見出し画像

オストメイトが公共のお風呂に入るのに役立つアイテム!ほっこり座談会vol.2 アルケア神藤さん♨

7月26日(金)に小杉湯で開催する"ENJOY YUAMI"のイベントを前に企画した、入浴お役立ちアイテムほっこり座談会♨。湯浴み着以外にも入浴に役立つアイテムはたくさん!メーカーの方から直々にご紹介いただき、気になる点を教えてどしどし教えてもらおうという企画。

2回目は、株式会社アルケアの神藤貴徳さん。結社のメンバーと、WOCナースマンこと永治雄太さんに同席いただき、入浴時におなかに貼ることで、パウチごとすっぽりカバーできる、バスラックシールをご推薦いただきました。

コロプラストからはわたなべゆりかさんが参加、コンパクトにたためる中身の透けない装具と、めくれを防げるテープをご紹介いただきました。その様子はvol.3で。

神藤さんのご紹介くださったのはバスラックシール。

アルケア バスラックシール

実は、人の目の錯覚を利用することで、人体の肌色になじませ、凸凹を目立たなくさせるというユニークな知見をとりいれたものなのだそう!これは、気になる!!!

神藤)「バスラックシールは、ストーマ装具を目立たせない、 お風呂で濡らさない、人目を気にせず入浴を楽しみたいという思いに寄り添いたいと、開発されたものです。

例えばNPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクト(SIUP)の実態調査報告書2020では、日常生活で困った経験として、60.2パーセントの方が、温泉に行けなくなったと回答しています。また、日本オストミー協会(JOA)の調査においても、同様に、公衆浴場、旅館、ホテルの大浴場利用状況とに関し65.3パーセントが利用しないと回答されています

背景としては、他の方の目が気になるとか、迷惑になってしまうんじゃないかというようなところから、公衆浴場の利用を避けてしまっていると考えられます。

そこで私たちとしましては、ストーマ装具を目立たせない、また人目を気にせずに楽しみたいというオストメイトに寄り添う製品の開発に至りました。」

れな)「では早速、どうしてこのシールがパウチを目立たせにくくするのか、その秘密を教えてください。」

神藤)「このシールを見ていただくと、まだらのデザインとなっています。

シール本体

こちらのまだら模様が、実は、装具が目立ちにくい「目隠し」機能になっております。

なぜまだら模様なのかというと・・・・皆さん、”錯視効果”ってご存じでしょうか。同じ丸の大きさが、周囲の図形などの影響を受けて、サイズが小さく見えたり大きく見えたりするというような。この、”錯視効果”に着眼しまして、その視覚、情報処理研究で著名な東京大学大学院 四本裕子教授に錯視のデザインを監修をしていただきました。」

神藤)「ストーマ装具の上からシールを貼付すると、どうしてもストーマ装具の凹凸が出て。それをどうにか改善できないかと。いろんな実験を行った末、このまだら模様が、1番(貼っていることが)目立たなかった、(凹凸の)ぼかし効果が高かったということで、採用しました。」

れな)「大学の先生の知見も取り入れて開発されたという部分、面白いなと思ったのですが、どんな経緯だったんでしょうか。」

神藤) 「四本教授の方の巻き込み方の背景に関しましては、堀が詳しいところで・・(急遽事情を知る、堀さんが登場!)」

堀)「四本先生が教室の学生さんたちと一緒に毎年コンテストに出していまして、それをたまたま開発のメンバーがテレビなどで見まして。で、これだ!と突撃をしたというところがあります。」

れな)「なるほど。じゃあ、錯覚みたいなのを利用しようと元々狙ったってよりは、ちょうどその先生方の研究が紹介されてるものを見て、これだ。と思って突撃したというストーリーなわけですね。」

堀)「やはり『目立たせたくない』ということで、それ以前から開発担当者は錯視のアイデアを持っていたようです。ただ、錯視については素人なので具体的なデザインまではたどり着けずにいた時に、テレビを通じてその領域に専門家がいるということを知ったという感じです。仕事をしていない時にもアンテナを張っていたことが今につながったのだと思います。」

れな)「では、再び神藤さん、”錯覚”の仕組みについてもう少し詳しく伺えますか。」

シールに貼られている剥離紙が透けて見えるほど薄い素材

神藤)「はい!実際手に取っていただくとお分かりいただけますが、肌の色に馴染む色合いとなっています。

また、シールの厚みがとても薄くて、肌の色も透けて見えるようになっています。反対側の剥離面が透けて見えると思います。

その透明の素材に、複数のベージュを重ねてまだら模様にしています

人の肌の色って皆さん違いますよね。なので、単色だと、皮膚との差が明確になって貼っていることがわかりやすくなりますが、フィルム自体に透け感があることで、肌の色と馴染みやすいような構造になっています

