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[書籍紹介]ドイツサッカーのディフェンス戦術

ドイツサッカーのディフェンス戦術

これはドイツサッカー連盟による守備戦術に関する指導者向けの本です。

欧州式の守備戦術を理解する上でこの本以上のものは無いと思います。Jリーグで指揮を執っているドイツ人のスキッペ監督はもちろん、(私が見る限り)マリノスのマスカット監督も採用している守備戦術です。

この本で紹介されている守備戦術を理解すると、本当のサッカーにおける規律を理解できますし、「日本の守備戦術はアナーキーだ」と言われる所以が理解できます。(ボールにアタックすべき時とすべきでない時の違いも理解できます)

この本はいわゆる「ゲーゲンプレス」の戦術本で、前線と中盤がプレスバックする形でピッチの中央でボールを奪う守備戦術を紹介しています。サイドでは中央というのは相手ゴールに効率的に迫るためでありドイツ人の機能的、生産的姿勢を求める美学と感じます。
その形に持ち込むために、フォアチェックを担当する1人目の選手から連なる形で、その後に続く全ての選手の動きが連動していることに驚愕します。走るコースも明確な意図と目的があり合理性の高さに舌を巻くばかりです。

特に、サイドにボールを追いやって、しかもそこで奪取するのではなく、あえて中央に戻させる一連の流れは、推理小説のネタ明かしの様なカタルシスを得ることができます。

GKからのビルドアップにプレッシングを掛け、ボールを追い込む形で誘導する。外に出させるためのパスコースを消しながら追い込むことが大切。
ボールを受けた最終ラインの選手にプレスを掛け外側にパスを出させる。外側で受けた選手に中央にボールを戻すコースを開けながらプレスを掛ける。
中央に戻したボールをプレスバックで奪いすぐさまカウンターを仕掛ける。サイドで奪うのではなくゴールに近い中央で奪うことが重要。

本来の目的である小学生への指導という点では完全に過剰な内容ですが、守備の個人戦術、グループ戦術、特にチャレンジ&カバーまでは指導しても良いのかなと思います。

この本の内容を理解していれば、もう少し遠藤航もクレバーに対応できたと思うのですが、それは私の思い違いでしょうか。

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