「vol.3 職人さん100人数珠つなぎ」杉原吉直(Yoshinao Sugihara)さん /和紙ソムリエ/越前和紙
さらに千年続けていく!という想いで、個社のことではなく、越前という地域全体のこと、和紙や紙業界全体の活性化を第1に考えているという杉原吉直さん。国内外のデザイナーとコラボレーションするなど和紙の可能性を追求されています。
1:大切にしていること//地域、業界全体が盛り上がることを考えて行動する//
1:大切にしていること//地域、業界全体が盛り上がることを考えて行動する//
杉原吉直さんが生まれた越前市今立地区は、まさに和紙どころ。といった地域なのだそうです。地域には全国の紙業界の総鎮守でもあり、全国で唯一の紙の神様である川上御前が祀られており、毎年5月のゴールデンウィーク期間中に開催される「神と紙の郷のまつり」には地元の人だけではなく、全国から紙に携わる業界関係者が訪れるそうです。また、杉原さんが小学校生の時には、同級生のほとんどの親御さんが和紙に関係するお仕事をされていたそうです。
そんな越前和紙産地で越前和紙問屋“杉原商店”の 10代目として生まれ育った杉原さんは、越前和紙をより多くの人に見て、触れてもらいたいとの想いから地元の和紙アイテムを展示販売するギャラリーを開設しています。また、利他の精神に溢れる杉原さんを物語るエピソードの1つとして、私が担当した富山デザインウェーブ2020企画展「紙の可能性、紙のデザイン〜」に、越前和紙をより多くの方に知って頂けるなら!と商品を快くご提供下さいました。
お話を伺う中で、杉原さんには手漉きの神様が降り立つ場所に生まれた誇りと、全国一の和紙産地である越前和紙を盛り上げようという強い想いがあるのだと感じました。
2:モットー//企画から職人さんやデザイナーを巻き込み、楽しみながら和紙の可能性を追求する//
杉原さんの大切な役割の1つは、需要を作り、職人さんに仕事を作り出すことです。杉原さんは、企画段階から職人さんを巻き込み、職人さんの向き不向きといった特性を見極めて、プロジェクトごとに対話のタイミングや回数を変えるなど職人さんが気持ちよくお仕事をしてもらえるように工夫しているそうです。職人さんとの距離が近い問屋さんだからこそ、次々と新しい和紙アイテムを生み出すことができるのだと感じました。例えば、和紙に漆を塗った漆和紙(Uru-washi)。特に、ドイツ人デザイナーとコラボレーションした漆和紙ステーショナリーは汚れに強い漆の特性により堅牢かつ漆のシックな色合いが素敵で日常使いしたくなる商品です。その他、ちぎり和紙(Chigiri-washi)という透かし技法を用いて作られる、ちぎって名刺や動物の形をしたちぎり和紙。こちらの商品は、和紙をちぎる際の端にできる和紙繊維独特の毛羽立ちを楽しむことができます。さらに、このコロナ禍に誕生させた商品は、ちぎることで顔の大きさに合わせてサイズを変えられる和紙マスク。私も使わせてもらいましたが、呼吸がし易く、肌にも優しい感じがしました。ちょっとしたプレゼントにもおすすめです。
和紙ソムリエとして職人さんやデザイナーさんをコーディネートし、和紙を使う私たちがワクワクするような商品を生み出し続ける杉原さん。次は杉原さんが大絶賛する越前市今立地区に足を運びたいと思います。
//杉原吉直さんの会社情報//
株式会社杉原商店
https://www.washiya.com/
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