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光に溶ける君たちへ

この、夜とも朝とも言えぬ
微妙な時間帯にだけ現れる
判断力の鈍った不安定な私が
真っ当なフリして笑う昼間の私を
生かしているのだと強く思う

自分の手を汚さないように
薬に頼ってでも笑えるように
調整された昼間の私は
完璧とは言えないけれど不自由なく
世界というものに浸りながら
ころころと軽やかに笑っている

嗚呼、でも今の私はどうだろう

矛盾と被害妄想に支配され
靄のかかった頭で下す判断と言えば
誰が好きとか嫌いとか
何が自分を自分と定義しているかだとか
足跡のついた自己啓発本の
目次をなぞっているだけにすぎない

それでも
そんな愚かしさを振りかざしてでも
私は私を護らなくてはならない
心のやわらかい部分を
どこかの誰かに踏み付けられない為に
必死になるしかない

もうすぐ私の目は光に潰れ
昼間の私が目を醒ます
何も知らないフリをした私が
何かの犠牲の上に成り立った私が
今日も今日とてよく笑いながら

この世界を生きてゆく
次の私まで生きてゆく


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