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Manageboardが描くBig Picture~多軸分析編~

こんにちは!株式会社ナレッジラボの小野と申します。

ナレッジラボはクラウド予算管理ツール「Manageboard」を開発・運営している会社です。

私のnoteでは、普段は「Manageboardの歩き方」と題して、Manageboardの個別機能を紹介しています。

このnoteシリーズでは、個別機能にとどまらず、Manageboardが描くBig Picture=世界観についてご紹介したいと思います。

Manageboardが描くBig Picture

Manageboardをはじめ、世には多くの予算管理システムが存在します。
これらの予算管理システムは、主に上場企業~中堅企業をターゲットにしているものが多く、「機能はリッチだけどコストが高い」サービスが多い印象です。

一方で、中小企業をターゲットにした予算管理システムは数が少ない上に、「コストは低いが機能が十分でない」サービスが目立ちます。

中小企業には、「コストを抑えつつ、色々なシミュレーションをしたい」という顕在・非顕在ニーズが多いと考えられますが、従来の予算管理システムではこれを実現することが難しいため、結局はエクセルによる予算管理運用が行われているケースがとても多いのです。

エクセルは安価で、かつ、無限にカスタマイズができるため、「コストを抑えつつ、色々なシミュレーションをしたい」という中小企業の予算管理ニーズには合致しますが、コストのスコープを時間的コストまで拡大すると、決して予算管理のベストソリューションとはいえません。

Manageboardでは、エクセルで苦労している中小企業の予算管理ニーズに応えるべく、フレキシブルな予算管理システムをリーズナブルな価格で提供しつつ、将来的には、経営活動に欠かせないプラットフォームまでその存在を昇華させようと、日々開発を進めています。

そこで、Manageboardが将来的に目指すロードマップの第一弾として、Manageboardの足元のキーコンセプトである「多軸分析」「予算予測管理」「非財務分析」について、このnoteシリーズで紹介します。

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Manageboardが目指す未来はとても壮大です。我々が数年後に描いている未来を考えると、このnoteシリーズで紹介する内容も、最初の一歩にすぎません。

私のnoteでは、現在・未来のManageboardユーザーがわくわくできるような世界観を提供できればと考えています!

初回のこのnoteでは、「多軸分析」について紹介します。

会計情報には経営判断のヒントが隠されている!

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Manageboardは「多軸分析」をキーコンセプトの一つとして掲げています。
多軸分析の対象は会計情報ですが、管理会計の現場では、会計情報のアウトプットである試算表や財務諸表が多軸分析の対象となります。

会計情報とは、以下のように定義されており、会計情報が財務諸表を通じて外部に伝達されるという整理です。

会計は、これらの経済主体が営む経済活動およびこれに関連して発生する経済事象について、主として貨幣額で測定・記録・報告する行為である。
そして、このような会計の行為を通じて得られた情報を会計情報といい、会計情報を伝達するための書類を財務諸表という。
(新井清光・川村義則『現代会計学〔第3版〕』(中央経済社、2020年))

「多軸分析」というワードをよりクリアにイメージしていただくために、とある会社の損益計算書の一部をサンプルとしてご用意しました。

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一見して分かるように、ごく一般的な部門別損益計算書の一部です。
今回は損益計算書のうち、売上高合計までしか表示していませんが、この先に売上原価以下が続くイメージです。

さて、ここで考えていただきたいのですが、この損益計算書に「分析軸=切り口」はいくつあるでしょうか?




私の考えでは、次の項目がこの損益計算書の分析軸に該当します。

期間:時間情報
部門:セグメント情報
勘定科目:経済活動情報
補助科目:経済活動の補助情報
勘定科目計:勘定科目の合計値情報

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この中では「部門」が最もイメージしやすいかもしれません。
事業や支社、支店などのセグメント別に会計情報をもたせることで、セグメントごとの損益が明らかになりますので、部門は代表的な損益計算書の分析軸といえます。部門という軸で損益計算書を縦に切り取るイメージですね。

他はどうでしょうか?
たとえば、期間について、今回は単月の損益計算書をサンプルとしていますが、損益計算書の役割が「一定期間=一年間の経営成績を示す表」であるとすると、単月の損益計算書は一年間の損益計算書を縦に切り取るイメージとなります。

勘定科目、補助科目および勘定科目計も同様です。損益計算書の最終目的を「経営成績=純利益の表示」とすると、純利益に至るまでの経済活動の内容を、勘定科目計>勘定科目>補助科目という粒度で、損益計算書を横に切り取るイメージといえます。

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さらに、この株式会社エレファントのビジネス活動を想像したとき、損益計算書には表れない多数の分析軸が見えてこないでしょうか?

