九月十四日・十五日・十六日@ブダペスト

九月十四日

学会から帰ってきて一日目。特に何もないが、朝に長めのストレッチヨガをする。四十五分。

午前中に洗濯を済ませ、Szént Kálmán tér(セント・カルマン駅)近くの市場に行ってみることにする。前住んでいたところは近くに大きめの市場(Rákóczi tér)があり、野菜などはなるべくそこで仕入れていたが、流石に今の部屋からは遠いので、最寄りの市場に行ってみたかった。

市場に行ってみると、前の市場と同じぐらいの大きさで、とても活気付いている。ブダペストで一番大きい市場といえば中央市場なのだが、そこは観光客まみれという意味で活気付いているものの、この市場は地元の人で賑わっている。

ハンガリーらしいというか、店の人が全然愛想がない。桃を買おうと思って取ろうとしたら勝手に取るなと怒られた(多分。ハンガリー語がわからないので確信はもてない)。野菜、桃、卵、チーズなどを買う。

午後は大学に行って、大量にある荷物を持って帰ろうとする。まだまだあるが少しずつ減ってきた。少しピアノの練習をする。

帰ろうとしていると、私がベルリンに行っている間に友達のお世話をしてくれた後輩に会う。友達は普段モンテネグロに住んでいるが、学会でプラハに行きブダペスト経由で帰る予定が、急遽フライトが次の日に振り返られ、ブダペストで宿を探していた。突如お願いしたのに快く引き受けてくれた彼に感謝である。

九月十五日

今日から久しぶりにジムに通おうと思うのでマンスリーパスを買う。朝9:45からのヨガのクラスはそこまで早い時間でもないのに日曜日だからか私と後もう一人男性がいただけ。久しぶりにジムで体型の写真を撮ったら三ヶ月ぐらい前と比べて割と変わっていたので驚く。この話はまた別の記事に書く。

ジムの後はご飯を食べていなかったので適当なカフェでブランチ。レモネードもご飯もまあまあ美味しかったが、まあまあな店であった。昼の待ち合わせ時間まで時間があったのでもう一軒カフェにいく。ここはよかった。

日本人の友達に招かれたが、彼は今私と共通の知り合いの家に居候している模様(もうすぐドイツにいくので)。 今日はさらにゲストで、同じ大学で修士課程を始めるアメリカ人の女の子とその彼氏(なんと日本人)と会った。ベジバーガーを食べて日本のことを話したり、カップルが帰った後はPhDのことを話す。

前までは億劫で人の誘いにもほとんどいくことがなくなったが、最近はちょっとしたことでも顔が出せるようになった。本当に少しずつであるが変わっている部分はあるのだと思う。

夜は長めにピアノを弾く。まだまだだが、少しずつ黒鍵のエチュードが弾けるようになってきた。レッスンの再開は十月から。

九月十六日

朝はスピニングのクラスに行く。前の家から最寄りのジムは歩いて十分だったが、今の部屋からは(場所は違うけど最寄りのジムまで)歩いて&トラムでトータル三十分ほどかかるのだ早めに出る。先生が私のことを覚えていてくれる。

大学に行くと、昨日なぜ気づかなかったのかわからないが、お昼に指導教員から連絡がきていて、今週ミーティングができないとのこと。代わりに二番目の指導教員がミーティングしてくれるとのことだが、提案された日が今日で焦る。なんの用意をしてないが、なんの進捗もないのでとりあえず会って喝を入れてもらうために会うことにする。

会ってみると恐ろしく怒られることもないが(まあ正直当たり前だ、もう大人だし困るのは私なんだから)、色々アドバイスをもらった上に、そろそろ博士課程の終わりを考えながら研究をするようにと諭される。第一指導教員の先生(オーストリア人)と比べると第二の先生(ドイツ人)はより直球で現実的だ。前がそれが(英語が下手なのもあって)苦手だったのだが、今はむしろ心地いい。この前ベルリンに行って思ったが、もしかしたら私は物事をはっきり言う文化が好きになってきているのかもしれない。まあ、別に人種は関係ないかもしれないが。

お昼はたまたま歩いていた、この前友達を世話してくれた後輩と会ってお昼をする。最近できたベジタリアン向けのヘルシーなお店に行く。こういうことも昔は少なかったが、最近はほんの少しずつだが増えた。

今日から本格的に学期が始まって、学部にも人が戻ってきて活気付いている感じがする。梨木香歩の最近のエッセイの中に、「逃げることは悪いことではない。逃げて逃げて逃げ切って最後残った仕事がようやく自分の仕事」というようなことが書いてあった(もしかしたら彼女もどこかで聞いた言葉だったかもしれない)。とにかく博士の二年目は逃げて逃げて逃げ切った一年だと思った。自慢できることではないが、ここまでサボった人もなかなかいないだろうと思う(精神疾患などを除いて)。

根本が鈍いのだろうが、だからといって悔やむこともなくなった。ただ、私の生活はヨーロッパにあって、しばらく日本に帰れないと覚悟して、私は新しい人生を必要としているのだ。もう誰にも媚びないし、振り返らない。