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ビジネスを考える

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#コト消費

《連続投稿532日目》老舗が模索する持続可能な経営~サスティナブルな経営の3ステップとは?~

 日経電子版の記事【老舗しょうゆのかめびし、伝統製法の体験ツアー】では、コロナ危機によって需要を初めとした様々な経営環境が不確実性を増す中で、「(記事より)規模にとらわれない持続可能な経営体制」を模索する老舗醬油メーカーが紹介されています。  さっそく、その施策(検討中含む)を記事から整理してみると―― ▶サスティナブルな経営(1)『体験ツアー』(全国的にも珍しい伝統の製法)でこだわりのある   消費者の需要を掘り起こす。 (2)(ツアー体験者に)ある種の『サブスク』の

《連続投稿481日目》サブスクとは何か?~時間を買う~

 日経電子版の記事【サブスクで曇る「経済の鏡」 揺らぐ統計、政策に影も】は、所有から利用へと『コト消費』の潮流が進行する中、サブスクリプションとは何なのか、その本質を問い直すきっかけを与えてくれる骨太のリポートだと思います。  消費のあり方の所有から利用への変化について考えるには、まず、そもそも『所有』とは何なのか押さえておく必要がありそうです――人は何故所有するのか?――。  そこには、おおむね2つのニーズがあるのではないでしょうか―― ▶『所有』する事のニーズ(1)

《連続投稿474日目》家具サブスクのポテンシャル

 日経電子版の記事【分譲マンションで家具サブスク 京急系、割引価格で提供】では、京急系が、専業スタートアップとの連携で、分譲マンション購入者向けに家具サブスクを割引料金で提供するサービスを始める事がリポートされています。  企業にとっては強力な販促ツールとなりそうですが、さっそく、記事からそのポテンシャル、利用者にとってのメリットを整理してみると―― ▶分譲マンション購入者向けの家具サブスクの例① プロがコーディネートしたインテリアも楽しめる。 ② マンション購入後、入

《連続投稿470日目》コロナ後のシェアリングとオンライン化

 日経電子版の記事【コロナ禍、移動シェアサービス直撃 終了や休止相次ぐ】では、新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受け、終了・休止が相次ぐ移動のシェアリングサービスがリポートされています。  オリパラ延期・ロックダウン(都市封鎖)・需要消滅・サプライチェーン混乱・インバウンド消滅・無観客試合・無観客ライブ・医療崩壊リスク……新型コロナウイルスの感染拡大によって、年の初めには想像だにしていなかった事態が次々と起きています。  そんな中、この記事が取り上げている『シェアリング』

消費財にこそアジャイル開発

 日経電子版の記事【消費財も「アジャイル」開発 P&Gやユニリーバ】は、消費財の世界にも、ユーザーと密なコミュニケーションの取れるエコシステムの下で、短期間で実装とテストのイテレーション(反復)を回す『アジャイル開発』が広がりつつある状況をリポートした好リポートだと思います。  そもそも、消費財、消耗品の価値は、モノそのものというより、そのモノによってもたらされるコト=使い勝手・使い易さ・使い心地・使用効果といった体験価値にある、と考えられます。――消費財はモノですが、その

インバウンドが求める体験価値とは

 日経電子版の記事【インバウンド客のコト消費多彩に、日本人にも刺激的】は、インバウンドのコト消費の潮流を捉えた好リポートだと思います。  そもそも、自分がインバウンドになったつもりで、日本に行く、とはどういう事なのか?  ――それは、日本の風土、日本の自然や様々な文化への関心、興味であることは間違いありません。  そして、その関心が強ければ強い程、また、リピーターであればなおのこと、より深く知りたい、と思うのが人情です。  ――そこで登場するのが、日本文化を体験する『

チェックアウト機能は究極のコトPOPかも知れない

 日経電子版の記事【インスタ、動画・買い物充実 日本発機能を世界へ】は、日本での状況をからめたインスタグラムの今後の戦略についての好リポートだと思います。  この記事で一番印象に残ったのは、やはり、インスタグラムの投稿画像の中に見付けた商品を購入したくなった時、各ブランドのwebサイトへ移動することなく、直接シームレスに商品の購入ができる「チェックアウト機能」です。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求する『コト消費』の時代に、消費者の興味を引き⇨共感を得て

