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妻の「わがまま」は本当に「わがまま」なのか?

「そんなこと言わないで!」

運転席に座っている彼女は、突然、発作を起こしたかのように怒り出した。

ぼくには、彼女がなぜ怒っているのかまったく分からず、彼女の軽自動車の助手席に座り、ただ呆然としていた。

ぼくはただ、「家まで送ってくれる?」と聞いただけだったのだけど、彼女にはそれが我慢ならないものだったらしい。

(ただ、黙って座るだけで家まで送ってあげるから、あたしを気にかけるような余計なことは言わないで欲しい)

しばらくして、彼女のそんな本音を聞いた時には心底びっくりして、そして同時にこうも思った。

ぼくは亭主関白には死んでもなれないな…

気をつかわれるより気をつかう方が好き

ぼくは、独身時代、付き合っている女性からあれやこれや色々と気にかけられると、ものすごく居心地が悪くなっていたんです。

冒頭のお話の彼女とも長続きはしませんでした。

自分一人の世界を大切にしたいとかではなくて(そんなたいした世界は持っていなかったし)、こちらを気にかけすぎて疲れないかな?と思ってしまい、ぼくへの気づかいに対する気疲れを感じていたんです。

どちらかというと、ぼくは女性に対して気をつかう方が好きなんだと思います。

それがなぜなのか、深く考えたことがなかったですが、多分、「ぼくに気をつかう」ことによって、相手が知らぬ間にストレスを抱え込んでしまったり、ぼくに悪いと思って悩みを言えなくなってしまうのを恐れているのかもしれません。

でも、女性に気をつかうことも行き過ぎると問題で、ぼくは大学時代の恋人に130万円を騙し取られたことがあったんです。

キャッシングカードを作ると5千円のクオカードをもらえるから作って欲しいと言われ、素直に作り「カードはあたしが破棄しておく」と言われ、これまた素直にカードを渡したら、キャッシング限度額満額までお金を引き出されていました。

その後も、父親が怪我して働けなくて生活が苦しいからお金を送って欲しいと言われ、ボーナスを丸々送ったり、毎月の給料から6万円を仕送りのように送ったり。

結局そのお金は返って来ませんでしたが、いい勉強にはなりました。

「人に気をつかう」というのは、「自分の意見を主張しない」ことでもあるのかなとも思うんです。

自分の意見を主張せずに、相手の話を聞いて、相手に合わせていれば「疲れずに」生きていける。

だけど、かつてのぼくのようにお金を騙し取られたり、自分が望む生き方ができなかったりと、自分が苦しむことにもなる。

じゃあ、自分の意見だけを強く主張して生きていけばいいのかというと、さっきも言ったように、ぼくは人に気をつかわれすぎると疲れてしまう。

”自分の主張はきちんとしてくれるけど、こちらもきちんと主張ができて、お互いに疲れない関係”

これがいいのかなと思っていて、最近になって、やっとそんな関係が妻との間にできつつあるような気がしているんです。

ただ、今も昔も、ぼくはやっぱり「わがまま」な女性が好きなんですよね。

「わがまま」と言うと語弊があるけれど、「自分の意見をきちんと主張してくれる」ことって、なかなか女性の気持ちを察することができないぼくら男にとっては、とっても助かるんです。

どれだけ妻の「わがまま」を引き出せるか

ただ、「女性が自分の意見を主張してくれた方が男は助かる」と言うと、女性としては、「言われる前に察してよ」ということになると思うんですよね。

それも重要だとは思うんです。確かに、妻から言われる前にこちらから動いた方が妻も助かるし、ぼくの経験からも、その方が妻からの評価は高いし、夫婦関係もよくなります。

でも、それなりに「察すること」が得意になったぼくでも、ついつい気づけない妻の感情があったり、自分の欲望に負けてしまって、自分のやりたいことを優先してしまうこともあるんですよね。

「妻の感情に寄り添う」ことが前提にはなるんですが、それでもカバーしきれないところはどうしても出てきしまうので、ぼくは妻に”もっとわがままになって欲しいな”といつも思っているんです。

「もう、なにもしたくない」
「子どもの相手をしたくない」
「ご飯なんて作りたくない」

こういうことをもっと言って欲しいなと思っていて、できるだけ妻には気持ちを話してもらおうといつも考えてます。

でも、思うんですが、これって”わがまま”とは違うと思うんですよね。

誰でも、ずっと子どもの相手をしていれば疲れてくるし、自分の時間がなくなってしまえば辛くなりますよね。

母親だから大丈夫なんてことはないわけですし。

でも、こういう家事や育児に関する辛い気持ちって、”愚痴”とかわがまま”って受け取る人が多い気がします。

特に女性自身がそう思っているんじゃないのかなって思うんです。

「母親なのに、子どもの相手をしたくないなんて、おかしいんじゃないかな...」
「母親なのに、泣き叫ぶ子を前にしてもうなにもしたくないなんて、おかしいんじゃないかな...」
「今は確かに辛いけど、それは当たり前だから我慢しなきゃ」

こういう気持ちって、”辛い感情”ではあるけれど、”わがまま”ではないんじゃないのかなって思うんです。

でも、母親としての女性自身は、「子どもより自分を優先すること」を「わがまま」と受け取って、自分を責め過ぎているんじゃないのかなって思うんです。

そんな「わがまま」をいっぱい引き出して、「それはわがままじゃないよ。誰もが感じる、当たり前の気持ちなんだよ。もっと自分を大切にしていいんだよ」って言ってあげられるのは、ぼくら夫なんじゃないのかなって思うんです。

それができるようになってくると、家事や育児の話だけではなくて、ちょっとしたことでも話してくれるようになるんですよね。

ちょっとしたことというのは、以前の記事で書いた「どうでもいいこと」です。

ぼくが妻の”わがまま”を好きなのは、妻の”わがまま”をどんどん引き出すことで、妻が自分自身を大切にしてくれるようになり、自分らしく生きられるようになるからなのかもしれません。

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