【コンサルタントのキャリア】

繁村早百合さんからバトンを受け取りました上條淳です。宜しくお願い致します。
 
コンサルタントの転職相談で目立つ傾向は2つあります。
1つは「これからは事業会社で」というもの。多くの人が口にする転職動機は「クライアントの営変革の支援をしてきたが、しょせんは助言者にしかなれない。これからは当事者となって自社の建て直しに貢献するような人物になりたい」といった内容。多くの人が口にする以上、その多くは本音なのだと捉えています。
しかし、相談を重ねていくうちにもう1つの本音も浮上するケースが多くあります。それは「とにかく忙しすぎるので転職したい」という気持ち。決して批判すべき心情ではありません。ただ、「いったい自分はどうしたいのか。何を最優先の目的にして転職しようというのか」というのをきちんと見定めていくことの重要性は知っておくべきだと思います。
 
 さて、コンサルタントの転職で目立つ傾向の2つめは何かというと、「今いるコンサルティング会社から別のコンサルティング会社へ」というものです。
大半の人は「今よりも規模の大きなコンサルティング会社へ」もしくは「世間的なブランドから見てもワンランク上のコンサルティング会社へ」という希望を持って相談にいらっしゃいます。もちろん、すんなり希望を叶える人もいますが、そうではない人も相当数います。正直に言えば、現職で得ている収入と年齢とを照らし合わせただけで「希望を叶えるのは困難」だとわかってしまうケースも多々ありました。
例えば、もうすぐ40歳だけれども年収が1000万円に満たない、というような人は「ワンランク上の会社」にはまず入れません。なるべくそうした厳しい現実は事前にお伝えするのですが、ご本人はたいてい信じません。「いや、私は不当に過小評価されているだけ」と。冷たいようですが、それなりにしっかりした実績を持つコンサルティング会社にいて、そこでの収入が低めだという場合、やはりそれがその人の正当な評価結果だと思われてしまいます。
それでも「受ける」というかたは無理には止めません。不合格の結果が出た時に、目を覚ましてくださる方も多いからです。
 
私はなにも、夢のない話をしたくて、こうした例を挙げたわけではありません。大切なのは「なぜ規模の大きなところで働きたいのか」「なぜワンランク上の会社へ行きたいのか」という「目的意識」の面です。「今よりももっと権限を持たせてくれれば、自分はもっと成果を上げられる」という意識で転職を考えている人ならば、私はむしろ「今よりも規模の小さいコンサルティング会社」をお薦めしたことがありました。もちろん規模だけで企業は語れませんが、大規模なコンサルティング会社でくすぶっていたようなかたが、あえて小さなコンサルティング会社へ転職し、そこで多くの責任を任され、花開いた例というのをいくつも経験しました。「コンサルティングの実務面での充実度が変わった」という人もいましたし、「規模の小さなコンサルティング・ベンチャーに入ったおかげで、自分の会社を自分で大きくしていく喜びを知った」という人もいました。
ポイントは先の「コンサルティング→事業会社」での話と同じです。「どこに入るのか」以前の重要な問題として「自分は何を目標・目的にして働きたいのか」を明確にすること。これを理解しているかどうかが重要だと考えているのです。
 
そこで、あらためて問題を提起したいと思います。あなたは「キャリア」をどう考えていますか? 自分のキャリアをどうしたいのか、考えたことがありますか?
 
次回は藤野美紀さん、宜しくお願いします。

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