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お得情報から遠いオンナ

自動販売機に飲み物を買いに行った同僚のK子さんが
「スマホ忘れた」と言って戻ってきた。

飲料メーカーのアプリでスタンプをためているという。

K子さん「〇ーク・オンていうアプリなの」

なんで??たまるの?めんどうじゃないの?

K子さんはあきれたような顔をすると
説明してくれた。

  1. アプリをダウンロードする

  2. 自動販売機で飲み物を購入する時に、アプリを起動

  3. アプリと自動販売機が接続する。

  4. ドリンクを購入するとアプリ上でスタンプがたまる

  5. スタンプが15個 で、自分の好きな飲み物と交換できる。

ーーーー

「やった、タダ券ゲット」

彼女のスマートフォンのアプリの中には、ドリンクチケットが
もう6枚も溜まっていた。 
お昼休みに近くの自販機で、単価の高いコーヒー飲料と取り替えていた。

うん。賢い。
130円のお茶より、170円のコーヒーのほうがいいよね。

あつこ「それにしても15個もスタンプ貯めるの大変じゃないの?」

K子さん「月曜日はスタンプが2倍なの。
だから月曜日は絶対に購入する。
スタンプ2倍クーポンもよく来るし。
なんだかんだで結構すぐ貯まるのよ」

ーーー

 そんなにお得なのか。

じゃあ私もそのアプリをちょっとダウンロードしてみようかな。

・性別
・生年月日
を入力して・・・と。

驚いたことに、すぐに地図上で近くの対応している自販機を教えてくれる。

対応自動販売機は現在、全国で約42万台。テレビCMなどで積極的に訴求したこともあり、アプリのダウンロード件数は3700万件超と一企業のアプリとしては驚異的な利用者数を獲得できている。

日本経済新聞より

はじめてダウンロードしたから
懇切ていねいに使い方がレクチャーされる。
どこに行けばいいのか
どんなふうにつなぐのか

最初だからスタンプ2倍だ。
対応の自販機多いなあ。
このビルの1階と3階にある。
あ、地下の自販機は対応してないや。
すごいな、これ。
だから彼女は1階か3階でしか買わないのか。

ーーーーー


その時、気が付いた。

あー、これがダウンロードの時に最初に聞かれた
位置情報をオンにするという意味か。

私が日本のどこにいるのかが分かっている。
これで飲み物をスマホと接続した状態で買うと・・・。

もちろんスタンプは貯まるけれども

私の位置情報はピンポイントで知られている。
例えば銀座の4丁目の交差点の角のそばの自販機にいる・・・と。

そして私は女性で
61歳で
ちょっと高めのコーヒーや
容量の多いお茶が好き。
午後になるとちょっと甘い飲み物が好き。

夏はお茶と紅茶
冬は暖かいコーヒーが好き
週末に買うことが多い

なんていう細かいところが・・・全部わかってしまう。

年代もわかって、
何月何日の何時何分にどんな飲み物を購入したかが蓄積されていく。

もちろん個人情報には配慮しているんだろうけれども。
でも。
気持ち悪い。

会社からしてみれば、消費者の行動を知る大変に有意義なアプリだ。
今まで苦労して集めていた情報が
 アプリを通じてどんどん集まってくるのだから。

例えば、平日はオフィス街の自動販売機を使い、週末はフットサルコートに設置された自動販売機を使う利用者がいたとする。
この人の利用データに基づき、月曜日にスタンプが2倍になるキャンペーンを実施して、仕事始めの弾みにしてもらうなど、顧客の生活リズムに合わせた情報提供で利用を定着させていく。

日本経済新聞より

つまり私の生活パターンを覗かれているわけだ。アプリに。

飲み物もタダ券は欲しいけれども
やっぱり気持ち悪い。

職場の男性は
アプリを使うことで、この会社の製品しか買っていない。

また、アプリ内で歩数計の機能もある。
一定以上歩くとそこでまたただのチケットがもらえるのだ。
こうやってこのアプリから離れられなくなっていく。


C社だけではなくて
K社やA社やI社やP社など、他社の製品も飲んでみたいし。

何より私の行動パターンを、個人が特定されない形とはいえ
把握されてしまうのは気持ち悪い。

だから・・・

そっとアプリを消した。

お得な情報から遠いオンナ、あつこ。


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