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メキシコシティでの乗継が6時間でも足りなかった理由

メキシコの滞在期限が迫って来たので、エルサルバドルに移動しました。世界の全部の国について調べたわけではありませんが、私が見た中でエルサルバドルは唯一

・ワクチン証明不要

・陰性証明不要

・旅行者でもワクチンが接種できる

この3つの条件をすべて兼ね備えた国です。しかもメキシコの隣の隣で、スペイン語圏です。国名のとおり、まさに私のSalvador(救世主)!!

メキシコの東海岸の街ベラクルスにいた私は、エルサルバドルに行くにはメキシコシティで乗継が必要です。メキシコの飛行機はよく遅れるので、乗り遅れないように、乗継時間が6時間あるフライトを予約しました。6時間あったら、免税店を好きなだけ見て、本を読んで、勉強して…… いろんなことができるな〜とワクワクしていました。今朝までは。

私の飛行機がベラクルスを発つ30分ほど前に地震があったらしいのですが、飛行機はほぼ予定通りに出発し、メキシコシティに到着しました。乗継はターミナル2から1へのの移動があるので、無料のシャトルトレインで乗継先のターミナル1に行く必要があります。

通路を歩いていたら、看板が目に止まりました。「国際線に乗る人」とあって、その下に2つのQRコードがあります。何かデータを送信しなければならないようです。さらに、「陰性証明」の文字もありました。まさか、、、エルサルバドル入国には必要ないけど、飛行機に乗るために必要?!

私は青ざめました。ただ、看板の上にAeromexicoの社名とロゴが入っています。これは「Aeromexicoの国際線に乗る人」向けのルールであって、私が乗るコロンビアのAbiancaは違う!きっと乗れる!!そう自分に言い聞かせ、ターミナル1へ向いました。心臓はバクバクでしたが……

Abiancaのカウンターに行くと、フライトの6時間半も前だったので、まだチェックインはできませんでした。14時以降にまた来るように言われました。朝ごはんがまだだったので、カフェでサンドイッチを食べて、紅茶を飲みながらYouTubeの台本を1本書きました。

さて、チェックインの時間です。フライトまで3時間近くあったので、まだ人は少なく、すぐ自分の番になりました。そこで言われたのが、

「エルサルバドル出国のチケットは持ってる?」

私はノマド生活を始めてから、いつも出国のチケットは買わずに次の国へ入国していました。それでも一度も引っかかったことはありませんでした。

「コロナや戦争で3ヶ月後のことはわかりませんから、買っていません」

と答えました。でも、エルサルバドルは出国のチケットを予約した証明がなければ入国できないとのこと。一度カウンターを離れ、おそらく使わないであろうグアテマラ行きのバスのチケットを予約して、並び直しになりました。バス会社のウェブサイトを探すところから始め、スマホの小さな画面で自分の情報やカードの番号を入力するのは大変でした。

並び直したときには、カウンターの前に人が増えていました。でも、スタッフは2人しかいませんでした。その2人が対応中の乗客がどちらも何かもめていて、列はさっぱり進みませんでした。

ようやく私の番になったとき、私は「出国カード」がないことに気が付きました。「出国カード」は入国時に記入し、出国するときに必要なので保管しておかなければいけないカードです。私はタイに移住したとき、一度間違って出国カードを捨ててしまい、再発行しに行ったことがあります。その教訓から、メキシコでは常にパスポートと一緒にしてありました。

私はかばんの中をひっかき回してカードを探しました。カウンターの周り、バスを予約した時に立っていた場所、再度並ぶときに通った場所、近くにあるゴミ箱の中まで探しました。でも、カードはありませんでした。私はめったに物をなくなさいので、信じられませんでした。悪い夢を見ているようでした。

最初にカウンターに並んだとき、対応した女性スタッフが私に返してくれなかったんじゃないか?そんな疑いも頭をかすめましたが、彼女はもうどこかに行ってしまったので、確認できません。それに、パスポートだけではなく、出国カードも返してもらったかどうか確認せずにカウンターを離れたのは、私のミスです。

出国カードをなくした場合はMigrationに行くようにと言われたので、ダッシュで向かいました。Migrationにも列がありました。とても張り詰めた雰囲気でしたが、自分の番になったとき、担当の若い男性が

「どうしてスペイン語が話せるの?」

と聞いてくれたので、ちょっとホッとしました。出国カードの再発行のためには、パスポートのコピーとフライト情報を印刷したものが必要だと言われました。幸いコピー屋さんはMigrationの目の前にありました。

パスポートのコピーはすぐとれたのですが、フライト情報はPDFファイルをコピー屋さんのアドレスにメールで送らなければなりません。スマホの小さい画面で、結構長いアドレスを頑張って手打ちして送ると…… なぜかメールはエラーになりました。2回目もダメでした。フライトの時間がどんどん迫っています。焦りがつのりました。

コピー屋のおじさんに私のスマホを渡してやってもらったら、なぜか無事メールが送れました。私はパスポートとフライト情報それぞれのコピーを持って、Migrationに戻りました。それから、書類を2枚書きました。書く手が不安でふるえていました。項目がかなり多く、書いているうちに搭乗開始時間になりました。フライトまで、あと1時間です。

ようやく書き終わって提出すると、チェックした担当の男性は

「滞在期限(180日)超えてるでしょ」

そんなヘマしてるはずない!ちゃんと確認して!!男性はパソコンで確認すると、

「わ〜!!178日だって!!ww」

と隣にいたおばさんスタッフに言いました。当てずっぽうで怖いこと言うのやめて!!

