未経験のことを正確に感じたい(38)

いつもは、ひとりの働く人、事業に携わる人という観点で記事を書いているのですが、今日はいつもと違った視点です。

未経験のこと

最近、これまで経験したことのないことが増えました。もちろん、2020年1月から世界に広がっていった伝染病なんて、生まれて初めての経験でしたし、それによって国境が閉じられ、国内ですら移動がままならず、外食すら規制され、仕事はリモートワークにすかさず移行なんてことも生まれて初めての経験でしたが、それだけではありません。
2月に東欧で始まった戦争では、事実上、大国(少なくとも軍事的には、事実上の経済的でも)が対峙しています。昭和の後半に生まれた私ですが、その頃、既にベトナム戦争は終結していました。小学校の頃に見たランボーがベトナム戦争の後の「あったらいいな」を描いたものだと知ったのは大人になってからでしたし、中東、東欧、アフリカ、アフガニスタンでの軍事衝突は報道もされたけど、なにやら一方的なものばかりでした。
5月の企業物価が10%になった、なんて、初めてです。もちろん、ガソリン価格があがると高いなぁ、と思ったり、ここ最近は不動産価格が高いなぁ、と思いましたが、1999年に社会人になって以来20年以上、報道されるのも、発表されるのも、デフレのことばかり。物価が上がるのは、外国のことばかりと思っていました。金利にしたって、小学校の頃は、確か、公定歩合が5%くらいあって、両親には「お年玉は郵便局に貯金しときなさい」なんて言われたことがりますが、それ以外は下がるばかりです。金利が上がろうが下がろうが、両親は「貯金しときなさい」というのは変わりませんけど。

人の反応

経験したこと、特に痛みを伴った経験の兆しには敏感ですが、経験してないことにはなかなかそうもいきません。今起こっている未経験の事象が、経済環境にとって、会社の事業にとって、そして、私にとってどんな影響を持つのか、どんな意味があるのか、いまいち、肌感覚ではつかめません。人は未来を確定的に認識できない以上、いくつかのシナリオを描いて、シナリオの兆しに目を凝らしながら、タイミングを見計らって選択を続けることがほとんどだと思います。私も場合、最悪シナリオを思い浮かべて、それにうんざりしながらも「そうなった時には最悪ここまで覚悟しよう」って想像して腹決めしたりします。今回は、その最悪シナリオにリアリティがありません。

歴史を覗く

もちろん、そういうときの常とう手段として、歴史にヒントを探しに行くというのもあります。正直に言えば、こういう時にしか歴史好きのマニアックな知識があってよかったと思うときはありません。
それにしても、全世界的にインフレ基調になることがわかるのは近代以降で、第一次世界大戦直後、第二次世界大戦戦後からオイルショックくらいでしょうか?でもそのころは金融制度はまだまだ未発達です。変動為替なんてオイルショック直前だし、年金基金も同じくらい、投資信託は更に後。インフレという観点では類似しているけど、金融経済という観点では類似がありません。

もちろん、各国政治家や政策担当の皆さんは、特に民主主義国では、国民の暮らしを守るため、少なくとも最悪にならないように、次の選挙でも評価されるように、頭を巡らしてくださっているんだと思います。
それでも、自分たちを守ることも、繁栄させることに、一番責任を持っているのは自分たち自身。シナリオにリアリティが出るくらいに洞察していきます。

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