六月二十八日・二十九日@ブダペスト

六月二十八日

今日はほぼ一年ぶりにブダペストに行く日。先週久しぶりに国境が開いて、隔離なしで入れるようになったので、お世話になった人にお礼と銀行口座の解約のために行くことにした。家に残っている野菜などをできるだけ食べる。ズッキーニをペスト(市販のジェノベーゼ)で味付けしたものに、目玉焼き三つ。

朝は学部の全体ミーティングの日。まだ大半がブダペストに残っているが、次の秋からはほとんどがウィーンに来るので、ウィーンの新しいオフィスやラボ、そして人々の移動のことなどを話す。ついでに今後の新しい構想とか、各々気になっていたことの確認など。学部が小さいからできるのだろうが、こういう場所があるのはうちの学部のいいところだなと思った(みんなの顔が見れる機会でもあるし)。

その後小一時間ほど友達のライフヒストリーの課題のために、私の人生(!)について雑談したりする。喋りすぎて次の日に残りは持ち越し。

バスが二時でまだ時間があったので、ロックダウンが始まる前に一度だけ行ったカフェに行く。おしゃれなアボカドとクスクスと焼いたチーズ(何のチーズかわからない)のサラダを食べる。お気に入りのOberlaaでお土産を買う。Sparでビールを買う。

バスに揺られて寝ていたらすぐにブダペストについた。距離は250kmも離れていなくて、本当にすぐそこなんだけど、流石に違う国ということもあって東京と大阪よりはるかに心理的距離を感じる。Kelenföldの駅に降り立って、ゾワっとする。ずっと懐かしかった感じ。

荷物が多いので一旦宿泊場所(大学の寮、遠い)に行ってチェックインする。そういえばブダペストに引っ越してきたときはここで二週間いて住むところを探したなぁ(イギリスの時の反省を生かして長めに滞在場所を確保していたけど、いいところがすぐ見つかって一週間もいないで退去した記憶がある)。そこの部屋のことは前に書いたことがある。あぁ、今思えばなんて贅沢な暮らしだったんだろうか(今のところも悪くないが)。

夜はお気に入りのCafé Csigaに行く。メニューが変わって食べたかったサラダがなかったので、チーズバーガーとレモネード(レモンたっぷり入ってるやつ)を飲む。日本語が少し喋れる店員さんがいて、会釈したけど、恥ずかしくてあんまり喋れなかった(多分向こうは覚えてくれている感じだったけど)。帰りの日にも行こうと思うので、もしいたらちょっと喋ってみたい。

六月二十九日

今日はたくさん人に会う日。朝は昨日の続きのライフヒストリーのインタビューを一時間ぐらい受ける。朝の支度をするが、寮のシャワーは狭くて本当に嫌だ(しかしお湯がふんだんに出たのでそれはありがたい)。

大学近くのバジリカ(観光名所)あたりにあるCoffee Companyに初めて行く。ずっと知ってたけど一度も入ったことがなかった。生クリーム盛り盛りのハンガリーらしいホワイトモカを飲む。学年にして一個上の先輩と久しぶりに会い、お互いの実験のこととか生活のこととか、色々話す。特に先輩のお父さんの介護の話が本当に大変そうで、能天気な自分は何と声をかけてあげればいいのかわからない。

そのあとは学部に行く。私の学部は昔ながらの建築様式の建物中に入っていて、オフィスとは思えないほど美しい場所だった。螺旋階段を登って一階に行くと、いろんな先生とか同僚に久しぶり〜と言われて小一時間ほど話す。ほとんどは秋にウィーンに来るからまた会えるけど、しかしこの学部で会うのはもう最後なんだと思うと悲しい。自分が思っていたより、ここで過ごした三年は大きかったようだ。私は何度も言うがとてもハンガリーが好きである。

そのあとはアストリアに行って銀行の解約をする。そういえば銀行の解約って人生で初めてかもしれない(ネット銀行はやったことがあるけど)。特にめちゃくちゃ時間がかかることもなく、三十分ぐらいで終わる。解約の理由を聞かれて「ウィーンに引っ越したので、もうフォリントでお金を使わないです」というと、解約寂しいですと言われて困る(ありがとう、さようならとハンガリー語で言ってにこやかに去った)。

夕方まで時間があったのでお気に入りのfeketeでゆっくりする。昼に聞いた同僚のお父さんの下ネタ話が衝撃で、お友達と通話して喋っていたら数時間ぐらい居座ることになった(外だったしあんまり人がいなかったからいいんだけど)。SNSをやめてから暇になったけど、何となく誰かと喋ったり本を読んだり中庭でぼーっとしたり、これはこれで楽しい。中庭から見た空が綺麗だった、この建築様式はとてもハンガリー(真ん中が筒みたいになってる)。

夕方は仲の良かった同僚で、ウィーンには引っ越さない人たちとドナウ川沿いに言ってウィーンから持ってきたビールを飲む。本当に他愛のないことただ喋る。三時間ぐらい、暑いけどドナウ川の眺めは最高。

そのあとはお気に入りのカフェMűterem Kávézóに行く。前は夕方には閉まってたと思うけど、最近は九時までやってる模様。いつも飲んでたラテとパニーニを食べる。居たお兄さんは知ってる人だったけど、前に通ってた時によく居た人ではなかったので、その人たちは元気かなぁと思ったりする。