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リモコンがない(96歳母)

有料老人ホームに入居している96歳の母。
(今年は年女である。)

要介護4と5の間くらいの状態でほぼ寝たきりである。
痴呆ではない。

昨日老人ホームの看護師さんから電話があった。

血液検査の数値が良くない。カリウムの値が高すぎると言う。

そこで薬を少し減らす。
これ以上数値が上がると、危険な状態になるそうだ。
心臓に負担がかかりすぎるとか。

母の病気は慢性の心不全である。
心臓に血液を送る3本の血管。
そのうち2本が狭くなり、血液が流れにくくなった。
そのため、
6年前にステントを2カ所入れている。

本当はその後フォローアップで血液の流れを見なくてはいけない。
老人ホームに入るゴタゴタが重なり、そのままになってしまった。

心不全はステントを入れれば、それで終わりではない。
ステントの周りにまたいろいろな老廃物が溜まって狭くなってしまうことが多い。

が、現在96歳の母が病院に入院をして、血液がどのように流れているか検査することが本当に良いのかどうか。

結局のところ、今まで何もしていない。
毎年行われる健康診断では、心電図に明らかに心不全の兆候が出ていた。
そして今回血液検査の結果があまりよろしくないわけだ。

薬を控えてみてどうなるかはわからないが。
看護師さんが言うには、体を動かすのがつらくなるのではないかと。

いろいろと覚悟しなくてはいけない。
心臓(ハートアタック)だから、最後の時が突然訪れるだろう。その時にはずいぶんと苦しいかもしれない。

しかも、それがいつかわからない。来るかもしれないし来ないのかもしれない。

イチゴが食べたいと言われれば、イチゴを持っていき、りんごが食べたいと言えばりんごを持っていっている。
毎週末は必ず面会に行っている。

ーーーー

昨日は部屋の電気をつけるリモコンをなくしてしまったらしい。
職員さんが3人来て一緒に探してくれた。
ベッドの脇のちり紙の下から発見された。

ちり紙といっても、肌触りの良いソフトティッシュだ。
食堂に置いてあるソフトティッシュを食事のたびに持って帰ってくる。
それをベッド脇のテーブルの上に敷き詰めて目隠しとしている。
(あまりにティッシュを持ってくるので、ティッシュ代金を別途お支払いしている)

ティッシュで、リモコンが隠れてしまったわけだ。

これは掃除をせねばなるまい。
また、職員さんに迷惑をかけてしまう。
ーーー

今日(日曜日)のお昼ご飯後に面会に行った。
ティッシュの山の片付けが目的である

携帯電話の充電池を探すと言う名目で、全部ティッシュをどかす。
リモコンはこの透明な箱に入れる、と話したが。

こちらの決め付けが良くなかったらしい。
よく使うものは布団の下に入れておくのだ、と言って聞かない。

95歳まで、痴呆症もなくやってきた。
このぐらいは聞いてあげなければいけないのかと思い、そのままとする。

マイバックを2枚持って行ったが、その2枚が全部いっぱいになるほどのティッシュの量。
全部家に持って帰った。

ーーー
家に着いた途端、電話が鳴った。
あれがない、これがないと始まった。

やはりそうか。
あのティッシュの山の中でも、どこに何を置くかと言う区別があったのだろう。
片付けたのは、単なるわたしのエゴだったのか。

切れたかと思ったら、また電話。

「電気のリモコンがない」と言う。

脱力。
思わずテーブルの上に突っ伏した。

もう片付けはやめよう。
歩くことができない、ほとんど寝たきりなのだから、ベッドの周りぐらいは自分の自由にしたら良い。

命の終わりが見えてきている人に、どう接するか。ただ優しくすればいいわけじゃない。
自分の気持ちを削って、尽くせばいいわけじゃない。

ーーー

なんだかんだ言って、私も63歳だ。

年齢を言い訳にするつもりはないけど、自分のことに全力投球しないと、あっという間に人生の終わりが来てしまう。

中学校の同級生で、亡くなっている人が、6人いる。そんな年齢なのだ。

これは私の義務だと思って、週末になるたびに会いに行く。
でも、土曜日になると嫌な気持ちになるのも事実だ。

人生の終わりを迎える人を淡々と送り出すように準備すること。

悔いを残さないように接すること。

だけど、自分の生活も大事にすること。

実際どうしたらいいのか、
またぐるぐると同じところを考えている。
ーーー

しばらく机に突っ伏したあと、
遠くの喫茶店へ。

午後3時だと言うのにがっつりとしたご飯を食べた。

今日はもうこれでご飯を食べずに、お風呂に入って寝てしまおう。

鳥唐揚げ天と玄米ご飯


食後に生姜が強く効いたチャイ。
ミルクを入れた方が好み。

ポットでサーブが嬉しい

先ほど、また電話があった。無事リモコンは見つかったそうだ。今度はなくさないように気をつけると言っていた。(96歳でそう言えるのはやっぱりすごい)

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