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趣味、とはきまぐれ

なにかに打ち込んでいる人、推しがいる人がうらやましい。
趣味はなんですか?と聞かれたら、読書と映画鑑賞という面接でぜったい答えてはいけない凡庸な言葉を発する。それが並外れたレベルだったら胸を張って答えられるだろう。すごく広いか、すごく深いか。実際はそうでもない。一般的なレベルの読書量だし時々頭に入っていない。映画も今は立地的に頻繁に観られる環境なだけで、長い目でみるとそこまで観ている方でもない。
ただ自分の心の中でなにか広いか深いものがほしいと思い続けている。

旅に出るのもバスに乗るのも空港に行くのも好きだけど、地名はすぐ忘れ路線図はあれば集める程度、航空会社や各地の空港のコード名も覚えられない。好きなことにまつわるものの名前や歴史を細かく覚えられる人がうらやましい。推している人のライブや書籍にお金を費やせる人がうらやましい。

映画を観るのも好きだけど、本当は映画館に行く予定を立てることが好きなのだ。A館に行って2時間の作品を観たらB館に移動して違う作品を観る。パズルのようにスケジュールに入れていく。アドレナリンが湧く。まだインターネットの世界に触れていなかった高校生の頃は、雑誌「ぴあ」の上映情報を切り取って手帳に貼ってレディースデーをどう走るか楽しく悩んだ。

結局、体がしんどくて映画館をまわれないことはよくある。もちろんがっかりするけれど、ここにこだわっていると心が辛くなりすぎる。また予定を組みなおすだけ。

この「趣味」だって街中に住んでいないと楽しめないことだ。静岡東部に住んでいるときは映画館が少なすぎたし、回るなんてとんでもないほど距離があった。ミニシアター系なら都心に出た方がマシだった。
趣味なの?気まぐれなの?達成できない休日のプランを描くのは悲しくないの?
趣味だしいつもわたしは気まぐれだし休日くらい達成できないことにまみれていましょうよ。頭の中の四角い顔をしたわたし自身に中指をぐいぐい押し付ける。

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