『天使の翼』第12章(32)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
鉱山、そこで働く人々、その家族……
山の中の鉱山の町……
漠然と思いを巡らしているうちに、鉱山にしろ何にしろ、この漠とした風景の中、人の住む土地に行き会えるなんて、まるで富籤に当たるようなものだと思えてきた。……テンションが下がるとまずいから、このことはもう考えない……
(陽が落ちてきたわ……)
まだ、湖の向こう岸まで、3分の1は残しているというのに。
思わず足を速めたわたしは、たちまちつまずきそうになった。
いけない。急ぐと、かえって良くない――怪我のもとだし、持久力が低下する……
わたしは、開き直った。
(しょうがない。不可抗力。暗くなっても構うものか)
――そうなると、問題は、明かりだ。ヘッドに装着するランプなんて持ってない……忘れもしない不時着したミロルダで使ったやつは、とっくに置いてきた……出発する前に、駄目は元々でも探してみるんだった……今さら遅い!
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