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『天使の翼』第12章(73)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、いよいよ新しいステップを踏み出すんだと思うと、わくわくしてきた。シャルルの助けなしに、一人で道を切り拓いていく……でも、ちょっと待って!作戦も計画も何も考えてなかった!
 「ままよ!」
 アドリブ、即興は、吟遊詩人の十八番じゃない!
 エリザは、西の方角へ――という事は、無人地帯のさらに奥地という事か――鼻先の角を向けると、風を捉えて一気に急上昇し、わたしが何だか空気が薄くなってきたんじゃないかと慌てだした頃を見計らったように、サッと四脚をすぼめた。
 わたしとエリザは、放物線を描いて槍のように飛んだ。
 エリザは、盆地を囲む山稜のそこだけ凹んだところ――つまり、峠を目指していた。
 最初は遠くに見えていた断崖絶壁がみるみる眼前に迫り、あの狭い間隙を激突することなく無事通過することができるのか、とても小回りが利きそうにもない一発勝負のダイブだ! 

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