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自称"マーケター"の議論に関して思ったこと

最近マーケタ―に関して議論が起きていた。私もプロフィールにWEBマーケと書いており、主にWEBの側面からマーケティングをしている人間として、お話ししたい。学生から質問がきたので筆をとってみた。

WEBの人間なのでバイアスはかかりまくりなのはお許しいただきたい。

就職活動でマーケティング職(WEB含む)を目指している人向けに書いたのでぜひ学生の方にご覧になってほしい。社会人の方は色々意見があれば追記するのでtwitterのリプ覧へ。

昨今の自称"マーケター"の問題点

さて、マーケターを名乗る人の現状何が問題かというと、Twitterのフォロワーを増やすことだけしかやらない人がマーケターを名乗り、独自のマーケティング理論(しかもTwitterのフォロワー獲得以外には全く役に立たないのにTwitter以外にもはてはめようとしている)を展開していると、そのほかの分野のマーケティングをしている人が怒りだすのも当然だろう。

ネット広告運用だけに限っても、Facebook広告が得意な人が、Twitter広告やGoogle広告をうまく運用できないということも珍しくはなく専門性が異なってくる。(誰かLINE広告運用教えてください...)

Twitter運用、しかもTwitter広告ではなくTwitterのフォロワー獲得でマーケティング全体を語っているとしたら滑稽であるだろう。

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デジタルマーケティングしかしてこなかった人が、マーケティング全体を語りだすことがあるが、他の専門領域に軽々しく踏み込むのが、WEB領域のマーケティングをしている人に見られる。

こうしたことは、大学でゼミや研究を通して、一見近しい領域でも、少し違う道に入るだけで専門性が異なることを理解していたら、ある程度は理解できるはずだ。

大学受験レベルの話なら同じ化学でも有機化学と無機化学では全く畑が違うことで理解できるのではないか。

学生時代に限らないが、経験したことない領域まで語りだすのはあまり勉強をしたことがない人の特徴だと個人的に思う。研究や勉強をすることは、少し領域が異なるだけで専門性が異なること、また専門性のある人に敬意を払えるようになるようになるだけでも有用である。

泌尿器科の医師が「目にとって大事なことは~」と言わないのは専門領域が異なると自分が口出ししていいからではないことを理解しているからだ。

WEBマーケ界隈は参入障壁が低く、大学生起業家でも参入できるようになったことから、全知全能な気になって、隣の庭も理解し、マーケティング全体を語れるつもりになったある種無勉強な人が増えたのだと思う。

自分もWEBマーケ界隈なので、WEBマーケ領域の人を馬鹿にするつもりは全くなく、優秀な人も絶対数として多い。優秀な人がWEB領域に参入するようになり、学生が立ちあげたWEBマーケ領域のベンチャーで恐ろしいほど成長しているところもある。

一方、一般社員として入社する場所としても、事業立ち上げとしても参入障壁が下がったが故に、残念な人が多く入ってきたことがこのような事態になったと推察される。

WEBの広告自体はアドテクに代表されるように高度な学問の理論が応用され私も理解していないが、開発した人や理解し事業家している人は天才であり、わけわからない人たちと一緒にされるのは彼らも心外だろう。GAFA会長ならそう思うはずだ。

せっかくなのでWEB領域以外のマーケティング従事者についても考察してみた。マーケターに興味がある人は以下も読んでほしい。

マーケターを無理やり分類

マーケターを無理やりにだが分けてみた。WEB領域のマーケティングだけでもたくさんの分類はできるだろうが、頭がよく見える"3つ"にわけた。

1.花王、SONY、P&G、トヨタなどtoC向けの商材を扱い、莫大な広告予算があり、テレビをはじめとするマス広告からデジタルまで幅広くを扱うマーケター

2. 1を支援する仕事をしている電通、博報堂など大手広告代理店のマーケター(マーケターと言わずマーケティング部署の所属というべきか)

3.WEB広告メインのマーケター(自社商品を持つ会社のWEB広告運用およびマーケティング担当、また代理店系のどちらもまとめた)

toB向けのマーケティングもあるがあまり知らないのでここでは除く。また、アカデミックな人も本来いるはずだが、アカデミックなマーケティング専門のツイッタラーが少ないように思う。

あとは、刀の森岡さんのようにメーカーのマーケティング部門の出身者がマーケティング支援の事業を展開しはじめていることも今後注目の領域である。今回は割愛。

1.大手メーカーのマスブランドのマーケタ―

私が詳しいのは3なのだが、1,2にも触れておきたい。

1は有名なメーカーのマーケターを想像してほしい。就職活動でいうと、P&G、ユニリーバ、ロレアル、コカ・コーラ、資生堂といった部門別採用が行われている会社、そして花王などマーケティング活動に力をいれている会社にいるような人たちだ。消費財ばかりあげたが、SONYやトヨタをはじめとする企業のマーケティングも該当する。

