『浮浪児1945-戦争が生んだ子供たち』
始まりは東京大空襲だった。家族とはぐれ、生き残った孤児たちは、焼け残った上野駅に集まる。
地方都市に疎開していてひとりぼっちになってしまった孤児も同じくだ。
この悲劇は、本の中のたった30ページにも満たないできごとで、戦争が終われば食糧難、子どもたちへの差別、上野の浄化作戦後の施設での暴力や食糧不足とさらなる困難が続く。その中で子どもたちを救おうと必死の大人たちも出てくるのだが、その苦労も相当だっただろう。
浮浪児生活が長引いて自死を選ぶ子、大空襲のトラウマで放火癖がついてしまった子。
はぐれたと思った親に再会できたものの長年離れていたことで折り合いがつかず一人また出て行ってしまう子、これがわたしの想像を超えていて衝撃を受けた。
ドキュメンタリーに徹していて集中して読むことができた。
重く悲しみの多い内容と反してポップな装丁が現代的で面白い。
『浮浪児1945-戦争が生んだ子供たち』
石井光太/新潮社
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