六月十八日・十九日@ウィーン

六月十八日

今日から学会が始まる。初めて音楽関係の大きめな学会だ。本当は去年デンマークで行われる予定だったが、今年に延期され、ハイブリッド形式で行うことになった。ヨーロッパの旅行規制が緩和されたので、今の状態だと陰性証明書さえ持ってればおそらく隔離なしでデンマークに行けるが、研究費の申請の時期にはまだよくわからなかったのと、ワクチン接種を終えていないので不安もあり、悩むことなくオンライン参加にした。

今日から始まると言っても初日はワークショップの日で、本格的なシンポジウムとかポスター発表は明日以降である。自分の論文の修正が終わってなかったので泣く泣くサボることにする。ワークショップのテーマが自分の研究とあまり関係なかったというのもあるけど…こういう機会でもないと関係ないトピックに触れることがないのでもったいないことをした。けれどもしょうがないので諦める。

論文は本当にもう少しなんだが、もう少しから完成までが長い。一度完成させた論文なので膨大に直すことなどがあるわけではないが、自分の心配性も重なって入念にチェックをしていたら終わりそうで全然終わらないのである。昔と比べると完璧主義的な部分は減ってきたと思うけれど、心配症なところはまだあるし、コードのチェックとかし始めたら神経がおかしくなりそうになるので、私は研究職が向いていない気がする。論文を複数人で書くように、コードも複数人で書きたい。

だいぶ終わったけれど完全に終わらなかったので明日も学会中に合間を見つけてやらなければならない。ガッカリ。帰って夜は友達とガンダムを見たけど難しくて寝落ちした。

六月十九日

今日は土曜日だが学会なので大学に行くために前日にPCR検査を受けておいたが、大学の開館時間を見たら十一時からと書いてある。学会は九時からなので家から参加することにする。

今日のシンポジウムは自分か自分のラボに関係するトピックが多く、聞いていて面白いなぁと思った。コロナのせいもあって、そもそも孤独な博士生活がさらに孤独になっていたが、改めて学会にきて「あぁ研究っていいな」という素朴な気持ちを思い出す。

思い返せば三月に日本の学会にも出たし、その前も学部の研究発表会があったり他大に講演に行ったりしたので、先生以外の誰かと研究の話をするということはあったのだが、何故かそういうことを思わなかった。

意識的にやめようと思ってやめたわけではないのだが、やはり長年愛用していたSNSをほぼ使っていないのが日常生活に影響をしてきているのかなと思ったりする。五月末から大学とのメールのやりとりと私生活のごちゃごちゃが重なってコミュニケーションの負荷が大きくなったので、SNSを定期的に見て誰かと喋る元気がなかっただけなのだが、それが回復してきた今でも誰かと喋ろうという気になれない。

街の生活が少しずつ通常に戻ってきているので、先週の土曜日はラボのみんなで集まってピクニックをしたし、来週はこちらの日本人の知り合いの人にも会うし、他にも美術館に行ったり本を読んだり、それなりに充実している。とはいえSNSみたいに随時更新される情報が自分のところにやってくるわけではないので、昔どこかで書いた「つまらない日常」なのだが、そのつまらなさが逆に新しくて面白くなってきている。

思えば三年前の今頃にマストドンを見つけて、さらに他の分散型SNSを知り、それから途中辞めたこともあったけど基本的には入り浸って色んな人と交流したし、実際に会った人もいるし、ネットがなかったら実現し得なかった人間関係に恵まれていたなぁと思う。もしこの関係がなかったら、ブダペストの真ん中で病んでいたかもしれない。

何となくで始めたことは何となく辞めるのか、よくわからない。昔Twitterをやっていた時は何となく辞めたけど、それから一度もアカウントを作り直していない。でもfacebookは留学したタイミングで(必要もあって)作り直したけど…まぁ自分の行動を予測する必要もないし、別に一貫性がなくてもいいやと思う。

学会は最後のシンポジウム以外は全部参加して、コツコツ分析の最終チェックをする。致命的ではないがやはりまた細かいミスを見つけて本当に心配になるがこれ以上確認する時間はないし、コードもデータも全部公開するから誰でもチェックできる状態にしておくのが、前に進みながら最大限にできることかなと思う。

夜は『ユーリ!!! on ICE』の続きを見る。フィギュアスケートのアニメなのだが、アニメーションが綺麗だしイケメンばっかり出てくるし見ていて和む。そして友達と見るのが何より楽しい。