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One summer.

少し自分の肌が小麦色に焼けたような気がする。心なしか、筋肉もついたようだ。だって、ランニングして水泳して自転車漕いでるから。慣れないことを始めた分、擦り傷や打撲も少しだけ。できないことがもっと見えるようになって、転ぶことが少し怖くなって。だから、少しだけ弱くなったようで、少しだけ強くなれたような気がする、そんな夏。


私も、周りも、過去の意味も、今生きる意味も、少しずつ変わっていく。変わっていく、否、いささか傲慢ではあるが私が少しずつ変えていっていっているのだろう。自分で探して、傷ついて、私が生きる環境を少しずつ変えていっていっている、変えざるを得なくなっている。環境を変えざるを得なくなっているくらい、自分自身が変わりだしていることにようやく気付いたのだ。

変わらないものが好きだった。自分自身の立ち位置をいつも確かめることができたから。でも、変わらないものなんてないのだ。大好きだったあの場所も、いつかは変わるし、大好きだったあの人も、もう私が知らない誰かになってしまっているかもしれない。

それでも、今ここにいる誰かを愛しているのは変わらないし、その誰かは私に何かを教えてくれて、与えてくれて、私を変えてくれているのだ。私も変われば、相手も変わる。変化を恐れないで。変わったことに嘆くのではない。変化に憂いではなく祝福を、もらえなくなったことに絶望ではなく、もらえていた事実に感謝を。

ありきたりな言葉だけど、今しか感じられない何かがある。ひと夏しか覚えておけない何かがある。切なさも悲しさも哀しさも虚しさも、全部波がさらっていってくれるだろう。波が置いていってくれたものだけが、私が抱きしめて前に進めばいい。

One summer.


コジキなので恵んでください。