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飴の小袋とのたたかい

誰かと暮らしていると、相手が落としたゴミやたまたま片付けなかったお皿や交換せずに放置されたトイレットペーパーの芯を自分が片付けるなどという作業が生まれる。

これがPMS(月経前症候群)の時期なら、それに合わせて自分の散らかしたエリアもぐんと視界に鮮やかに入ってくるから最悪だ。

たまたま仲の悪い時期だとパートナーが散らかしたものが浮き上がってくる。

最近、夫が家のあちこちに開封した飴の小袋を落とし歩くようになった。わたしがかがんで拾ってゴミ箱へ持っていく。落ちてるよと注意したが、状況はあまり変わらない気がした。

扶養されているからわたしがこうすることは当然なのだろうか?家事の主担当だから仕方ないのだろうか?
飴の小袋は汚いものでもない。気がついた人が拾えばいい。でも飴の小袋がぽとんと落ちているのを見つけるたびにむっと、もやっとしていた。

言っても止まないので内緒で撮影してアルバムを作り、結果を本人に見せることにした。
玄関、廊下、お風呂場、洗面台。
あちこちにあると思っていた飴の小袋は、いざ撮影を始めてみると、思ったより落ちていない。

もっとあったのに。

がっかりはしなかった。
ぽとんと落ちた小袋を見つけられると嬉しかったし、撮影することが楽しくなっていた。
それにわたしの“目くじら”が立っていたことに気づいたのだ。
わたしの感情には飴の小袋スイッチがいつのまにか入っていて、ひとつ見つけるとオンになり、小袋が巨大な存在感を持って記憶されていた。
でも撮影してみるとそれはただの小袋で、毎日なんて落ちていない。最近は二、三週間も見つけられていない。

今日、飴の小袋を見つけた。
ひさしぶり、とラッキーチャームを見つけたような気持ちになって撮影してから捨てた。


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