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2023.11

11月2日は、勤務校の開校記念日につき休みです。休みといっても、年休は使うんですがね。
しかし、この週末は見事に4連休だったのです。

そんな4連休の初日は1日早い「文化の日」。
午前から昼過ぎまでは歌舞伎座へ。
6年ぶり…6年越しの再見が叶い、「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」を拝見。

菊之助丈の迦楼奈

やはり、素晴らしい作品です。初演時から配役が変わっている部分もありますが、骨太な作品であることは変わらず。そして、ダイナミックな音楽。豪華な衣装や照明。とにかく、あっという間の時間でした。

個人的な感想としては、菊之助丈が仰るように、初演時より登場人物の対立が見えやすくなっている気がします。特に、迦楼奈と鶴妖朶王女の苦悩が強く出ているのかな…と思いました。

「友を疑うなど、最もダルマに背くこと。友を疑うな迦楼奈よ。」

この迦楼奈のセリフは何度聞いても沁みます。
涙が出ました。

疑うことで自分を保とうとする鶴妖朶、どこまでも人を信じ抜こうとする迦楼奈。この対立が苦しいです。誰もが迦楼奈になりたいのに、誰もの心の中に鶴妖朶はいるんです。
この部分は、「走れメロス」のメロスと王様(ディオニス)にも通ずる部分があると思います。

「卑怯でない人間がどこにおる。人に生まれれば皆、卑怯でなくては生き残れぬのだ。ああ一人いた。愚直なまでに卑怯でない男。あの男だけは進むべき道がわかっていた。そうだ、妾もあの様に生きたかった。貴様らさえ生まれてこなければ、妾とて…」

こちらは、鶴妖朶のセリフ。本当にそうだよな、と思います。無垢なまま生まれてきたはずなのに、誰かを傷つけたり、誰かに傷つけられたり。そんな中で、他人を疑って苦しくなって、色んな負の感情に苛まれて、生きるのが苦しくなることは、誰だって一度はあるはずです。

僕たちは、何のために生きてるんですかね。色々考えると、作中のように僕たちは神様に生かされているだけなのかも…と思えてきます。

悲しいとか、辛いとか、そういう感情ではなく、ぐちゃぐちゃになって、涙が出ました。
大詰で迦楼奈は、父である太陽神に向けて

「私は生まれて良うございましたか。」

と問います。このセリフ聞くと、僕も誰かに同じことを聞きたくなります。
生きていて良かった、と生まれて良かったって微妙に違う気がします。上手く言えませんがね。

あと何回か観に行く予定なので、もっと噛み締めたいと思います。

芸術は人の心を動かすものだと思いました。そして、教養がなければ、芸術や文化を享受できないと自覚しました。

また、誰かが、”平和な世の中にしか文化は育たない”と言っていました。「マハーバーラタ戦記」を「物語」として享受できるありがたさを感じないといけない気がします。

※写真は同日夜行われたTOMOOさんのLIVE開演前。
声とピアノの音に癒されました。1日早い、「文化の日」でした。

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