目立つためのメソッド

 日経電子版の記事【黄金のトイレ、海外の人々魅了(古今東西万博考)】は、2010年上海万博で「日本産業館」に出展され話題をさらった「黄金のトイレ」に関するリポートです。  この記事、「へぇ~、黄金のトイレか……」と思っただけで、あやうくスルーする所でしたが、よくよく考えてみると、高品質な日本製品を売り込むために⇨「黄金のトイレ」で話題をさらい⇨日本のトイレへの関心を高めるというメソッド、『目立つためのメソッド』は、きわめて卓越したプロ―モーション、「黄金」という人類共通と言

野球グラブの名工に学ぶ『コト消費』への対応

 日経電子版の記事【野球グラブ、名工の絶妙「型付け」 鳥谷選手らプロ愛用】は、選手のニーズに徹底的に応えるグラブのブランド「久保田スラッガー」の心に残るリポートです。  そもそも、消費者一人ひとりが各々の体験価値を追求する『コト消費』の時代に、細分化されるスモールマスな市場を見極め、ユーザーのインサイトに肉薄したイノベーティブなプロダクトを作ろうとすれば、それは、プロダクトアウトなモノの売りっ放しであろうはずはなく、プロダクトの入口である消費者のインサイトと、出口であるフィ

モノからサービスへのシフトが成長の鍵

 日経電子版の記事【10年前の装置を最新型に ASMLが磨いたサービス力】は、半導体露光装置でシェア9割のオランダ「ASML」のポテンシャルの秘密をそのサービス力にあると読み解くリポートです。  記事では、様々な視点から強さの秘密が解き明かされますが、なかでも、故障対応などの保守点検から、部品交換などによって旧型を最新型のスペックに近付ける改造まで、幅広いサービスを充実させている事がクローズアップされます。  確かに、サービスが充実していれば、需要変動が上向きな時には設備

『DX』が先か、『DX』が先か?

 日経電子版の記事【2つのDXでデジタル化を】は、近年かまびすしい『DX(デジタルトランスフォーメーション)』ではなく、もう一つの『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』に注目したリポートです。     確かに、技術者が気持ちよくストレスレスに、そのスキルを発揮しやすい環境の中で、ソフトウエアの開発ができるような体験=『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』の実現は、きわめて重要なはずです。 ▶『DX(デベロッパーエクスペリエンス)』が  最大化されると……① ソフト(

最適化経済・消費者余剰・経済成長~変化する『豊かさ』の所在~

 日経電子版の記事【先進国が患う長期停滞に克つには(大論戦)】は、今再び注目されている『長期停滞論』、需要不足などの要因で潜在成長率が下がり、低成長が常態化する『長期停滞論』についての、各界の識者による見立てを紹介しています。    この記事を通読して改めて痛感するのは、「モノ・サービスの生産・提供を通して生み出される付加価値の額」である『GDP(国内総生産)』では、今の時代、第4次産業革命の時代の『豊かさ』は測れないのではないか、という事です。  そもそも、第4次産業

D2C的なモールとは

 日経電子版の記事【集客のカリスマ 美容モールって何?】は、カリスマ的な個人事業主によるヘアカット・トリートメント・ネイルケアなどビューティー系の10のショップが集まった「THE SALONS」に関するリポートです。  この個性的な「美容モール」の記事の中で最も印象深いのは、その特徴を示す「7つのポイント」です。その部分をピックアップしてみると―― ▶「美容モール」の7つのポイント① 1フロアに集結しており、様々なサービスを受けたいユーザーにとって  は時短となる。 ②

これはプロシューマー(生産消費者)の原型かも知れない

 日経電子版の記事【キャンプ2000泊! アウトドアパーソンのまま東証上場 スノーピーク「楽しいまま! 」成長を続ける経営】は、「アウトドアパーソンを体現すべき企業である以上、アウトドアパーソンであって、そのうえでビジネスパーソンであることが基本」というスノーピークに関するものです。    アウトドア用品の企業が躍進するには、何よりもまず、そこで働く者がアウトドア大好きな筋金入りのアウトドアパーソンであること……すんなりと腹落ちできるセオリーですが、この事例は、生産者が消