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#12 ボリビア・ラパスの日常−「ふつう」の日々を過ごしている感覚になりました

2022年1月12日 miércoles
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ボリビアに来てもうすぐ二ヶ月が経とうとしている。日々を淡々と過ごしていると特記するようなことも少なくなってきた。それだけ「ふつう」の日々の繰り返しになりつつあるということか。コロナの感染状況もあるので自然と行動範囲も限られており、なんとなく日々の動きも決まってきているので余計に。
先週のある日、昼にいったん帰宅すると(私は職場が家からすぐで、昼休憩を2時間ほどとるので、外でランチをとったあと、いったん家に戻ることも多い。)天井のライトが落ちていた。なぜ?!と思いながら、その状態を写真に収め、大家さんに送った。

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その次の日にはさっそく、新しいライトを買ってきてくれた大家のエリカさん。「アツコさんの好きそうな色と思って・・・」と、照明部分がコッパーゴールドの、以前のものと比べるとかなりシンプルなデザインのライトを選んでくれた。

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先週末に電気屋さんに設置してもらい、再来週くらいには、シンプルになった故に天井に現れた、色の違う「まる」の部分を塗ってもらう予定。ひとつのことを完了するのに時間はかかるが、そんなもんとおもえば案外慣れる。

今週は、近くの大学前の広場で Feria[フェリア]=市 が開かれており、自然素材でつくられた石けんが売られていたので、気になり買ってみた。日本から持ってきた洗顔フォームが足らなさそうだったのでちょうどいい、とおもって。

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どの石けんが何に効くのか、お店の人に説明してもらう。保湿と美白に効く、お米とパセリの成分配合のものを買おうとおもったが、奥に並んでいた「悪いエネルギーを取り除く」と書いてあるものに興味が湧いてしまい、それを買ってみた。ひとつ10ボリ(=約160円)。入っている素材は、Ruda、Romero、Retama、、、私は Romero=ローズマリーしか判別できませんでした。

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さっそくその夜に使ってみると、泡立ちもよく、使った後の肌の感じもなんかいい。正直、すこしなめていたが、期待以上の使用感に、次の日、違う種類のものも買いに走った。

時々開かれるフェリアは、ふらっと立ち寄るとおもしろいものに出会えて楽しい。先月は同じ場所で本屋さんの市が開かれていて、ボリビアの小説をジャケ買いした。

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断裁の粗野な感じも、なんかいい。まだ読んでいないし、ボリビアにいる間に読める気もしないが、私の部屋のデコレーションの一部と化してその存在感を放っている。

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肝心の仕事は、というと、来月から始まる授業やクラブ活動的なもの、あと今年いっぱいかけてやろうとしているプロジェクトの準備に、毎日午前は必ずオフィスに行っての作業(自分のデスクで黙々と資料作り・・・)。午後は週3回くらいはオフィスで作業、あとは自宅で作業をしたり、疲れている時は無理せずゆっくり過ごすようにしている。
今日は午前中、職場の教員たちの集まりがあった。近くの学校の教室を借りて、新学期に向けての諸々のミーティングがあり、その最後に私の発案するプロジェクトのプレゼンテーションの時間を1時間ほどとってもらっていた。予定よりも長引くミーティング。お昼12時になる頃、API[アピ]=トウモロコシの甘い飲みもの と、Empanada[エンパナーダ]=チーズ入りのパイのようなパン が配られた。

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しかし、あからさまにみんな疲れている様子。「早く帰りたい」ムードの中、私のプレゼンテーションが始まった。
ケータイをいじったり、つまらなさそうに下を向いている人も多い中、「まあそんなもんだな」と思いながら、話す。プレゼンを終え、私と一緒にプロジェクトをやってみたい、興味がある、という人はいつでも話しにきてね、私はオフィスにいるので、と伝え、会を閉じた。プレゼンが終わるなり、そそくさと帰っていく教員たち。「おおー、ここまで反応ないか!」と思いながらも、標高 3600 mでのプレゼンは、しゃべり続けるだけで息が上がりヘロヘロになるので、終わったことに、とりあえずホッとする。

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今日のプレゼンでは、ボリビアの障害を持つ人とのデザインプロジェクトの可能性を探る、というものも提案したのだが、その中で、去年10月までお世話になった、奈良のたんぽぽの家の取り組みを紹介。最後に「じつは今着ているTシャツも、・・・」と、障害を持つ人との制作事例として、着ていたTシャツを見せたら、さすがに下を向いていた人たちも「は!」と顔をあげ、話を聞いてくれた。「そこにあるもの」の力はやっぱり大きい。

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いったん家へ戻り、軽くランチをとって、午後、学校に戻った。私の発案したプロジェクトへの教員の参加を募るため、教員グループのWhatsAppで呼びかけたところ、さっそく4人から参加希望のメッセージがきた。おお!
デスクで作業を続けていると、いつもオフィスにいる同僚の女性が「Your presentation was excellent, he aprendido mucho.」(あなたのプレゼンテーション素晴らしかった。すごく勉強になった。)と英語とスペイン語を交ぜて話しかけてくれた。みんな控えめというか、反応をあまり出さない、というか、、基本、スーン・・・としているんだな。その時に伝えてくれてもいいのに。
とりあえず教員の参加希望はちょうどいいくらい集まったので、あとは生徒が集まってスケジュールをうまく組めれば、実行に移せる。やはり、これも思っているより一ヶ月くらい遅れながら進んでいる感覚。


