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【カーボンニュートラル推進企業紹介③】 厚木瓦斯株式会社 ~公益企業としての地域貢献~

 厚木市内の脱炭素の取組を進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や取組の具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介しています。
 3社目は、都市ガス・LPガス・電気の販売、及びガス・電気機器の販売・工事を行っている厚木ガス株式会社です

(今回お話を伺った企画部の米田さん(左)と、同部の山本さん(右))

業界一丸となっての脱炭素への取組

 当社が脱炭素に取り組むようになったきっかけは、2016年以降の電気・ガス自由化を受け、ガス業界の中で脱炭素の流れが顕著になってきたところにあります。日本ガス協会というガスの業界団体から脱炭素に関する情報発信もあり、業界全体として脱炭素を推進していこうという動きが巻き起こりました。そこから各ガス会社に脱炭素の意識が醸成され始め、もちろん当社もその例外ではありませんでした。また、厚木市がカーボンニュートラル宣言をしたことも当社の脱炭素への取組を後押ししました。当社は地域発祥の公益企業であることから地域貢献に重点をおいており、当社が脱炭素に取り組むのは当然のことでした。
 当社が脱炭素に取り組む意義は、脱炭素を通して地域の皆様と多角的な関係性を築くことにあります。厚木市の脱炭素のコミュニティや、神奈川県、厚木市が主催するSDGsパートナーに参画していることもあり、積極的な脱炭素社会に向けた取組は地域的な繋がりをより強化出来るものと考えております。

まずは実行可能な活動から~電気のLED化や小中学生への環境教育~

 このようにして始まった当社の脱炭素の取組ですが、具体的な取組としては、事業に関するものとそれ以外のものがあります。事業に関するものとしては、カーボンニュートラル都市ガスの販売です。当社の温室効果ガス排出で最も割合の大きいものは、業態上商品自体から排出される温室効果ガスになるため、まずはここに着目しました。カーボンニュートラル都市ガスとは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、植林活動によって吸収した温室効果ガスで相殺し、ガスを燃焼しても地球規模では温室効果ガスが発生しないとみなすLNG*(カーボンニュートラルLNG)を活用したものです。
*天然ガスを-162℃まで冷却し液化させたもので、英語のLiquefied Natural Gas(液化天然ガス)の頭文字を取ってLNGと呼ばれている

(カーボンニュートラルLNGの説明)

 その他の取組としては、オフィスの照明のLED化や非化石証書付き電力*の使用など地道なことから始めています。これらの取組とを選んだ理由については、脱炭素の取組はお金も時間も人も要するので実行するのは簡単なことではありませんが、実現可能な小さいところから積み上げているというのが正直なところです。
 また、地元の公益企業である当社ならではの取組として、厚木市内の小中学生(36校)への環境教育活動があります。具体的には当社の社員が先生となり、「カーボンニュートラルってなんだろう?」というような脱炭素に関する基礎的な内容を小中学生にも伝わりやすく教えています。このような活動は脱炭素に対し目に見える結果にすぐにつながるわけではありませんが、ひとりひとりの意識が未来の社会を動かしていくことになるため、子供たちに対する意識づけには大きな意義を感じています。
*化石燃料を使わないことでCO2を排出することなく発電された電力

(市内小学校への環境教育の風景)

危機感にとらわれず小さいことから
 これから本格的に脱炭素の取組を始める方も、あまり危機感にとらわれなくてもいいのではないかと思います。分別やリサイクルなどの小さなことからスタートして、それを地道に続けて、それが広がっていった先に将来的に大きな取組になっていくのではないでしょうか。小さいものをどんどん積み上げていきましょう!

出所:厚木ガス株式会社へのインタビューを基に作成

文責:株式会社日本総合研究所 コンサルタント/研究員 吉村早紀

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