二月七日@ブダペスト

昨日から室内のペンキ塗りが始まってる。まだ思いっきり寝てたのにペンキのおじさんが七時ぐらいに来て慌てて起きる。

今日は金曜日だけのマーケットの日なので、家の下に卵を買いに行く。なんかよくわからないが美味しそうなきのこが大量に売っていたのでそれも貰う。卵十個ときのこ(一キロぐらい?)で1000フォリント(400円ぐらい)。

昨日のブログを書いて別にやる気が出たわけでもないが、ただ黙々とプログラムの確認作業をする。三分の二が終わったところで集中力が切れたので、いったん休憩してピアノを練習しに行く。集中力全般が切れたようであまりピアノにも集中できないが、ショパンの『黒鍵のエチュード』とラヴェルの『水の戯れ』を弾く。

最近Vladimir Horowitzというピアニストがお気に入り。なんでこんな淡々と表現力の高い演奏ができるのか謎である。

そういや自分の研究テーマとは違うけど、ピアノの練習方法で、すごく早く弾くためにあえてものすごくゆっくり弾いたり、違うアーティキュレーション(レガート、スタッカート)で弾いたり、シンコペーションで弾いたりという練習法が(多分)一般的にある。これは一見遠回りをしているように見えるが、最終的には早く弾くには欠かせない色んな指の運動させる(専門用語だとmotor variabilityを高めるというのだろうか)。この練習法をする場合どれくらい効果的なのかという実験はされているのかわからないが、ちょっと興味がある。

夕方、先輩が血相を変えて廊下を歩いていた私を呼び止め、「最新のDeclaration of Helsinkiチェックした!?」と言ってくる。Declaration of Helsinkiというのは日本語に訳すとヘルシンキ宣言で、人が関わる実験(医学とか心理学とか)をする際に従わなければならない倫理原則のこと。

四・五年に一回ぐらい更新されてるらしいが、いちいち読んでなかったので読んでないというと、なんと最新版(2018年)では「実験を行う前にプレレジストレーションを行わなければならない」という規則が追加されてるということだ。

プレレジストレーションというのは、実験をする前に「こういう実験しますよ」ということを予め公開に登録しておくという手順であって、従来心理学では一般ではなかったが、実験データを取った後に仮説を変えたりとか色々問題があったので、最近ではなるべく行いましょうということになってる。が、なんせ新しい手順なので全ての心理学者がまだ研究の一環として取り入れているとは思えない。うちの学部だけみても三分の一ぐらいだけだろうか。

先輩は論文を書いていていよいよ投稿という時に、共著者(分野外の人)から突っ込まれて相当焦ってとりあえず私を呼び止めたようだ。私も知らなかったのでゾッとした。

結局、この宣言にも色んなバージョンがあって、投稿先のジャーナルは1991年版を満たしていればいいということで(でもそれってもう20年前のだが…)事なきを得たが、こういう倫理規約の話は年々うるさいのでちゃんとチェックしないと恐ろしいことになりそうだと感じた。とはいえこれが本業ではないし、こういうことを公式にチェックしてくれる部署があればいいのになどと話す(大きな大学にはあると思うが)。

家に帰って、最近はNetflixオリジナルのドラマを次々見ている。特に嵐のドキュメンタリーが面白いのだが、なかなか更新されないので今は明石家さんま監督のジミーを見始めた。Netflixは最近ジブリの配信も始めたようで、見たい作品がたくさん出てきた。