『天使の翼』第12章(87)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~ 1 武田敦 2024年2月15日 07:00 強く、不思議なメロディーを数小節奏でて―― 一転、静かに、リズミカルに、エスニックなテーマを流していく……エリザの背に乗って、大空を勇躍するイメージ……早く、ゆったり……強く、小さく…… わたしは、自信のあるギターで存分に聴衆を引き付ける……これだけで、皆はもううっとり……わたしは、音楽の驚き、心揺さぶる力を思いの丈を込めて紡ぎだす! そして―— まばゆく照り輝く、 雪の冠頂きし峰々を遥かに望む 見渡す限りの、 岩石と砂礫の荒野のただなか 大いなる碧き湖が姿を現す 西方の峰々に向かいて長く伸び、 対岸は霞の中 この地には、わずかばかりの緑が、 ところどころ あの木や草は、 明日もあそこに生えているのだろうか わたしは、一人ぼっち 吹き渡る風の中、誰もいない湖岸を歩く 寂しく打ち寄せる波と砂利の音に 耳を澄ませながら コートを翻し、長い髪をなびかせて あてもなく、ただただ、 あの高き峰々のたもとに辿り着かんと ダウンロード copy この記事が参加している募集 SF小説が好き 3,012件 #SF小説 #SF小説が好き #コート #砂利 #湖岸 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート