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『天使の翼』第13章(2)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、高原地帯の村々をエリザの背に乗って旅しながら――エリザとのチャーター契約は、無期限で延長してあった。彼女は、わたしの寝ている間に、風を得て一度故郷に帰り、仲間や家族に状況を説明したようだ――、この降って湧いたようなわたしの新境地を存分に楽しみ、修練を積みながらも、心ひそかに、SSIPが逮捕にくる等々の状況の変化を待っていた。そこから、シャルルやローラの消息、そして、グランサンスへの道が見えてくるのではないか、と考えたのだ。わたしの今の本道は、使命の達成にある……
その日、わたし達、わたしとエリザは、あいにくの雨の中を――初夏なのでさほど冷たくはなかったが――空白地帯の玄関口ハイアンコーナへと飛行していた。
今や高原地帯の村々には、下界の、アンコーナ市などの街の住民もわたしの評判を聞いて一目見ようと押し寄せており、あまり村の人たちに迷惑もかけたくなく、いよいよ空白地帯の最大都市ハイアンコーナへと巡業に出たのである。
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