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プロダクトマネージャーが開発プロセスを改善するために社内NPSを実施した話

こんにちは!株式会社ナレッジラボでManageboardのPdM/POを務めている小野です。

今回は、社内NPS(ネット・プロモーター・スコア)を実施した話を紹介します。


社内NPSとは?

「NPS®」とは「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る指標です。
顧客アンケート調査において「商品やサービスを親しい人にどの程度おすすめしますか」の質問から「0-10の11段階」で回答を取得し、値を算出します。
NPS®は顧客満足度とは異なり、企業の収益と相関が強い点から経営指標としての導入が進んでいます。

NTTコム オンライン:NPS®(ネットプロモータースコア)とは?

NPSは対顧客の指標ですが、社内向けにNPSを行うことで、社内メンバーのプロダクトに対する満足度を計測することができます。

今回は、経営陣やバックオフィスを含むすべての社内メンバーを対象にNPSを実施しました。

なぜ社内NPSを行ったのか?

目的は以下の3つです。

  • プロダクトの社内満足度の測定

  • 開発プロセスの透明度の測定

  • プロダクトコンセプトの浸透度の測定

プロダクトの社内満足度の測定

通常のNPS(顧客向け)が重要であることは言うまでもないのですが、社内メンバーのプロダクトに対する定量的な評価を計測する機会は意外と少ないのではないかと思います。

自社プロダクトなので、基本的にはポジティブな評価を得られる(はず!)なのですが、本音として「この部分のUXが悪い」「この機能がないと売りにくい」などの意見があるはずです。
普段の業務の中では言い辛いような本音を含めた評価を知ることを一番の目的として設定しました。

何よりも社内のメンバーが心から良い!と思えるプロダクトを提供していくための現在地の確認でもありました。

開発プロセスの透明度の測定

開発方針や優先度の決定方法の透明性を測ることも、このNPS調査の重要な目的でした。

多くの企業が「開発とビジネスの距離が遠い問題」を抱えていると思います。ナレッジラボでは開発とビジネスの距離を近づけるいくつかの取り組みを進めていますが、それらが機能しているかの確認も含まれます。

プロダクトコンセプトの浸透度の測定

プロダクトの強みを明確に伝えることができているかを確認することも大切です。ナレッジラボでは、「プロダクトの強みは何か」という問いに対する一致した回答が得られないことが課題となっていました。

設問の中に、プロダクトの強みに関する設問を入れることで、その一致度を確認することができます。

社内NPSの概要

設計

  • すべてのメンバーを対象に実施

  • 本音を引き出せるよう匿名回答(所属部署のみ選択)

  • 結果はスライドにまとめて全社朝会で包み隠さず共有

  • 社内NPSから見えてきた課題を特定し、課題解消のためのアクションを開発プロセスに織り込む

設問

  • Manageboardを知人や家族(経営者や経営企画、経理を想定)に勧める可能性は、0~10段階でどの程度ですか?

  • Manageboardを知人や家族(経営者や経営企画、経理を想定)に勧めるにあたって、特に心理的ハードルになるようなネガティブな点があれば教えてください。

  • Manageboardのコンセプトや仕様の理解度は、0~10段階でどの程度ですか?

  • Manageboardのコンセプトや仕様を理解するためのコンテンツや研修は十分に提供されていますか?

  • Manageboardのコンセプトや仕様を理解するためのコンテンツや研修で役立っているものは何ですか?

  • Manageboardの開発プロセスや意思決定の過程、内容は十分にオープンになっていますか?

  • Manageboardの開発プロセスのうち、どういった情報をさらにオープンにしてほしいですか?

  • Manageboardを利用することで顧客が得られる最大のメリットを一つ教えてください。

工夫したポイント

今回実施した社内NPSは「現在地の計測」が目的であったため、それぞれの設問の定量スコアが低かったとしても、それは大きな問題と捉えないようにしていました(もちろんスコアが高い方が嬉しいのですが、、)。

課題の抽出

計測して終わり、とならないよう、スコアが低い場合の理由も抽出できるように設問設計を工夫しています。

たとえば、「Manageboardを知人や家族(経営者や経営企画、経理を想定)に勧めるにあたって、特に心理的ハードルになるようなネガティブな点があれば教えてください。」という設問は、ここで回答のあったネガティブな点が解消されれば、スコアが上がるという仮説が立てられるように設定したものです。
回答の多かった項目に飛びついて課題設定をしてしまうと、本質的な解決には至らない可能性があるので、もちろん内容の見極めを行いながらとなりますが、社内NPSを上げるためのヒントは隠されているはずです。

また、課題の捉え方も重要です。
今回の社内向けNPSでたくさんの課題がみえてきたのですが、限られた時間ですべての課題解消は困難です。優先して解くべき課題を一つだけ抽出し、まずはその課題を潰せるようなアクションを立案しました。
一つだけというのが大きなポイントで、複数の課題を設定するのではなく、唯一の課題を取り上げることで、限られたリソースを最も効果が出るポイントにぶつけていく予定です。

結果の共有

さらに、社内NPSを行って終わりとならないよう、全体向けに結果の開示を行いました。

以下に社内で共有したスライドの一部を公開します!

結果を包み隠さず開示し、課題とアクションを示すことで、この取り組みに協力してよかった、と思ってもらえると考えています。

さいごに

今回は、社内NPSの取り組みについて紹介しました。
私たちは、ユーザーの声を聞くことと同様に、社内の声を漏らさないことも重要と考えています。

今回NPSを行って、拾いきれていなかった社内の声を集めることができたと実感しています。

半年後を目処に同じ内容で社内向けにNPSを行う予定なので、今回得られた示唆を活かして、次回のスコアアップを目指します。

社内向けの施策なのでコストもあまりかかりませんし、大きな効果が期待できますので、このnoteをみていただいたプロダクトマネージャーの方も是非社内NPSにチャレンジしてみてください!

(この記事を書いた人)
小野敦志
日米の会計事務所勤務を経て、Big4税理士法人にて国際税務アドバイザリー業務に従事。2020年7月に株式会社ナレッジラボに入社し、現在はプロダクトマネージャーとしてManageboardの開発に携わる。
税理士 / 米国公認会計士。

Data illustrations by Storyset


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