薬局にて学んだこと29 流れが変わるとつき合う人が変わる

 よく、人生を変えたいのなら、つき合う人を変えなさいと言います。悪い仲間の中にいて、どうしてもその場所から抜け出さなければいけないこともありますが、意図的につきあう相手を変えなくても、自然な出会いによって私たちの人生は変わってゆきます。自分のまわりは、自分の鏡だとも言います。本人が変わると、その人のまわりを流れている経脈(けいみゃく)がそれに合った人を運んできてくれます。
 
 ずいぶん前ですが、ご主人が調子の悪い奥さんを背負ってうちの薬局にみえていました。そうして何度も通われるうちに、その甲斐あってか彼女は体調が良くなってゆき、ひとりでみえるようになりました。ある時にご主人のことを尋ねたら、彼とは離婚したと言われ、思わず「ご主人はあんなに献身的だったのに」と言ったら、「病気の時は良かったけど」と彼女は答えたそうです。
 
 もちろん夫婦のことですので、何が原因で離婚をしたのかそんなことはわかりません。友だちもそうですが夫婦間も、人としてともに成長していかないと一緒にいられないと言います。これはそういうことだったのでしょうか?それとも、彼女が病気をした原因が、自分の生き方やご主人にあったことに気づいてしまったとか。あるいは、ご主人のことが好きでなくなっていたけれど、病気の時は必要な人だったとか。勝手な憶測ですね。とにもかくにも、彼女にはご主人が合わない人になってしまったみたいです。
 

 人と人との間って、ささいなきっかけで変わってしまうことがあります。多分、そこに至るまでの長い間に、流れが変わる小さな積み重ねがあるのだと思います。それは、当人たちに限らず、そのまわりの人たちが積み重ねをして、当人たちの流れを変えていってしまうことかもしれません。そんな時に、付け焼き刃のように流れを戻そうとしても、その行動は大きな流れの前では、かえって裏目に出てしまったりします。人との別れは、また新たな出会いのための準備です。
 
 それとも、あなたにとって必要な、どうしても変えたくないつながりですか?では、どうしてその積み重ねができてしまったのか、どうしたらその大きな流れに踏みとどまることができるか、を考えることですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?