セブン、ネットコンビニの決定的な点

 この記事『商品をスマホで注文 セブン「ネットコンビニ」展開』を見て、そうか、ネットスーパーがあるんだから、ネットコンビニもありか、と目から鱗が落ちました。何故今まで気付かなかったのか、セブンのネットコンビニという事から離れて、一般論として、インフラとしてのコンビニがラストワンマイルのサービスで果たしうる可能性を考えてみることにしました。ネットコンビニは、コンビニのユーザーがネット通販に奪われない為の単なる防衛策なのか、それとも、それ以上の今までにないUX(ユーザー・エクスペリエンス)を提供可能なシステムなのでしょうか?

【1】フルフィルメント・システムの相違

受注⇒梱包⇒発送⇒受け渡し⇒代金回収のプロセス、フルフィルメントを考えた時、ネット通販とネットコンビニの最大の相違点は、物流拠点と顧客との間に全国に超狭域エリアで多数分布するコンビニが介在することです。

●ネット通販・・・・・・物流拠点(フルフィルメントセンター)⇒顧客●ネットコンビニ・・・物流拠点⇒コンビニ⇒顧客

この構造上の相違を一言で表現するなら、ネットコンビニにおいては、ネット通販におけるフルフィルメントセンターの役割を、物流拠点とコンビニの2重構造で遂行する、という事です。この特徴的な構造には、必ずやネット通販の最先端のフルフィルメントセンターにもないメリットが隠されているはずです。そのメリットを引き出してシステムに組み込むことができたなら、システムのコストパフォーマンスとUXの最大化の両面から、ネット通販にはない優位性を構築できるのではないでしょうか。

【2】ラストワンマイルの課題

ネットコンビニのフルフィルメント・システムのメリットを探すには、その前にまず、ラストワンマイルの課題、ラストワンマイルが埋まらなくなってしまう阻害要因を整理しておく必要がありそうです。全くの専門外なので、私が気付いた範囲で列挙してみると――

●ドライバー確保の困難●重くのしかかる宅配コスト●なくならない再配送のコスト●商品の品切れ

まだまだありそうですが、これらも踏まえたうえで、ネットコンビニのフルフィルメント・システムのメリットがもたらしうるUXを考えてみようと思います。

【3】ネットコンビニのメリットとUX

何万店ものコンビニが、ラストワンマイルを繋ぐとき、そこにはどんなUXが待っているのでしょうか。

① 超狭域のコンビニを配送拠点にすれば、将来的に法整備を前提として、近所の主婦などの一般人による空き時間のマッチングでの配送に最適ではなかろうか(新たな雇用の創出にもなる)。自転車などを組み合わせれば、配送料は安く抑えられる。

② これも将来の話だが、狭域であればAIの学習の面からも、ロボット配送が真っ先に実現するのはネットコンビニではなかろうか。

③ 超狭域のコンビニを配送拠点にすれば、広域の場合より再配送のコストは少なく、再配送の時間にも融通が利く。あるいは、他社の再配送を請け負う?

④ コンビニで普段扱っていない商品にもサービスを拡大できる。

⑤ 超狭域のコンビニに宅配ボックスを設置すれば、コンビニで普段扱ってない商品の再配送の代替、受け渡しに使える。また、手数料を取って他社に使ってもらえば、それを原資に自社の配送料を安く抑えられる。

⑥ 自店で品切れであっても、近所の同じ社のコンビニから短時間で取り寄せて、品切れを回避できる。

⑦ 商品を配達するだけでなく、顧客の自宅へ出向いて公共料金などを集金するサービスは出来ないだろうか。

⑧ ネットコンビニは、面倒な日用品の買替、重たい消耗品の補充に最適ではなかろうか。

⑨ 食堂施設のない企業、営業所などへのランチ宅配は需要がありそうだ。

⑩ ・・・・・・

素人らしい的外れもあるかも知れませんが、コンビニには、地域密着型のミニ物流拠点として、いろいろな使い道がありそうです。つまり、ラストワンマイルを制するのは、コンビニなのではないかと思えてきたのです。そして、ラストワンマイルを制するということは、取りも直さず流通を制するということです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30296070Q8A510C1HE6A00/

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