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おかげさまで、楽しく年末を過ごしております(今、ようつべで無料で見れる映画を紹介)

いや、冬休みということでこれ無料なんで、ようつべで見てたんだけど、ほんと最高。脚本があの片淵須直、そして演出があの宮さんという今では絶対にありえないドリームタッグ。

とくに、ラストの『ドーバー海峡の大空中戦!』のエピソード最高にかっこよかった。宮崎イズム全力の描写、そしてラストのせつなさに心打たれる。最高の年末だ。ヒコーキのチェイスもかなり凄いけど、ラストのハドソン夫人の銃撃シークエンスもあまりにかっこよくて震えてる。ワトソンから受け取ったリボルバーのシリンダーを一度リリースして薬室にしっかり弾丸が詰まっているのを確認、というこまやかかつリアリズムあふれる描写からの、と見事な演出。これだ、これ! これがかっこいいということなんだ。このシーンで優勝、わたしはお腹いっぱい。

なにより、ラストの、宮崎の空へのロマンや郷愁がつまったシーンも素敵。

モリアーティがハドソンを誘拐するエピソード『ミセスハドソン誘拐事件』もいい、というか興味深い。というのも、この犯罪の天才にして紳士のモリアーティが後のカリオストロの城の少し年老いたおじさんのルパンに変化するんだなぁ、という感じがしたから。ばかだけど男の美学がつまっててたまらんのである。

あの天才宮崎駿も、0から国民的アニメを作ったわけではなくて、要は積み重ねなんだなぁと思う。来年公開される映画も、案外昔の彼がかかわっていた作品の中に原点があったりして、などと思ってしまう。内容はまだよくわからないけど、気になったらチェックしてみてもいいのではないか。

これも無料だそうで。私のもっとも大好きな映画のひとつ『狂い咲きサンダーロード』を手掛けた石井岳龍監督の第二作。これは相当変わった映画ですが、唯一無二の映画だと思いますよ。久々にクリスマスに見直したら、なんというか、キューブリックの『2001年宇宙の旅』みたいな味わいがあることに気が付いた。首都高の爆走シーンとか。それ以外にも、シナリオもそうだし、なにより、当時の常軌を逸した労働環境にもあてはまる(それに『狂い咲き』のころは、撮影現場で平然と犯罪が横行していたとか)。『バーストシティー』みたいな映画は、今の価値観では絶対作れないだろう。もちろんこの時代の価値がもっとも素晴らしい、この時代に戻るべきだ、などというつもりはない。私はむしろその逆を現代に求める。ただ、当たり前だけど、だからといってこの時期の芸術品を頭から否定する気にもなれない。

ストーリーがまたえらくわかりづらいのですが、ある地方で人気のロックバンドが原発の利権をめぐる抗争やら、突如その地にバイクでやってきた謎のキチガイ兄弟(いや、そういう役名なんだよ!)の復讐劇に巻き込まれるみたいなお話でして。

とても群像劇的な映画。被写体への距離感も、どこかドキュメンタリー映画っぽい中立性を思わせるものの、映画に一貫して流れるのは腐りきった権力や既得権益への反抗や挑戦でしょう。『狂い咲き』でもそうだけど、これぞロックンロールってやつです。ヒーローが最後にその地を颯爽と後にするのも最高にロックンロール。『マッドマックス怒りのデスロード』とか『ストリートオブファイアー』でも描かれてきた精神が、つまりこういうことなんです。主役のロッカーを演ずる陣内孝則の歌声もなかなか。なにより文学好きにはたまらないのは、件のキチガイ兄弟の弟を演ずるのは町田町蔵こと、文学ファンなら言わずと知れた町田康ときている! この男の発する絶叫が妙に耳に残ること。

この映画の象徴的な台詞で「なめんなよ」というヤンキー漫画を地でいくようものがあるが、来年は私ももう「なめんなよ」の精神でいきたいと思ってる。寒さも増税もいやなこと全部に中指を立てながら、張り切って突っ走って生きていく所存です。

今はこんな感じでネットで映画見ながら、クリスマスに鶏を焼いたりして料理して、大掃除して、あと本を読んだりしてます。映画館には今年はもういかないかな。寒いし、コロナもまた増加傾向にあるし。ということで、皆様もどうか暖かくして、おだやかに楽しくこの年末をお過ごしください。楽しみにしてるドンデリーロ原作、ノアパームバック監督の『ホワイトノイズ』はネトフリで31日に公開されるみたいなのでそれで見て、年明けにでもゆっくり映画評を書きたいと思います。んじゃ皆さん良いお年を。


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