彼らの仕事は、端的に言うと与えられた予算での売上の最大化だ。これはWEBマーケターも同じだろう。ROIの最大化というべきか。

しかし、制約がつく。どんな手段をとってもいいわけではなく、これまでのブランドが積み重ねてきたブランドエクイティと呼ばれるものを活かし、さらなる売上アップを目指し、これまでの延長線上でブランドマーケティングの活動をすることだ。今であれば鬼滅の刃とコラボしたら売上になるが、長期的に見てブランドの資産にならなければよいマーケティング活動とはいえない。WEB系のベンチャーで立ち上げ期であれば、薬●法を飛び越える会社もちらほらある。失うものがないからできる活動だ。

大企業は、例え新ブランドであっても会社の品位を落とすようなマーケティング活動はできないので制約はつくだろう。外資系だとグローバルの制約もつく。

マーケティングは投下した広告費がブランドの資産にならなければ意味がない仕事である。WEB界隈ではアフィリエイト型の広告はアフィリエイターの成果報酬がインセンティブになるため、ブランドの資産になるような広告費の使い方にはならない。ただし、(アド)アフィリエイトは初期の売上をのばすのに有効なので私はこのアフィリエイト広告への出稿はベンチャーにはむしろ推奨している。

一般的なWEBマーケメインの会社は、投資してブランド資産になるものではなく、一時的な売上を作るような投機活動になっているのではないだろうか。WEBメインの会社でもここは変わってきているが。

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1の仕事は、マーケティング予算を適切に分配し、ブランドの資産を高めながら、売上をのばしていく活動をする。外資系では出入りも激しいので、単年のPLに目がいくこともあるらしいが、ブランドの価値を大事にし、会社およびブランドがもっているブランドブックに基づいたマーケティング活動をしている会社もある。

予算の分配もそうだが、選考でもっとも問われているのがリーダーシップだ。外資系企業は、マーケティング部門を中心とした組織構成になるため、営業、経理財務、サプライチェーン、研究開発と様々な部門を巻き込み、1つのプロジェクトを達成する必要がある。有名メーカーはほとんどが、OEMではなく自社製造であるためステークホルダーが多くなり、彼らを説得しながら1つの仕事を遂行しないといけない。

もちろん外部の制作会社や代理店もステークホルダーの1つだ。ステークホルダーが非常に多く、意外と生産や開発周りに時間を取られてしまい、表からは目に見えない仕事がある。

在庫管理もマーケターの仕事の1つだ。

デジタルを重視するブランドも増えたが、デジタルは予算における割合の比率が低いことから重視していない企業も多い。最近はデジタル広告のみをやるといっている大手企業もあるくらいなので、これからの時代は変わっていくだろう。

このように利害関係のバランスをうまくとり、同じ方向に向かわせて、売上を最大化することがマーケターにとっては重要な仕事になる。

ちなみに、メーカーで予算配分の少ないデジタルしかしたことがないのに、ブランドマーケティングについてドヤ顔で話している人もいるので注意しよう。

2.電博のマーケター

2の大手広告代理店のマーケティングだが、大手広告代理店は自社プロダクトをもっていないため、必ずクライアントありきでビジネスが行われる。

必ずしもやりたいことができるわけではなく最後はクライアントが決めるので、営業が一生懸命ご機嫌とりをしてくれる。

そして、電通であれば、博報堂が、博報堂であれば電通が競合として存在するため(両社の売上における力関係の差はすごいが)、コンペで決まることもあるので、1社のお客さんから大金をもらって仕事をするいわゆるBtoBモデルになる。

代理店は、メーカーから与えられた予算でメディアプランなどを組み、細かい予算配分の部分まで実行まで行っていく。

電通や博報堂で働いたことがないので詳しくはわからないが、クライアントの施策を考えたり、実際に手を動かしたりする仕事に集中できるので、クリエーター気質の方にはいい環境だろう。

社内の生産周りの調整がなく、リーダーシップを発揮する場面が相対的に少ないという点はよいことだ。一方で提案する仕事であり100%の出来というのがないので、完璧を追い求めて長時間労働になり疲れるだろう。

と書いてみたが、私は電通や博報堂で働いたことがなくよくわからなく薄っぺらかったので、この原稿をとある某広告代理店社員に見てもらい、以下のコメントをいただいた。

「営業がクライアントの窓口に立つので、社内調整というようなタスクは発生せず(それは営業がオーガナイズする)純粋に戦略にフォーカスして考えられるというのはありますね

広告会社 MKTと外資MKTとの違いで言えば、媒体部門との距離が近く、外資MKTの方よりも媒体特性を知り尽くしている(というか知らないと話にならない)点はあるかもですね、ちなみにマーケ→媒体担当という依頼はほぼなく媒体担当の交渉は営業に窓口があります。

