保活のため20ヶ所の保育園に電話をかけた話
「それは入ってからでないとわかりませんね…。」
「今はいいんですが、園長が変わってしまうとどうなるかわかりませんね…。」
どこもかしこも歯切れの悪い回答ばかりだった。
三男がもうすぐ1歳になるころ、妻は午後からの勤務の仕事に復職することになり、3人の子どもたち(3歳、3歳、0歳)を預けられる保育園を探して、ぼくは妻がリストアップした保育園に電話をかけ続けていた。
妻は午後勤務の仕事だが、制度上は朝から子どもを保育園に預けることができるらしい。
だけど、園の方針とやらのせいで、それが必ずしも実行されるわけではないらしい。
保育園の申し込み期限は目前に迫っていた。
このままだと3人の元気過ぎる子どもたちを保育園に預けられないまま、妻の復職が始まってしまう…。
ぼくは頭を抱えていた。
◇
ぼくらが住んでいる地域は保育園の数が多く、町外れの保育園は人気がないため、上限いっぱいまで応募をすればどこかの保育園に入れるようにはなってるんです。
でも、午後だけの勤務となるとそうはいかない可能性もあり、いざ園に入ってから「フルタイムじゃないとダメですね」なんて言われてしまっては困るため、事前に応募する保育園すべてに電話して確認することにしたんです。
妻には上限いっぱいまで保育園を選んで欲しいと伝え、20件ほどあったと思います。
かたっぱしから電話をかけていったのですが、どこもかしこも本当に歯切れが悪いんですよね。
明確に断ってくる保育園はなかったですが、「入ってみないとわからない」だとか「公立の園なので次の園長次第でダメになるかもしれない」だとか、責任回避するようなことばかり言われるんですね。
思えば、上の子たちを2歳まで預けていた小規模保育園でも、給食費を払っているのに「午後勤務だから給食は出さない」と言われたんですね。
妻が役所に確認したらそんなことはないと回答をもらい、それを園長(マツエクがものすごいカールしたおばちゃんだった)に伝えたら、次の日から妻の姿を見ると姿を隠してしまうようになったんです。
「あたしが保育園に行くと、園長が奥に引っ込んでいくんだよね」と妻が言っていました。
罪悪感なのかなんなのか…。
そんなこともあって、ぼくは保育園というもの自体に不信感を抱いていたんです。
たぶん、「午後勤務だから預けられない」という話も役所に持っていけば通る話だと思うんですが、園と揉めたくもないので初めから受けれ入れてくれるところを探すことにしたんです。
◇
妻に用意してもらった20件のリストすべてに電話をかけたのですが、「午後勤務でも朝から預かることは問題ない」と言ってくれたのはたったの一件でした。
「入ってみたらやっぱりダメでしたとかはありませんか?」
「園長が変わったらダメになりますとかないですか?」
断られつづけ疑り深くなっているぼくはしつこく確認したのですが、「なんの問題もありません。園長が変わっても大丈夫です」とはっきり言ってくれたんです。
その園は家族経営でしたので園長が変わることはめったになく、経営されているご夫妻がものすごくいい人たちで、自分たちの子どもたちだけでなく、身寄りのない子どもたちを何人も育てているような方たちだったんです。
以前、上の子たちを預けていた園の「マツエクがバリバリキマッていた、給食費をネコババした園長さん」とはえらい違いでした…。
「なんの問題もありません」と言ってくれた時はものすごく嬉しくて、迷わずその保育園を第一候補にぼくらは入れ、応募用紙を提出しました。
その園は町外れにあることと、クリスチャン系ということもあってかあまり人気がなく、ぼくらはすんなりと入園することができ、いまでも三男は元気いっぱいに通っています。
しかし、たかが保育園に子どもを入れるだけで、なんでこんなに苦労しないといけないんでしょうね?
しかも制度上は問題ないのに、午後勤務だというだけでどこもかしこも歯切れの悪い回答ばかり…。
20件も電話して、たった一件しか了承してくれないってどういうことなのか…?
子どもを園に預けられるルールが現場まで浸透してないし、給食費をネコババする園長さんもいるし、保活って思ったよりも大変でした。
これが保活のすべてじゃないだろうし、もっと大変なこともあると思うけど、ぼくにとっては「子どもを保育園に入れる大変さ」を学ぶことができた貴重な経験になりました。
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