勘違い、季節違い
街を行く人達の「綺麗だね」と言う声で、街が色とりどりのイルミネーションに包まているという事に気がついた。数年前までは、彼女など居らずとも、ひとりこの街のこの輝きを求めて足を運んだというのに。大人になるってきっとこういうことを言うんだろうなと思い、少し悲しくなった。
クリスマスを翌月に控えるというのにこの街は未だに半袖の人々が行き交っている。サラリーマン風の男たちはジャケットを手に掛け、シャツの袖を捲くる。片や私は、今日貼った可愛い天使のタトゥーシールを見せびらかすために汗で滲んだお気に入りの長袖を捲くる。私はまだ子どもなんだと少し悲しくなった。