広告会社MKTの醍醐味といえば、コンペじゃないですかね。自社の製品をいかに伸ばすのかが外資MKTである一方、広告会社MKTはコンペの際に「ぼくのかんがえたさいきょうのまーけてぃんぐせんりゃく」を提案し、その提案が勝てば金に変わります。こういった競争→勝敗が出る、を短期スパンで何度もできるのが楽しみかなと

広告会社のメリットは外資MKTと違って担当しているクライアント複数社見れるので幅広い業種のMKT戦略考えられますし

幅広の業種見てるので、さまざまな会社の広告コミュニケーション勉強したり競合提案の資料見たりできるのは楽しいですね」

分かりやすかった。OBOG訪問をしよう。

一方でこのコメントを見た現役の外資系企業のマーケティングをしている人からは、

「実際コンペってそんなに良いものじゃない気がするしそこまで多いのか?とは思う」というコメントもいただいた。私個人もコンペ自体はお金にならないのでここらへんは広告代理店の人によっても考えはわかれるだろう。

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3.WEBマーケター

さて、1と2の話が長くなった。3のWEB関連のマーケターの話をしたい。私も現在はWEBマーケティングの仕事をしている。

WEBマーケとくくってしまったが、昨今人気のバルクオムやエヌオーガニックなどをはじめとするDtoCブランドのマーケター、サイバーエージェントの創業時の主力事業だったネット広告代理店、またa8をはじめとするアフィリエイト仲介であるASP、またASPから案件をもらうアフィリエイター、SpeeeなどのSEOコンサルティングを行う事業者、またWEB領域全般で企業を支援するWEBマーケティング支援企業をはじめ様々な企業が存在する。私はこれらの領域が好きだ。

WEBマーケがなぜ流行った理由としては参入障壁の低さと市場拡大の2点がある。

テレビは、大手テレビ局から広告枠を買ってそれをメーカーをはじめとする企業に卸しているが、テレビ局からメディア枠を買える企業が限られておりそもそも事業に参入しづらい構造がある。ラクスルのノバセルのような事業は古い業界を変える事業としては注目だろう。

一方、ネット広告代理店は、Google,Yahoo!などの広告枠はお金さえ払えばいくらでも出稿できるし、なんなら代理店がいなくても自社で広告枠に出稿することができる。かつ昨今のGoogleをみたらわかる通り、ネット広告への支出は大きい。

偉大なGAFA(Appleは除く)様のおかげで誰でも広告出稿ができるようになったのである。

Twitter上にいるGAFAアカウントたちには日々感謝しかない。(Appleは除く)

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よく言われることだが、1imp換算だとデジタルは高いといわれるが、少額予算のマイクロブランドにとってはデジタルはありがたい。またアフィリエイトならば成果報酬なので事業者にとっても優しい仕組みだ。

参入障壁が低く誰でもできるようになったことで、多くの企業が参入している。あまり言い方はよくないが、ネット系の広告運用型代理店や、ASPは学歴があまり高くない方も多く、入社のハードルも相当低い。

ネットは近年稼げる領域なので、学歴が低く、三菱商事や電通、トヨタはESも通らないが稼ぎたい人はネット広告にきたほうがいいと個人的に思っている。

本題に戻ると、ネット広告に従事する人がマーケターを名乗りだすことで、マーケターの母数が増えたように思う。

コンサルタントという職業も、マッキンゼーやアクセンチュア所属の人のみならず、WEB広告運用支援をしている人までコンサルタントという役職を会社から与えられる人もおり、コンサルを誰でも名乗りだしている。

(再び話がそれるがビービットという会社はUIUX改善をはじめ、現在ではイケてるといわれる事業を黎明期から行っていたが採用時に戦略コンサルの職種を名乗って募集していたので採用がうまいなと思った。事業も採用も先進的だったように思う。)

コンサルという肩書を誰でも名乗るようになってしまった状況に現在のマーケタ―という肩書を名乗る構図は似ている。

学生のみなさんにとって参考になれば幸いである。だーっと書いたため非常に雑多な内容になってしまったのでコメントあったら追記のところに随時いれていく。

告知

ということを長々と話してしまい、仕事をさぼってしまいましたがせっかくなので告知させてください!!!

もし一緒に働くことに興味ある学生の方がいたらぜひDMしてください!WEBマーケティングや外資メーカーに就職したいなどに興味ある方いたらぜひお話ししましょう!来年の3月卒業の方は受け付けていませんがそれ以外の方はOKです。DMからお待ちしています。

また、企業の方でマーケティングにお悩みの方がいたらぜひご連絡ください。今回話した1の領域の知見がある現役のエキスパートやWEBに詳しい私が相談のります。ちゃっかり営業しましたがDMお待ちしています。




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