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2022年1月13日 jueves

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ボリビアもコロナの感染がじわじわと拡がっている今、私は自宅でできる作業がほとんどだが、できる限りオフィスで仕事がしたいので、毎日通勤している。単純に仕事モードに切り替わり作業がはかどるのと、ほとんど会話は交わさないにしても、同僚とは頻繁に顔を合わす方がいいとおもって。オフィスにいるだけでも今の学校の状況が見える、ということもある。
なにより¡Buen día, Atsuko!(おはよう、アツコ) ¡Chao Atsuko!(またね、アツコ)という、ちょっとしたやりとりができるのがうれしい。
今日はオフィスに着くと、私のデスクの横で作業していたシステム担当のエンジニアが私の顔も見ず、日本語で「おはよう」と言った。

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「おはよう?!」と、日本語で聞き返したが、ふん、と笑って何も言わなかった。そういえば彼は以前も、自動翻訳を使って日本語でメッセージを送ってきたりしていたことを思い出した。彼は「スペイン語上達してないな。日本で勉強してなかっただろ。」と、冗談か本気かわからないようなことも言ってくる。でも、それもコミュニケーション。何もないよりいい。
午前中は、黙々と資料作り。お昼が近づく頃にはランチをどこで食べようかと、うっすら考える。今日は、バックパッカーの外国人のよく集まる(というイメージの)カフェに行くことにした。ランチのメニューは、キヌアのコロッケ。

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普通においしかった。キヌアのコロッケは、中にチーズも入っていてもちっとしている。ソースがおいしかったが、あまり馴染みのない味だったので、何が入っているのか解読が難しい。再現できるかな、とおもいながらゆっくり食べたが、家では作れなさそう。デザートの、チョコのトリュフもおいしかった。量もちょうどいい。

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やっぱりおいしいものを食べると、幸せを感じる。というシンプル。


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2022年1月14日 viernes
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今週はプレゼンもあり、その後の活動の準備などで忙しく、夜になるとぐったりしている。なので、やっと週末がきたーー!という感覚。毎日、ふつうに仕事している。
今日も、9時から18時までオフィスで黙々作業。ランチのあと、(坂道を登るのがしんどいので)今日は家へは戻らず、カフェでゆっくり過ごすことにした。おいしいコーヒーが飲めそう、と見当をつけていたところへ行く。

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店内は広く、ゆっくり過ごせそうな雰囲気。また休みの日に来よう。
メニューを見ると、淹れ方も自分で選べるスタイル。私はとりあえず、ハウスブレンドをもらうことにした。

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飲んだ後にほんのり残るチョコレートの風味。香りはコクがあって甘めだけれど、後味はすっきりとしたコーヒーで、おいしかった。その後、お店の人に、ここで焙煎して売っている豆の種類について教えてもらい、香りを嗅がせてもらった。それぞれに個性があって、全然香りが違う。

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機会があれば、産地にも行ってみたいなとおもった。
ボリビアでコーヒー豆の産地としてよく耳にするのは、ユンガス地方。ラパスからは車で4〜5時間らしい。栽培されている豆の品種もいろいろあって、ティピカ、カトゥーラ、ゲイシャ、、、(私はこれくらいしか把握できてないが、あと3つくらい?おにいさんは言っていたような。)まあ、でもまずは、ここでいろいろ飲み比べてみようとおもう。
今は、コロナの感染状況もあり、なかなか大きく動くことはできないが、ラパスは都会なだけあって近所でもおもしろい場所があり、こうやって新しいことを学べるのでありがたい。まだ外を出歩けるうちに、気になる場所は、のぞいておこう、と、気持ち、前のめる。
明日は久々に泳ぎにいく。楽しみ。


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2022年1月15日 sábado
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朝から少しヨガをして、部屋の掃除をしたあと、10時過ぎに家を出る。泳ぎにいこうと、バス停まで歩く途中、水曜日に会議のあった近所の学校の前に大量のイスが積まれていて、そこには私の職場のスタッフの男性、ジョニが立っていた。「¡Ahhhh, Buen día!」と、挨拶したあと15分ほど立ち話。どうやらこのイスを運ぶために駆り出されているらしい。相当な量がある、と言っていた。ご苦労さまです。

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土曜日も仕事かー、ほんと、みんなよく働く。
シャイでおとなしい印象の彼だが、クリスマスの食事会で一緒にお酒を飲んでから、オフィスで会うといつも優しい笑顔で挨拶してくれるようになった。まあ、普段は挨拶くらいで、話す機会はほとんどない。
「アツコはどこの国から来たの?」(知らなかったのか!)「いつまでいるの?」「仕事が終わったら日本に帰るの?」と、めっちゃ質問攻めされた。
「ここで一緒に働くことができて本当にうれしいよ!」と、社交辞令でなく、本当に喜んでくれている様子に、びっくりする。普段からその気持ち、出してくれてもいいのに、と思いつつ。そして「もう泳ぎに行くわ!またね!」と、ハグして別れた。
プールに着き、目標の1kmをゆっくり泳いでからサウナでゆっくり過ごした。今日は久しぶりにピザが食べたかったので、外国人の集まるPoshなエリア、Calacoto[カラコト]にあるイタリアンレストランへ。ボリビアのビールHUARIを頼み、ピザを待つ。メニューブックほどの大きさ、とおねえさんに言われたけど、それよりも大きかった。ので、しっかり持ち帰りました。

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空も暗くなってきたので、バスで帰ることに。
家に着いて、水着とともに、たまっていた洗濯物を洗濯機に入れる。一時間ほど待つ間、チャランゴの練習を少しだけ。左の指がつりそうになりながら、先週教えてもらった基本のコードを反復練習。すんなり弾けるようになる日は来るのだろうか?と思いながらも、ひたすら同じコードを鳴らす。大家のエリカさん「下手くそだなー、鬱陶しいなー」とおもってないかなー。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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