向こうが透けるほど薄い素材に様々な人の肌になじむよう、複数のベージュを重ねているのだそう

もう一つ、大きなサイズのバスラックシールを扱いやすくするための工夫があるそう。

バスラックシールと比べると仮止めシールはコンパクト。


神藤)「ここの半円のような形をしたもの、これが”仮留めシール”になります。バスラックシールを貼る前に、ストーマ装具をコンパクトにおなかに固定しておくことで、貼りやすくしています。」

まず仮留めシールを貼ってストーマ装具をおなかに固定する。
この上にバスラックシールをかぶせて貼る形になる。

神藤)「バスラックシールは全面粘着部になっておりますので、ストーマ装具のところにも粘着部がつきます。

仮留めシールは、バスラックシール本体よりも粘着力の低い粘着剤を使用しているので、剥がすときの装具への負担が少なくなります

さらに、これまで入浴シールで「扱いづらい」という声が少なくなかった剥離紙にも工夫を凝らしたのだといいます。

神藤)「剝離紙を剥がした時に何が起きるかというと、粘着面同士が引っ付いてしまい使いにくいというケースがあると思います。そこで、このバスラックシールは、あえて剥離紙を分割設計にしております。

真ん中の部分を先にはがして仮止めしたパウチの上に貼り、
最後に周辺部の剥離紙をはがしておなかに固定する。

真ん中の剥離紙をまずはがしていただきます。すると、その周りをぐるっと囲う4辺の剥離紙は残ったままになるので、角の粘着面同士が引っ付くことを防ぐことができます。

なので、真ん中を剥がして、お腹に貼ったのち、周りの剥離を剥がしていく。そうすることでストレスなく貼り付けることができる構造になっています。」

このシール、防水性が高く、シートに水が浸透しない設計。そのシールでパウチ全体をすっぽりカバーするので、入浴後パウチが濡れて乾かす手間もかからないそうです。さらに・・・

神藤)「バスラックシールに採用している粘着剤はゲルなので、非常に角質剥離が少ないです。シールそのものも、多少伸びるような形状になっています。お風呂に入る時って、体の動きがありますよね。もし固いシールですと、どうしても突っ張り感が出てしまいますけれども、ある程度伸びますので肌への負担少なくご使用いただけます。」

れな)「装具をはじめて見せていただいた時に、そもそもこんなにでこぼこで、人によっても全く違うであろうお腹に何日も貼りつけられるってことだけでもびっくりしたんですけど、 使いやすさとかお肌への優しさなどにもすごくこだわっておられるっていうのが印象的でした。当事者メンバーのみなさん、気になったことはありますか?」

kiyomi)「パウチが未使用のままでぺったんこの状態だから、綺麗に折りたためて ピタって仮止めテープ貼れたと思うんですけど、中のものが残っている状態だと、どれくらいまで折り込みができるのかなっていうのがちょっと気になりました。」

神藤)「基本的にご入浴される時は、中のものを出した後に折りたたむと思います。未使用の装具と比べると膨らみがある状況での使用とはなりますが、シールサイズが大きいため、装具をカバーすることができます

仮留めシールで止めてそのうえにシールを重ねて貼った状態はこうなる。


kiyomi)「私のイメージでは濡れた時って色が変わるイメージなんですけど、テープの色は変わらないんですか?」

神藤)「変わることはないかなと思います。防水性がありますので、ご安心いただければと思います。」

理美容師として活躍するヒロシさん。ストーマ歴7年、ウロストミー。

ヒロシさん)別のメーカーさんのシールを使った時に、かなり貼りにくくて。。。シールの厚みもあるので、お風呂につかっていると上からぺろってめくれてきたりとかあったんですけど、このアルケアさんのやつ、 サンプルいただいて使ったんですよ。そしたら、かなり貼りやすかったです。仮止めシールでペタって貼って、その上からまた大きいシールを貼るので、あんまり浮きがないし。シールの周りの部分がまるまる別の剥離紙になってるも、すごく貼りやすかったです。上下の余裕もあるから使いやすいのかなっていうのは思いました。」

