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なぜ、日本企業はSFAツールがあるのに“鉛筆なめなめ”ばかりしているのか? RevOpsで「文明開化」をもたらそう

年度が切り替わり、異動や昇進などで新たなスタートを切る方も多いでしょう。こちらのnoteも4月からは新たに、企業活動をより筋肉質なものにして、顧客に提供する価値を高めるために役立つ「RevOps(Revenue Operations)」について、担当者の視点に立ち、実務上で役に立つ内容をお届けしていきます。


SFAを導入したのに“鉛筆なめなめ”していないか

昨今耳にすることも増えた「RevOps」。営業・マーケティング・カスタマーサクセスなど、企業の収益に関係する部門の状況を横断的・統合的に把握する戦略を指します。そのためには、数値・データをしっかりと蓄積し、リアルタイムに全社の状況を把握している必要があります。

個人的なイメージですが、日本企業は数値を用いたマネジメントや、データドリブン経営が得意ではない印象があります。実際、世界的にブランド力があり、数万人の従業員がいる企業でも、SFAツールを導入していながら、しっかり現場がデータを入力できていない例を知っています。皆さんの会社でも、営業組織がブラックボックス化しているケースは多いのではないでしょうか。

例えば、SFAツールを導入しているのに、それとは別に「見込み管理」などをExcelで行って、週次の会議で報告している――という企業も多いでしょう。せっかくデータを管理する基盤があるのにそれを使わず、ファクトベースではない、“鉛筆なめなめ”文化がはびこっていませんか。そもそも、1年は50週ほどしかありません。つまり、こうした週次管理では年間に50回ほどしかテコ入れする機会がないのです。

目先の機会損失だけではなく、AI活用でも大きなロスに

営業状況は日々変化しているのにリアルタイムでトレースできていないことは、経営にとって大きな損失になっています。営業側のデータがブラックボックス化していると、売り上げなどの着地見通しがなかなか立ちません。よくあるのが、売り上げ予算に対して営業現場が「いや~、今期は厳しそうですね……」と保険をかけるケースです。そして、最終的には予算をギリギリ上回る成果を出してアピールする。

こうしたマネジメントは、ガバナンスが非常に強い米国企業では通用しません。なぜなら、もし売り上げ予算に対して、着地に数億円の上振れがあることを早めに把握できれば、販促費や広告費に投資して、さらに攻めることもできるはずだからです。あるいは、未達が明確な場合でも、早めに状況を把握することで、ステークホルダー対策や、コストコントロールで先手を打てます。

プロセスをしっかり管理できていないこと、データ化できていないことは、省人化や自動化ができず、現場が疲弊することにもつながります。ある程度のデータが集まっている状態であれば、システムに入力さえすればどんどんと省人化・自動化が進みますから。

より長期的な視点に立つと、生成AIが今後さらに広がっていった際に使う「教師データ」がない、ということにもなります。外部環境に関するデータはインターネット上にあっても、自社の売り上げ予測やパイプラインの改善に役立つようなデータは、社内で蓄積するしかありません。これからAI時代が本格的に到来するに当たって、自社データをしっかり蓄積できているかどうかは、大きなポイントになるはずです。

日本企業の営業・マーケティングを“文明開化”しよう

そもそも、経営戦略を内と外に切り分けたとき、経営がやるべきことは内側のブラッシュアップです。内部プロセスをいかに最適化して、根拠のあるロジックを立ててアウトプットの質を高められるか。また、いかにスピーディーにPDCAサイクルを回せるか。そう考えると、RevOpsは経営層が自ら意識と覚悟を持って取り組むテーマです。

それなのに、なかなかデータ化、さらにRevOpsが浸透していかない理由は、経営の意志や覚悟が足りていないからだと考えています。結果だけ見て一喜一憂していませんか。プロセスをないがしろにしていませんか。経営に意志があれば、RevOpsは必ず組織に実装することが出来ると考えています。

この記事をお読みいただいている方の中には経営者ではなく、多くの現場リーダーや役職者の方も多いと思います。そして、RevOpsはボトムアップのアクションも非常に重要です。そこで、次回からは実務的なポイントや知っておくべき知識を現場視点で解説していきます。

データの可視化やプロセスマネジメントは、欧米企業を中心に古くから「当たり前」のテーマです。一方で日本企業は、まだまだ取り入れてしっかりとサイクルを回せているケースが少ないと考えています。いうなれば、海外で産業革命が起こっているのに、国内では侍が闊歩していた、江戸時代のようなものかもしれません(文化としては素晴らしいと思いますが!)。つまり、それほどの成長の伸びしろがあるとも捉えられます。

そんな状態から、文明開化を起こしたい――というのはいいすぎかもしれませんが、当社では、2022年からRevOpsをテーマにしたイベント「Theレベニュー会議」を主催しています。まだ日本企業の中ではメジャーな取り組みではありませんが、RevOpsに取り組んでいる企業やキーマンとのセッションなどを基に、日本企業をより前に進めていく場とできればと考えていますので、ご興味のある方は、ぜひ一度ご覧になってください。
(アーカイブはこちら&RevOpsをもっと知りたい方はぜひこちらをご参考ください)


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