尤も楽しい、とうより怖いとは思わないだろうか。たとえば、本作の冒頭、女性のテスが怪しげな一軒家にやってきて、なりゆきで、見ず知らずの男と(別室とはいえ)同じ屋根の下で夜を過ごす。ビル・スカルスガルドといえば男前とはいえ、あのスティーブンキング原作の『IT』で子供ばかりを狙うクソピエロを演じた怪優ときている。さぁ、考えて見て欲しい。これはいちおうホラー映画という位置づけなのだが、果たして、彼らに一体何が起こるだろう?

断言してもいい。今あなたが「きっと、こんなことが起こるだろう」と脳裏で予想した展開は悉く外れるだろう。と同時に作り手に対する信頼感が著しく揺らぐこと請け合いである。少なくともこの映画の中において、あなたは次に何が起こるか予想できない、創作者の掌の上で踊らされていることをあなたは悟るから。

私がとりわけぞっとしたのは、冒頭の夜から一転、唐突に朝を迎えたあのシークエンスである。ここは凄い。よくよく考えたらありきたりな手法だけれども、我が身になってこのような状況を経験をしたら、誰もがぞっとする光景なのだから。

予想不可能な未来、というのはなんだかんだ誰もが恐れるものだと思う。政治にせよ投資にせよ仕事にせよ。そしてこの映画は、どんなに能天気な無責任な人間であっても、「何がおこるかわからない未来」という現実を鑑賞者に突き付ける故に、あぁ恐ろしいという訳なのだ。

とりあえず、何の予備知識もなく、なんだったら先に書いたあらすじも忘れて鑑賞したらなかなかのものである。実は近年我が国の映画業界にも関係する社会的なテーマがなどが盛り込まれているが、敢えてそこはここで触れまい。

さて、あなたのお部屋でのおすすめの鑑賞方法だが、王道といえば王道だが、とりあえず部屋を真っ暗にしてほしい。せいぜい間接照明オンリーが望ましいだろう。パソコンの画面には本作の映像以外は何も映さないように。意表をつくプロットに驚いてビビッて笑って、あまりに清いラストを迎えてほしいものである

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