『知名度の壁』どう破る

 この記事【「諦めない」がヒット生む 魚屋さんのオリジナル瓶詰】は、どんなにいい商品も、知名度がないと全く売れない『知名度の壁』をどうやって乗り越えるか、心に残る印象的な事例が紹介されています。

 改めて『知名度がない』という状態を考えていて、少し前の日経電子版の記事【女性心理くすぐった吉野家カフェ】(本稿末尾に添付)を思い出しました。その記事で紹介されている事例は、どんなに美味しい牛丼という『商品』も、牛丼店は男性ばかりで入りづらいという『イメージ』があるが故に、女性客の比率が低くなってしまう、その女性客が入りづらいという見えない壁を、カフェ機能・キャッシュ&キャリー方式・テーブル席増設などの今までの牛丼店にはなかった施策で打ち破るというものでした。

この記事は、商品を購入するかどうかの決定が、商品(モノ・サービス)そのものの特徴以外に、その商品の『イメージ』によっても左右されていることを、改めて認識させてくれました。商品のイメージとは、例えるなら、商品を取り巻くオーラのようなものです。文字通りイメージという漠然とした『感じ』ですから、人によって受け取り方も異なり、大まかに、ポジティブ・中立・ネガティブに3分類できそうだと考えました――

▶ポジティブなイメージ  ▶中立的なイメージ  ▶ネガティブなイメージ   【ユーザー】      【ユーザー】        【ユーザー】        ⇓⇓⇓            ⇓            ⇓   【イメージ】       【イメージ】        【イメージ】         ⇓⇓           ⇓           ✖      【商品】        【商品】         【商品】

――商品にポジティブなイメージがある場合は、多くのお客がそのイメージに引き付けられ、実際の商品を吟味した上で購入となる。ポジティブなイメージには、宣伝のような効果がると言えそうです。それだけで購入とはいきませんが、有利なことは間違いない。商品のイメージが中立的で、可もなく不可もない場合は、そのイメージは、少なくとも購入を妨げる壁にはなっていないという事です。商品にネガティブなイメージがある場合は、例えば記事に出てくる牛丼店は男性ばかりで入りづらいというイメージが強い女性客は、それが購入を妨げる壁となって、店に入るという決断には至らない事になります。

今回の記事【「諦めない」がヒット生む】を読んで気付いたのは、『知名度がない』という状態が、ポジティブなイメージもネガティブなイメージもない、まっさらな『イメージなし』の状態だという事です。イメージがないという事は、たまたま売場でその商品に遭遇して興味を持って手に取ってくれたお客さんだけが、その商品を知ることが出来るという事で、これは、販売的には相当苦しい状況です。しかも、その手に取ってくれたお客さんが、商品を見ていいイメージを思い描けなかったら、購入には至りません。

中小の企業がマス広告に頼らずに、この状況を打開し、商品のイメージを拡散するには、次のようなことが考えられそうです――

▶商品のイメージを拡散するには……(1)『商品の露出を高める』・・・小売への営業で、お客の前に、まずは小売の担当者に認知してもらう。小売もヒット商品を探しているのは同じ。 ①商品を売場のいい場所に陳列してもらう。 ②商品を大きく展開してもらう。 ③商品を多箇所展開してもらう。(2)『ネット通販』・・・ネット通販へ出品、出店。(3)『認知度の向上』・・・知ってもらった商品を確実に買っていただけるよう商品情報を拡散する。 ①実演販売 ②コトPOP・レシピなど ③売場で音声・映像での訴求(4)『ユーザーコミュニティー』・・・自社サイトにユーザーコミュニティーの機能を持たせる。(5)『SNS発信』・・・人気ユーチューバー、インスタグラムなどのインフルエンサーへのアプローチ。

――まだまだ他にもありそうですが、記事の事例にあるようなテレビのコンテストなど、あらゆる機会を捉えて、商品のイメージを拡散する事、知名度と認知度を上げるためのチャンスを逃さず捉えて実行していく『諦めない精神』こそが、『知名度の壁』を破ることが出来るのだと思いました。どんな新商品も最初は『知名度がない』訳で、その新商品が自信作であるならば、『諦めない精神』でイメージを拡散する施策を打ち続けることが、ブレークスルーへの道なのかも知れません。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO34010010Z00C18A8000000?channel=DF040620184165

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33327530U8A720C1SHA100/

https://comemo.io/entries/9220

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