出国カードの再発行料は638ペソ(約3,560円)この先の人生で二度と出国カードを無くさないための勉強代ですね。

さて、出国カードを入手したので、再びAbiancaのカウンターへダッシュ!!搭乗開始時間を過ぎていたので、カウンターはガラガラでした。一瞬閉まっているのかと思って焦りました。

三度目の正直で、やっと航空券を手に入れることができました!ベラクルスからシティまではAeromexicoの管轄だったので、エルサルバドルまで通しで航空券をもらうことができなかったんです。さあ、次は搭乗ゲートにダッシュ!!

私のフライトのゲートは、新しく増設されたターミナルの端っこでした。オープンしたばかりのきれいな免税店を一瞬たりとも見ることなく、私はゲートに向かって走りました。出発予定時間まで残り30分を切ったとき、ようやくたどり着きました。ゲートにはもう誰も並んでいませんでした。もう閉まっているのかと思いました。

ゲートにいたAbiancaのスタッフさん達に

「急いで水を買って来ていい?」

と聞きました。すると、一人の女性が「¡No!」と言いました。一瞬、

「あなたは着くのが遅かったから、もう乗れない」

と言われるのかと青ざめました。私のスーツケースはもうとっくに乗っているのに……

焦る私に、他のスタッフが説明しました。

「機内で水は飲めるから、買わなくて大丈夫って言ったのよ」

よかった!!!乗れた!!!!!

飛行機は予定通り出発しました。ひとまずエルサルバドルに飛ぶことはできました。あとは最後の関門、入国審査です。

エルサルバドルには、予定より15分ほど早く到着しました。国籍によっては入国時にお金を払わなければならないようですが、日本人は不要なので、すぐ入国審査に進みました。心臓はバクバクでしたが、

「¡Buenas tardes!」

と笑顔で明るく臨みました。第一印象は大事!!

入国審査で聞かれたことは、入国の目的、出国のチケット購入の確認、現金をいくら持っているか、滞在費はどうするか(クレジットカードで引き出すと言ったらOKでした)、銀行口座にいくらお金があるか、滞在先の住所、去年どこの国へ行ったか、などでした。銀行口座にある金額は、日本円をスマホの電卓でささっとUSドルに換算して見せればOKです。(※エルサルバドルの通貨はUSドルとBitcoin)

笑顔でハキハキ質問に答えたら、担当の方はバンッと入国のハンコを押し、

「OK! 90日以内に出るんだよ。それ以上は罰金だからね!」

と、冗談なのか脅しなのかわからないセリフを投げかけて、審査は無事終わりました。あ〜〜〜〜〜、よかった!!!

ベラクルスで朝預けたターコイズブルーのスーツケースとも無事再会し、私は暑いエルサルバドルの屋外へ解き放たれました。ホステルのスタッフの方が手配してくれたドライバーのJimmyが待っていました。Jimmyとエルサルバドル料理の話をしていたら、名物「pupusa」のお店に立ち寄ってくれて、さらにごちそうまでしてくれました!

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初めてエルサルバドルのビールを飲みました。そんなに特徴的な味はありませんでしたが、今日一日起こったことを振り返ると、自分が今エルサルバドルにいるのが夢のようで、ビールの味は格別でした。

次から次へと不安に襲われた一日でしたが、出国時のチケットのこと、出国カードをちゃんと返してもらったかどうか確認しなかったことは私のミスです。それに、ふり返ると、ラッキーだったこともたくさんありました。Abiancaのスタッフさん、空港で場所を尋ねたとき答えてくれた人達、Migrationの男性、入国審査の男性、誰もがとても親切でした。

(ヨーロッパの某国の空港では、案内係がケータイでおしゃべりをし続け、私の質問を聞きもせずに「私じゃわからないから、他のスタッフに聞いて!」と叫びました。)

この記事を書き終えた今は、日付が変わって、翌日の午前2時になりました。寝て起きたら、まだメキシコにいた!なんてことにならないか心配で、まだエルサルバドル初日の夜の余韻に浸っています。エルサルバドルには出国カードがないし、ワクチンを2回打ってから次の国へ行くので、もうこんなハラハラはないはずです!

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