私の周りには思い出が浮かんでいる
ダイヤモンドのようなものもあれば
鼻をつまみたくなるような
悪臭を放つもの
思い出が浮かぶ
タバコに火をつけて
その思い出達に煙を吹きかける
曇って見えなくなってしまえと
祈りながら
煙を吸った思い出が
咳き込んでそっぽを向く
しめしめと私は思う
少し寂しい
少しそう思ったのを
タバコの煙で満たす
ようやく私は1人になった
思い出達はみんな私から離れた
私は吸殻を足で揉み消す
ここには
私と潰れた吸殻だけが残った
ライターは
まだつくだろうか
私の胸ポケットに
潜ませた最後の思い出を
今から吸い込むことにする
随分と
湿気ていた