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コネクテッドフィットネスの先駆者「Peloton(ペロトン)」、2021年度以降の戦略に関するWSJインタビューメモ

IMAGE SOURCE: PELOTON.
こんにちわ

■ 決算に関して

 11/5(米国時間)、Pelotonの2021年度の最初の決算(Q1)が発表されました。Pelotonが前回のガイダンスを上回るもの、ある程度予想通りの着地でした。

内的事情では、散々バイクの配送が遅いとか、リコール問題など、急成長が故に起こったアクシデントがありました。外的事情では、Apple Fitness+などの発表(提供は年末?)がありました。

そうした中での数字だったので素晴らしいなと思います(※個人的な印象です、正直目標無理じゃないかと思っていたので・・)。

決算の詳細は他の皆様がやられていると思うので、簡単に振り返りますと、サブスクリプション会員が133万人(四半期で24.3万人増加)、月平均のワークアウト数は20.7回(前回の24.7回から下落)、そして、グラフにはないですが、平均解約率は0.65%(前回は0.52%)という数字でした。また、いわゆるアプリ?メンバーシップ会員は、360万人(前回310万人)と約50万人ほど増えていました

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そして、2021年の予想ガイダンスも少し引き上げられて、2021年度全体では、サブスクリプション会員217万人〜(前回は210-215)解約率は0.9%(前回1.0%)となっております。

なお、今回売上が想定よりも伸びておりますが、それはバイクではなく、単価の高いトレッドミルが売り上げに寄与したからだそうです。そして、先日発表した、「Bike+」という新商品や、「トレッドミル(12/26発売)」の新商品は今回の数字にはほぼ含まれていません(※届いてないですしw)。

ただし、現状、そもそもの生産可能数が限られているので、今後Pelotonが出す予想売上を飛び抜けることはないと思います。それもあり、今年はとにかく製造拠点を増強することを強調していましたw 

バイク配送遅延問題に関しては、今年の年末までにバイクを通常通りの日数で配送できるように目指すとのことですw(Bike+配送の遅れの要因は、コロナによる倉庫閉鎖の影響もあったそうです。)荒治療をするので次回は利益減るけどごめんね。とも。

ワークアウト数が20回に減ったことの見解ですが、コロナ自粛も終わっているエリアもあるので「減って当然」という印象です。月平均20回(週5回)やるっていうのはすごいと思います。ほぼ毎日ジムに通っているということです。

なお、サービスに関しても触れており、現在の提供しているプログラム数は17,000タイトル、そして、それらは現在までに合計約9000万回利用されたそうです。Q2では2,400以上のクラスを提供する予定です(つまり月800本=27本/日ペース)。これもはやすべてのプログラムを消化することは不可能レベルw

最後に、新地域への発表はありませんでした。まずは、現状の配送状況や展開エリア内での浸透を重視する方針なのだと思います。

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■ Pelotonの現在の状況

 とはいえ、Pelotonは、コネクテッドフィットネスという領域では圧倒的なリーディングカンパニーとなっていきます。今後どのように成長していくのか気になるところではあります。下記のツイートでも(3-4ヶ月待ちwといわれつつ)長期的に期待が伺えます。

世界情勢をみると、ヨーロッパではコロナの第2波が深刻な状況になってきております。

バーやレストラン、ジム、社会生活の維持に必要不可欠ではない店舗は5日から閉鎖される。

前回と比べ学校などは継続して行われるそうですが、今年の年末商戦は、オンラインを中心に行われることが明白となってきました。もちろんアメリカも、コロナ患者自体は多いので、それなりにオンラインへの比重は強くなるのではないかと思っています。

そうするとどのようにフィットネスをしようかと考えた時に、今年の春と同様にオンラインでのフィットネス(=「コネクテッドフィットネス」と今後言います)が引き続き流行る流れは変わらないのではないかと思います。

昨年性的批判だと大炎上を起こしたPelotonのTVCM(後述記載)ですが、昨日UKからクリスマス商戦に向けての広告が始まったようです。今回はファミリーをターゲットとしているようです。

