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【カーボンニュートラル推進企業紹介④】 株式会社大和ケミカル ~脱炭素で強まる社員の絆~

 カーボンニュートラルーー。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人での活動まで様々です。
 厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか?
 4社目は、ゴム・プラスチックの製造販売を行う大和ケミカル株式会社。自社家屋上にソーラーパネルを設置。また、社員一同で「エコステージ」に取り組んでいます。

今回話を伺った、同社代表の中村英寛さん。本社正面玄関には「ISO9001」と「エコステージ」の認証が

脱炭素と電力対策のマッチング

 「事業的に大量の電気消費は避けられない製造業。安定した企業運営を続けていくためにも、電力対策は必須でした」
 同社では、デマンドとして工場エリア・倉庫の屋根にソーラーパネルを設置。CO2削減量換算は31.10t、ブナの木の樹木本数に換算すると年間2800本分にもなるといいます。

同社社屋の屋根に設置されたソーラーパネル(同社提供)

 設置をきっかけに企業全体での「環境保全」への意識が必然的に高まっていったといいます。

始まりは「社員みんなで」

 環境に対する取り組みを何より喜んだのは、同社で働く社員たちでした。「当社の社訓は『感謝 謙虚 根性』。全員が一致団結し、明朗で活発な社風を作り出すこと、そして社会の繁栄にも貢献できる企業を目指していましたが、『環境』というテーマに皆で取り組むことで、それが達成できた」と中村代表は話します。

ISOとエコステージ

 同社では2002年、企業の製品品質を示す指標である「ISO9001※1」を取得しました。海外では取引の際の条件に据えている企業もあるなど一般的で、製品や社の誇りになる指標でもあります。同社の海外拠点では広く受け入れられ、社員の意見活性につながっていました。
 一方で「国内の社内ではISOにピンとくる人は少ないかも」という意見が。そこで着目したのが環境指標ISO14001※1に取って代わる「環境マネジメントシステム/エコステージ※2」。身近でどんな社員も参加しやすいテーマを考えてのことでした。

ゴミ圧縮や節電、社員の声をカタチに

 同社では健康経営の視点から、名前を伏せた状態で、社内での業務改善策などを投書できる「ボールシューティング」(玉入れ)に取り組んでいました。ここに「環境に関して改善が望めること」を募ったところ、1年で170件の意見が寄せられたのです。
 同社では、全ての意見に目を通し、取り組めるところから一つひとつカタチにしていきました。

専用の機械でゴミを圧縮

 その内の一つがゴミの分別と圧縮です。作業にあたる社員は「コツコツみんなで積み重ねていったことが会社のため、環境のために、将来の自分達のためになる」と微笑みます。

2017年に取得したエコステージ2の認定証

 同社では2014年にステージ1、2017年にステージ2を取得。中村代表は「ソーラーパネルだけでなく、社員皆が協力してくれたからこそ」と振り返ります。

厚木への恩返し

他企業にも広がる脱炭素の輪

 近年では同社の脱炭素の取り組みは、社内に留まらず、他企業の協力を得てさらに広がっています。
 例えば製品の発送に関し、取引先に相談し製品の梱包方法を変更。加えて配送企業とも協力し、一度の配送に積み込める量を増やすことで排ガスを抑制しました。

地域環境への配慮

 大気汚染規制順守のさらに先として、2016年に除煙装置を設置。二酸化炭素の排出量を軽減し、よりクリーンな工場環境を目指しています。
 その背景には「脱炭素、環境への取り組みは、企業のため、地球のため、そして地域のためにある」と中村代表。「これまで厚木の地で当社を受け入れ、支えてくださった方々のためにも、厚木の豊かな環境を守れる企業でありたい」と力を込めました。

除煙装置の前に並ぶ社員ら。これからも会社一丸となって取り組んでいく。

※1 ISO9001/ISO14001
 :ISOとは「International Organization for Standardization」の略称で、スイスの民間企業が承認する製品・サービスの品質規格です。訳は「国際標準化機構」となります。読み方は「アイエスオー」。それぞれの項目で番号が異なり、ISO9001は、製品・サービス、ISO14001は、環境リスクの低減および環境への貢献を目指す環境マネジメントシステムの規格です。

※2 環境マネジメントシステム/エコステージ
 :企業の環境マネジメントシステムの認証制度です。環境負荷低減はもちろん、品質、労働安全など、様々な業務に「環境」の視点で改善策を盛り込むことで、企業の経営発展を進める取り組みです。

出所:株式会社大和ケミカルへのインタビュー(2023年5月時点)
文責:株式会社タウンニュース社 厚木・愛川・清川編集室

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