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『天使の翼』第13章(4)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしが、ゴーグルを上げて、顔に張り付いた無数の雨滴を手の甲でぬぐおうとした時だった。それは、いきなりわたし達の眼前に現れて、エリザの俊敏な反射神経がなかったなら、まともに衝突していたに違いない。
 「電波塔⁈」
 絶叫しながら振り返ったわたしは、ギザギザの危険な稜線と、その上に立つかなり大きな人工の構造物を見た……
 そして、顔を前方へと戻したわたしは、眼前に直径10標準キロメートル程の、陽の光に晴れ渡った盆地と、それを取り巻く山々の上の方まで立ち並ぶ建物群――わたしは、咄嗟に円筒状の、回転して人工重力を生み出す宇宙空間都市を思い浮かべていた……そう、ハイアンコーナの街の出迎えを受けた。
 「これがハイアンコーナ!」

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