■ (余談)日本で来年のトレンドに

 そして、余談ですが、日本でも先日発表された日経トレンディが発表した2021年のヒット予想でも「自宅”暗闇”バイク」なるものが21位に入っていました。すこしずつ日本でも広がるかもしれないですね!周囲でやっていると聞いた人はいませんがw

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■ ここからが本題です!前置き長くてすみません。

今回は、今までの既存フィットネスとは違うコネクテッドフィットネスのマーケティング戦略のポイントについて考えました。

このきっかけは、10月23日に、WSJで『How Peloton Plans to Keep Growing After the Pandemic Ends /  コロナが終わった後Pelotonはどのように成長を続けていくのか 』というタイトルで出された PelotonのCFO Jill Woodworth さんのインタビューです。

これを読んで、「この記事は今後のコネクテッドフィットネスやオンラインサービスを考える上で、興味深い示唆がいくつか示されているな」と感じたのでまとめてみようと思います。原文はこちらのリンクです(日本語版なし・・)。

結論を申し上げると、「既存のフィットネスとは全く異なる戦略なので、正直通常のフィットネスが急にシフトしようと思ってもなかなかできない」なと思いました。

ぜひアメリカの勢いのある企業の考え方や方針などを参考にしたい方、ちょっとペロトンでウンチクを語ってみたい方は読んでやってくださいw

はじめに

 Pelotonについてもしまだご存知でない方がいたら下記の過去にまとめを以前書きましたのでご参考にしてください。

Pelotonは、今やアメリカで知らない人はいないと言われるくらい話題になっているフィットネスの会社です。2020年のアメリカの株式市場で、Zoomに次いで上昇率が高い株として注目された企業です。

Pelotonは、現在、アメリカ、イギリス、ドイツでサービスを展開しており、サブスクリプション会員数は、9月末時点で133万人を超えています。かなりの規模まで拡大していますが、今後はどうなるのでしょうか?

実際のインタビューを訳しながら考察を加えながら読んでいきたいと思います。英語は意訳になりますので読みにくい部分があったらごめんなさい。

1 ジムの市場について

 最初に、Jill Woodworthさんは下記のように話しました(以降使われている数値は、2020決算のものです)。

ジムの会員は、世界中で1億8000万人以上いると言われているが、我々のプラットフォームはまだわずか310万人の会員(内100万人がバイクやトレッドミルの有料会員)しかいません。コロナの影響もあり、かなりの割合でジムに戻らない人が出るのではないかと考えている。そこで、コネクテッドフィットネスの第一人者の利点を活かしかなり早く事業を成長させていくことが大事だと考えている。

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(引用)https://www.statista.com/statistics/273069/members-of-health-clubs-worldwide-by-region/

実際にStatistaのデータによると、確かに2019年でフィットネスの会員は世界で1億8000万人いるようです。詳細の地域内訳を数字で表示したのは下記です(単位はmillion)。

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北アメリカで約7,000万人、ヨーロッパで約6,500万人、その他の地域で約5,000万人という市場です。

現在Pelotonの提供地域は、アメリカ 、カナダ、イギリス、ドイツです。イギリス・ドイツはサービスを初めてあまり経っていないので、仮に約100万人がアメリカの会員だと仮定した場合、Pelotonのフィットネスシェア率というのは、100万人/7000万人=1.5%だということになります。アプリをDLした登録会員を300万人としても、4%です。

果たしてこれはどれくらい多いのでしょうか?参考までに、大手フィットネスチェーンの会員数を調べてみました。

■ PLANET FITNESS  / 10 million(2017時点)
■ 24 Hour Fitness  / 4 million(2019時点)
■ ANY TIME FiTNESS / 4 million(2019時点)
■ Gold’s Gym     / 3million(2020時点)

それで比較すると、100万人という数字は、インタビューの通りまだ大きな数字ではないかもしれません。

一方で、フィットネスブランドとして比較すると、例えば、NIKEの会員数が約1億人いると言われているので、300万人という数字は全然少ない数です。ちなみに、最近見つけたアメリカ の調査で、24-36歳の中で最も高い”must-have”ブランドになっており、かなり熱いブランドということがわかります。

では、続きを読んでいきます。コロナが空けてくることにより、通常のジムとどのように差別化していくのでしょうか。

現在他のジムとのダブルメンバー会員の割合は、2年前の60%から40%まで減った。なぜなら我々はフィットネスの提供の幅をを増やしているから。最近は、バレイをインスパイアしたワークアウトを出した。
私たちの信念は、Pelotonメンバーは、(他のことをする必要なく)徐々にそれだけで事足りるようにしていくことです。

”バレイフィットネス”???

