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二月二日@トト

昨日からブダペストから一時間ほど離れた場所にあるトト(Tata:厳密にはトとタの間の発音)という町にいる。いつも髪の毛を切ってもらっている美容師さんの故郷。

ブダペストの西駅からギョール(Győr)行きの電車に乗る。チケットはネットで買った方が安いのであらかじめ買っておいたのだが、思ったより早くて遅刻しそうになる。というかあとでチケットを見て気づいたが、三時間ほど有効時間があったので、別に乗り過ごしても大丈夫なようであった(国内線の二等車なので指定席もない)。

トトに着くと、駅周りには何もない。だいたい二キロほど歩くと、小さな市街地が出てくる。ついてまずカフェに入り、途中まで論文を読んだり、持ってきたアナログの日記帳に思ったことを書いたり、昔書いたことを読み返したりする。

今日泊まる宿に行くと、ハンガリー人のおばさんが二人。一切英語が通じないし私もハンガリー語が喋れないが、知ってる単語を使ってなるべくハンガリー語で会話しようとする。英語って役に立たない。大切なのは非言語的な、というか人間の本質を試されているような気分になる。

そのあと、Öreg-tó(Old Lakeの意味)沿いを歩く。風が強い。北の方にTatai vár(Tata Castleの意味)を発見し、明日の朝、帰る前に寄ることにする。何考えずにベンチに座り、ただ湖を眺める。ハンガリーといえばバラトン湖だが、あのゴージャスさと比べてとても質素だけれど、もっと心に響く美しさ。

カフェでセラーノハムのサンドイッチをつまんで、宿に帰る。SNSをしつつ、ラジオを聴きながらスクリプトを見ていると間違い(というか不十分な箇所)を見つけてしまい、寝るまで書き直すが書き終わらない。ピアノの演奏がデータポイントが多くて、うまく書いたと思っても、数日後にミスを発覚して、だんだん怖くなってくる。

全てのデータを目視でチェックすることができないので、何かエラーがあって初めて気づくことが多い。エラーが出ない場合、もしかしたら間違ってるかもしれないけど気づかずにそのままにしてしまっている場合がある。最近はバージョン管理のおかげで、いつなんのエラーを発見してどのように直したのか、など色々履歴が残せるので本当にありがたいが、分析が終わって学会で発表したりした後にミスが見つかるかもしれないと思うと、吐きそうな気分である。

夜は日が変わる前に一人眠る。いつも一人なんだけど、見知らぬ部屋で一人はまた違った寂しい気持ちだ。