自身も差別に加担していると自覚すること ~マジョリティ側の特権について~
差別について語らない社会というのは、(たくさん存在する)差別がないことになっている社会である。
差別について語らないひとは、レイシスト(差別主義者)を育てることに加担している。
以上の、出口 真紀子さんによる講演記録がとても素晴らしかったので、それについてのnoteを書く。社会のマジョリティ側が気付かずして持っている「特権」についての話。
差別は個人の課題、つまり「差別をする人が悪い、その人の責任だ」というだけではなく、構造的、文化的な問題であるということが書かれてある。文化的な問題ということは、すべての人が関わる問題ということである。また、「行動にさえ移さなければ、差別にならない」という考えが差別につながることが書かれている。
特権について
記事の中で、特権は以下のように定義されている。
ここでのマジョリティとは、数のことを表しているわけではなく、「よりパワー・権力を持った側」を「マジョリティ」、「権力がより少ない方」を「マイノリティ」と分けている。例えば、民族であれば日本人、ジェンダーであれば男性であることがマジョリティにあてはまる。
特権の例えとして、「自動ドア」が挙げられている。マジョリティ側は、目的に対して、どんどん自動ドアが開いていく。一方で、マイノリティ側は、自分でドアを開けていかなければならない、開けようとしても開かない場合がある、と述べている。
私自身の特権をあげるとすると、男性でありシスジェンダー。身体的に健常者にあてはまる。工学部に進学しているが、そこへ進むことに迷ったことはないし、コミュニケーションの場で、ジェンダーについて疎外感を感じたことはほとんどない。これだけではないが、このように自動ドアがたくさん開いて生活してきた。
また人々はマジョリティ側とマイノリティ側の両方を抱えている。その割合、どちらが多いかによって、生活の過ごしやすさが変わってくるだろう。
なぜ特権について気付けないのか
自動ドアの例があるように、特権は見えないところで常に働いているので、当事者は気づくことができない。一方、特権がない側は、常にドアを開けながら生きていく必要があるので、それらに気づいている。
マイノリティ側は、マジョリティ側の考え方を時間をかけて理解しなければ生きていくことが難しい。一方で、マジョリティ側はマイノリティ側の目線を考えなくても、問題なく生きていけてしまう。これまでの生活を振り返って、自動ドアが勝手に開いていた経験がないか、一度考えてみてほしい。
現状は平等ではない
日常の中で、LGBTQ+などのマイノリティ側の意見を目にして、どのように感じるだろうか。正当な主張だと感じるだろうか、不平等だと感じるだろうか。
以上の視点は、非常に重要であると考える。今後も社会全体でダイバーシティに関する改革は行われていくだろうが、この視点がないと、多様性の取り組みに対して誤った考えを持ってしまいかねない。
差別について語らないことは、差別主義を加速させている
記事内で、差別に関しては「中立的な立場」はありません、と述べたうえで、3つの分類をしている。
積極的な差別主義者
消極的な差別主義者 (何も行動しない人)
積極的な反・差別主義者
消極的な差別主義者について、なぜ行動しないことが差別主義側に当てはまるのかというと、これまで見てきたように、すべての人が何かしらの特権を有して生きているからである。声を上げないということは、マイノリティ側が常に受けている社会的抑圧を見過ごして生きているということ。
この視点も非常に大切であると思う。差別の文化的な問題は、まさに消極的な差別主義者が関わっている。社会に流れる抑圧的な空気は、声を上げずに特権を行使している人が作り上げているのである。
また、特権を持っている側がこのような問題に意見することが大切である。女性がジェンダー問題に対して声を上げるのと、男性が声を上げるのでは、捉えられ方が異なる。意見の通り方が違うのもまた特権の効果である。
特権を持っていると自覚したならば、それから逃げない
私は今回のテーマに前々から関心があったが、どのようにアクションを起こせば良いかわかなかった。自分の言動ひとつひとつが正しいのかわからず、差別に当てはまるのではないかとむずかしさを感じていた。ただ、その段階も、差別と特権を学ぶ上で必要な段階であると学んだ。
また、冒頭の二つの言葉は、クリティカルに自分に刺さった。あまりに複雑な課題で、個人としてできることの無さに虚無感を抱いてしまいそうになるが、まずは学ぶこと、そして堂々と発信することから始めたいと思って、このnoteを書いた。
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