れな)「さっき、お肌の負担が少ないというご説明がありましたが、その辺りの実感っていかがですか。」

ヒロシ)かなり肌に優しいと思います。前試したのは、絆創膏みたいなシールなんで、剥がした時にそのシールの形のまんま真っ赤になるんですよ。そう。だから、ばーっとお湯をかけてふやかしてから剥がさないと、 僕、肌が弱いので真っ赤になるんですけど、アルケアさんのはそれが全くなかったですね。1回だけなんで、なんとも言えないですけど。」

れな)「一度、そういう痛い目にあうと、じゃあもうやめようみたいなふうになっちゃう部分あるかもしれませんね。maiさんは、こういうシールって使ったことありましたか。」

オストメイトの小学生の女の子のお母さんのmaiさん。画面に入りきれず・・!

mai)「どこのメーカーさんかわからないんですけど、試したことあるんですね。そしたら使いづらくって試しの段階でやめちゃったんです。今見せていただいた 膨らみのあるところも、粘着ってあるんですかね?」

神藤)「はい、全面粘着部になります。」

mai)「綺麗に剥がせるもんなんですかね。プールでも使えます?」

神藤)「そうですね。プールでの使用はメーカーとしてはちょっと推奨はしていないというところですね。」

mai)「お風呂から上がったら、綺麗に剥がせます?」

神藤)「肌に優しい粘着剤を使用していることやシール本体よりも粘着力を弱く設計されている仮留めシールで装具をカバーしていますので、きれいに剥がすことは可能だと思います。」

れな)「実は事前のヒアリングで、さっきのヒロシさんやmaiさんもおっしゃってたように、このシールタイプの入浴用アイテムでつまずいてる方の複数の声を聞いてたので、 すみません苦笑、使いづらいのかなぁっていう思い込みがありました。製品によって長所が違うし、それぞれの製品も進化し続けていると。一社試して、イマイチだったからあきらめちゃうって、実はもったいないのかもしれませんね。WOCナースマンの永治さん、いかがですか?」

永治)「私も以前、他の メーカーさんの入浴用シールで動画を作ったことがあって。どうしても剥がれちゃったりとかしたので、こちらの製品はどうなのかなって。それと、皮膚に優しい素材で粘着部が作られているっていうことは、私たちの領域からすると、剥がれやすかったりするんじゃないのかなって、ちょっと気になっちゃう部分ですね。」

忌憚ない意見をアッとホームな雰囲気でお尋ねする結社メンバーたち

神藤)「どのシールでもいえることではありますが、シールを貼った時にちょうど鼠径部に当たってしまったりとか、しわが深いところに当たってしまったりというケースですと、剥がれてしまう可能性があるかなと思います。

それと、実際の入浴時の使用感について、私たちアルケアは4月1日に温泉ツアーを実施したのですが、ご参加いただいた方にこのバスラックシールを使用していただいたところ、入浴中にはがれることなく使用することができ、非常に気に入って頂けた、というエピソードもあります。安心して使っていただけるものにはなるのかなと思っています。」

永治)「あと、プールの話が出たと思うんですけれども、激しい体のねじれとかそういうのに対応できるのか、実験とかされているんでしたら教えてほしいです!」

神藤)「(プールでの使用を想定していなかったため、)体の動きにどう対応できているかっていう点に関しましては、まだ実験をしておりませんので、現段階ではメーカーからは使用できますというような回答ができないというような状況です。今後の課題かなとは思っております。」

れな)「これは、永治さん、実験するしかないですね。あ、みなさん永治さんはWOCナースマンという形でYoutubeで色々な実験をして発信してくれているんですよね。神藤さんにサンプルをご提供いただけたら永治さんに激しく泳いで実験いただくなんてこともありますかね笑。(※冗談です)」

永治)「プールに実際に行くって感じですね。ちょっと検討させてもらっていいですか。(真顔で)」

ということで、WOCナースマンに新規動画制作の依頼を無責任に出したところで、アルケアのバスラックシールについてのお話は終了!神藤さん、想定していないことまで質問に答えていただき、ありがとうございます。ごめんなさい。小学生のオストメイトのお母さんはぜひプールでも使えるようになったら嬉しい!と話してくれました。次回は、コロプラストのゆりかさんのお話です。

BEAMSに開発頂いた、湯浴み着のお披露目イベントは、7月26日(金)高円寺の小杉湯で行います。女性はキャンセル待ちです、要事前申し込みです。詳しくはこちらから。

※アッと♡ストーマの記事や活動はメンバー個人のものであり、所属する組織や団体とは関係ありません。

※『オストメイトといっしょ!秘密結社アッと♡ストーマ』誕生経緯についてはこちらをご覧ください。

※BEAMSが湯あみ着を開発してくれた件についての記事はこちら!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?