指導教員を楽しませるには

毎週水曜日、指導教員とのミーティングがあります。いつも前日の火曜日は憂鬱で、一週間もあったのにほとんど何も進んでいないという懺悔と何かやった風の丁稚上げを作るのに苦しんでいます。実際、私の先生は聖母のようで、愚かな私を優しく包み込み、毎回必ず一つは私のいいところを見つけて褒めてくれます。

自信のない私は、褒められれば褒められるほど「そう言わせてしまってすいません」と、また負のループに入るわけですが(意味のない悪い癖です)、博士課程で定例ミーティングは避けて通れないため、なんとか学年がに上がる前にわくわくする行事に変えることができないかと考え、何が自分を苦しめているのか考えてみました。

①何も進捗がない - 実際一週間全く何もしていないことはないが、今は実験計画書を作成している段階なので、進捗が見えにくい。具体的な問題点を見つけ、具体的な解決策が見つけない限り、自分が何か生産的なことをしたという感覚が沸かない。先行研究を読むのが主だが、たいした数を読むことが出来ず、自分の能力不足と惰性に苦しむ。
②先生が何を期待しているのかわからない - 今、先生の気持ちになって私を見てみたが、やっぱりさっぱりわからない。先生はもちろん私以外にも学生を指導しているし、たくさんの共同研究をしている上、私はまだ一年生のひよこだから、もしかしたら出来栄えを期待していないのかもしれない。先生の目を気にしてしまい、苦しむ。
③ミーティング自体に明確な目的がない - 目的といえば進捗を報告することだと思うが、進捗が曖昧なため、毎回何を言ったらいいのかわからないことに苦しむ。

とりあえずこの三つの点について、友人へのアドバイスだと思って解決策を考えてみたいと思います。

まず一つ目の「何も進捗がない」というのは、非常に主観的な判断で、見る人によって変わるのであんまり重要じゃない気がしてきました。自分ですごく論文が書けたと思っても、教授陣から見たら別にたいした進捗でもないかもしれないし、逆に何も出来なかった空白の時間が次のアイデアを生む素地になっていたりするので、そういう意味では生産性のある無駄とも言えそうです。具体的な策としては、出来るだけ先週から今週まで何をしたのか記録していくと、進捗が明確になっていいのかなと思いました。今はなんとなく「できた」「できなかった」という主観的な判断に頼ってるので、少し客観的に見れる習慣が役に立つかも。

二つ目の「先生が何を期待しているのかわからない」は考えてもしょうがないので、ありのままを見せるだけでいいような気が。逆に言うと、見栄を張ったり嘘をつくことは何の得にもならないし、どうせ見透かされると思います。どうしてもよい生徒でいたいという願望からか、うまくいっている面ばかりを見せたくなるけど、勇気を出して正直に悩んでいる点も報告できるといいのかも。

三つ目の「ミーティング自体に明確な目的がない」ということは別に目的がなくてもいいと思うし、でも目的があるほうがそれに向けて仕事が捗るということであれば、勝手に目的を作ったらいいのではないでしょうか。ということで、表題にあるようにぱっとおもいついたのが「指導教員を楽しませたい」ということでした。えっいきなり何?っていう、全然論理的な話題展開じゃないんですが、私は多分周りの人と一緒に楽しんで何かやるのが好きなんだと思いますね。先生にも面白い学生(研究)だな~と思ってもらうほうが、惹きつけて色々助言・情報をいただけるような気がしてます。

で、具体的に「相手を楽しませる方法」みたいなのを調べると、一般的なモテる方法(例えば相手の話をよく聞く、相手の言ったことを言い換えて繰り返す、自分の話を控える)が出てきて、むしろ学術的なモテるとは逆な気もしてちょっと面白いなと思いました。学術的なモテ(興味を引く)を研究するため、下記のノートと原著論文(Sternberg, 2018)を参考に考えてみました。

科学者がインパクトのある研究と思う特徴の中で、もちろんどれも一朝一夕では出来ることではないけど、自分の研究テーマと照らし合わせてみると、既存の異なる分野を融合させる点があるので、その部分推して話題提供してみようかなと思います。自分はあまり世間の流れに沿ったというか、胡麻を摺るような研究はしたくないなと思ってるんですが、社会からみた重要性も含めて、こういう客観的な指標で自分の研究を考えてみると、違った視点から物事を考えることが出来てよいなと思いました。とはいえ、今回の話題提供で先生が喜ぶかどうかはわからないけど、ちょっと明日のミーティングが楽しみになっただけでも良しとします。

なんだか自分の質問に自分で答えてみる(しかも答え切れてない)という、なんとも滑稽な記事ですが、書くということは愚かさを引き受けることであるそうなので、科学者としては己の愚かさを隠蔽せず、露呈していく勇気を身につけていきたいものですね。