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創業ストーリー第1章|株式会社TERA Tech Inc.(テラテクインク)とは

自分が暮らす街に、こんなお寺があったらいいと思いませんか?
 
子どもたちが笑顔で駆け回り、
地元の農家さんが採れたての野菜を直売し、
お年寄りがどれどれ、とその野菜を買いに来る。
時には子ども食堂が開かれ、老若男女が混ざって一緒にごはんを食べる。
そこで会話が生まれ、時折、住職が優しい目でその会話に混ざってくる。
 
私は、そんなお寺に、子どもを連れて遊びに行きたいです。

はじめまして。
株式会社TERA Tech Inc.(以降、テラテクインク)代表の森 篤史(もり あつし)と申します。お寺と社会が繋がり、次世代に紡がれることで『ひとりひとりがより心豊かな日常を過ごせる社会』の実現を目指しています

私がテラテクインクを立ち上げたのが2022年10月のこと。この事業の話をすると、「お寺の息子でもないあなたが、どうしてお寺に特化した事業を?」と必ず聞かれます。
 
テラテクインクで何を実現しようとしているのか、なぜそんなことをしようと思ったのか…この会社の創業ストーリーにお付き合いいただけると嬉しいです。

長くなりますので、2回に分けてお伝えしようと思います。

今回投稿します第1章では、私がテラテクインクで何をしているか、どんな世界を目指しているかをお伝えします。
そして次回の第2章で、よく質問されます「どうしてお寺を事業の中心に据えようと思ったのか」の部分を、私のこれまでの人生を振り返るかたちで、お伝えします。


目指すはお寺が真ん中にある地域共創社会の実現

テラテクインクでは、『お寺から社会をよくする』をテーマに、お寺のデジタル化の支援や、イベントの企画・プロデュースなどを行っています。「お寺って…お葬式、お墓参り、法事くらいしか縁がない」という方も多いのではないでしょうか。
 
しかし私は、今の時代にこそお寺が必要とされている、と強く感じています。
 
コロナ禍、私たちは人と会うことがままならないという、これまでにない事態を経験しました。人は一人では生きていけないということ、また対面で時間を共有しながら話をする大切さを感じた方は多かったのではないでしょうか。
 
そんな今の時代、地域の人が集える第三の場所としてのお寺の価値は計り知れません。お寺は、ソフト面とハード面の両方で大きな可能性を秘めています。古くから地域に根差した存在であるお寺は、住民にとっては安心感のある存在です。また、仏教的な教えは人々の心を安らかにし、気づきや学びにもつながるため、地域の人々が集うにはこれ以上ない場所なのです。
 
さらに住宅街にあり、アクセスしやすい立地にあることが多いお寺は、人が気軽に集まることができる環境だと言えます。温度感のあるつながりを大切にしたいと感じる現代において、このような存在は重宝されるべきではないでしょうか。私は、お寺は地域創生の要となる役割を担うことができると考えています。
 
しかし、現実は……私が理想とするような、地域住民にとっての憩いの場となっているようなお寺はそう多くはありません。ポテンシャルがあるにも関わらず、です。どうしてでしょうか。

今お寺を取り巻く危機

 
現代のお寺の多くは、危機に直面しています。全国に77,000ものお寺がありますが、地域社会ですら十分に認知されておらず、人々が訪れるきっかけや受け皿がないところが少なくありません。
 
今の時代、ホームページやSNSアカウントを持っていないと、気になって調べても何も手掛かりが得られず、それきりになってしまいます。それに、気軽に訪れるきっかけになるようなイベントがないと、いきなりお寺を訪れよう、とは思いませんよね。
 
しかし、お寺がホームページを運用したり、イベントを企画したりするまで手が回らないのが実情なのです。
 
お寺の伝統的な収入モデルとして、葬儀、法事・供養などのお布施が大半を占めています。しかし、檀信徒・門徒の減少と次世代とのつながりの希薄化により、経済的な基盤が揺らいでいるのです。十分な収入が得られないから住職が副業をする―するとますます法要などの最も重要な法務への対応も手薄になってしまう負のスパイラルが起こっています
 
お寺の価値を信じる私は、まずはこの現状の問題点の解決のお役に立てないかと、知り合いの僧侶を中心に幾人もの方の協力を得て、改善の方向を探りました。
 
まず問題だと分かったのは、顧客管理(お寺に当てはめるならば、檀家管理)をきちんとできていないこと、また顧客満足度(檀家満足度)の向上への取り組みが不十分であることでした。回忌のお知らせは、年1回まとめて出していたり、それすらもやっていないお寺もあったりしました。ちょうどいいタイミングにお知らせできるよう、毎月漏れなくお知らせを出す―一般企業だったら当然ともいえることを、システムとしてやっていけるようにと開発したのが、テラテク帳です。

檀信徒・門徒は、企業で言うと優良会員です。一般のお客さま以上に手厚いフォローをしなければ離れていってしまうのに、何も手当ができていないのが現状でした。
 
まず今の檀信徒・門徒とのつながりをしっかりと強化し、供養忘れを防ぎ、このお寺にお世話になっていて、よかったと思われるように満足度を高めていくことが、お寺の基盤を整える第一歩です。そのうえで、情報配信や活動の可視化を進められたなら、お寺は地域に開かれた存在として、その価値を多くの方に知ってもらえると考えました。


目指していること、大切にしたいこと


これらのサポートの先に私たちが目指しているのは、お寺が地域コミュニティの中心となり、その地域が活性化していくことです。お寺は、老若男女が集まる唯一無二の場所となりえると考えています。いつでも誰にでも開かれた、心理的安全性のある場所が存在することで、社会的孤立は減るはずです。
 
それに、「ちょっと立ち寄れる場所」が変わらずあると、地域につながりができ、住民たちは地元に愛着心を持ち続けられるのではないかとも考えています。
 
個人に依存せず、人や時代が変わっても続けていける持続可能性を担保しながら、お寺・街・事業の三方よしの、現代における新しい寺子屋のかたちを模索し、構築していくことを、私たちは目指しています。

このような、私の目指す世界に共感いただける方―お寺の関係者様、自治体の関係者様、一緒に事業を盛り上げていきたいという方たちと一緒に、テラテクインクは成長していきたいと思っています。


次回、お寺の息子でもない私が、「どうしてお寺なのか」をお伝えする第2章も、お読みいただけると嬉しいです。
 


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