株式会社エレファントでは、PC販売を中心に、サプライ用品およびサービス提供による売上高が計上されていますが、たとえば、担当者ごとの売上や取引先ごとの売上、支社に紐づく各店舗ごとの売上など、損益計算書では表現しきれない分析軸も存在します。

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このように、私たちが普段見慣れている損益計算書には、たくさんの分析軸=多軸が存在し、さらに、損益計算書には現れないレイヤーにおいても、多くの分析軸が存在するのです。

我々は、会計情報には適切な経営判断を行うためのヒントが隠されており、多軸分析によって適切な経営判断のための現状分析ができると考え、Manageboardを通じて多軸分析の実現を目指しています。

すべては「タグ」に集約される

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このnoteで最も言いたかったこと、それは、「Manageboardですべての分析軸を【タグ】として管理できる」ということです。

マネーフォワードクラウド会計シリーズや会計freeeをご利用になれている方にとってはおなじみの概念であるタグですが、Manageboardにもタグ機能を搭載しています。

タグとは、仕訳に貼り付けるしおりのようなもので、仕訳に独自に設定したタグを紐付けることで、そのタグをキーとした財務数値の集計・表示が可能となります。

Manageboardでは、上記の分析軸の多くをまとめてタグと整理しています。
つまり、Manageboardにおいては、部門も補助科目も会計上のタグもすべて【タグ】という同じ箱の中で管理されます。

そして、同じ箱の中に収納されたタグ=分析軸をManageboardの中で自由に取り出したり組み替えたりすることで、財務会計の情報だけでは見えてこなかった経営判断のためのヒントを明らかにすることができるのです。

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テクニカルには、たとえばマネーフォワードクラウド会計であれば、以下の情報をAPI連携でManageboardにインポートできるようになりますので、これらの分析軸をマネーフォワードクラウド会計上で管理していれば、Manageboard上で自由な組み換えが可能となります。

補助科目:取引先、プロジェクト、品目など
部門:事業、支社、店舗など
タグ:上記を含むすべての分析軸

* このnote執筆時点では、補助科目および部門情報のみをAPI連携でインポートできます。

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たとえば、次のグラフをご覧ください。

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支社別の営業利益をグラフで示したものですが、このグラフからは、大阪支社、名古屋支社は営業黒字、福岡支社は営業赤字という事実のみが分かります。

ここには、「支社」「営業利益」という軸しか存在しませんが、仮にこれ以上の分析軸が存在しないとすると適切な経営判断はできるでしょうか?

「大阪支社は黒字だから追加投資する」「福岡支社は赤字だから撤退する」という意思決定あまりも短絡的ですよね。

大阪支社が黒字なのは一時的に人員整理をしただけかもしれず、その結果、売上は縮小しているかもしれません。
福岡支社についても、立ち上げ時期でコストが嵩んでいる可能性もあります。

このように、分析軸が少ないと、経営の実態を適切に把握することができず、誤った経営判断を誘発する可能性も考えられます。

我々は、適切な経営判断は適切な現状分析から導かれると考えています。Manageboardのタグを利用すれば、より精度の高い現状分析を行うことが可能となるのです。

多軸分析のその先へ

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今回は、Manageboardが描く大きな世界観のうち、多軸分析について紹介しました。

Manageboardにおけるタグを分かりやすく説明するのは難易度が高く、特に会計に詳しい方ほど、部門や補助科目がタグという同じレイヤーで整理されていることに違和感を持たれると思います。

既にご説明したように、会計情報という大きな視点に立てば、部門も補助科目も一つの分析軸にすぎないため、Manageboardではこれらを同列に取り扱っているということをご理解いただければ幸いです。

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Manageboardにおける多軸分析は、適切な経営判断をサポートする一機能でしかありません。

どのように分析軸を設定するのか、どのように分析を行うのか、そして、どのように分析結果をネクストアクションに繋げるのかを考えないと、多軸分析機能の効果を最大化できません。

多軸分析は、現在地を客観的に理解するための最初のステップです。
私のnoteでは、多軸分析のその先=経営判断への役立ての方法についても、具体例を交えて紹介していきますので、今後の更新も楽しみにしていただける幸いです!

(この記事を書いた人)
小野敦志。日米の会計事務所勤務を経て、Big4税理士法人にて国際税務アドバイザリー業務に従事。2020年7月に株式会社ナレッジラボに入社し、現在はManageboardのカスタマーサクセス責任者として、Manageboardの導入支援を統括。米国公認会計士。

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