なんだろうと思ったのですが、決算で下記のように語られてわかりました。

Strength training is a key pillar of fitness and is a top priority for our teams. In Q1, we increased and improved our strength programming through the introduction of new strength classes in our existing formats and introduced two new exciting strength offerings: Bike Bootcamp and Barre. (2021,Q1決算より)

Bike Bootcampという、バイクに乗ったり降りたりしながらするエクササイズと、Barreです。Barreに関しては、顧客からの要望がとても多かったんだとか。なお、Bike Bootcampは、すでに35万回のワークアウトがあり、Barreに関しては、公開して10日間で、約53万回のワークアウトがあったそうです。

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■ Barre とは??

 「バレエ×フィットネス」は聞いたことがなかったのでどんなのか調べてみると、LES MILLSで動画がありましたので貼っておきます。動きが本当にバレイです。

日本でも美尻王子と呼ばれる竹田純先生がやってました。

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そうした意味で、

「Pelotonは様々なフィットネスをカバーしていく=Pelotonだけで事足りるようにしていく=他のジムに目移りしないようにしていく」

戦略をとっているようです。その詳細については次に語れていました。

2 新商品を投下した狙いは?

 次に新しいバイクとトレッドミルの発売に関してのことについて聞いています。

コネクテッドフィットネスの市場で勝っていくためには、「cardio=有酸素運動」で勝たなければならない、そして、「Strength training=筋力トレーニング」でも勝たなければならない。なぜならフィットネスはこの2つの柱で構成されているから。我々は今、バイクにおいては、”better, best”なポートフォリオを持っている。そして、新しいトレッドミルを発売することによりこちらも”better, best”なポートフォリオを持った。
ただし、我々はたくさんの新商品をリリースするつもりはない。有酸素運動をするための最適な商品を提供したまでです。そして、筋力トレーニングに関しては、よりデジタルコンテンツ(中身)に力を入れていきます。ハードウェアに多額の投資の必要はありません。なぜならば、ほとんどの筋力トレーニングは、自重トレーニング、フリーウェイトとレジスタンスバンドのセットがあれば大丈夫だからです。そして、もし我々が有酸素と筋力トレーニングで勝つことができれば、究極的に人々はジムに行く必要がなく、家で全てできてしまいます。

つまり図に表すとこんな感じです。2つの有酸素運動を軸に展開していくのです。

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有酸素運動のデメリットは、筋力が鍛えられないところで、筋力トレーニングのデメリットは有酸素(心拍数)トレーニングができないところです。まさに「自宅にトレーナー付きのジムを作ってしまおう」という発想ですね。だからこそ、色々なメニューを増やしているのだと理解しました。

そして、そんな筋力トレーニングの増加を課題として考えるPelotonは、前述でもあったような、「Bike Bootcamp」と 「Barre」を追加したのです。

■ 専門フィットネスの苦悩

 話は少しそれますが、トレーニングの種類というのは、専門ジャンルに特化したジムにとっては、ジャンルを広げるのが難しいため、とても悩ましい問題だと思っています。

例えば、同じバイクエクササイズのSoulcycle(日本だとFeelcycleなど)のような有酸素に特化したジムは、とても面白い体験ができますが、会費がそれなりに高くなります(1回30ドルとか)。そして、そこでは、筋力トレーニングは実施していません(多少のダンベルはあります)。

そこで、いざ筋力トレーニングをしようと思うと、マシンのある別のジムに入る必要があり、二重にお金がかかってしまいます。また、もし体が硬いなどでストレッチなども必要な場合は、ヨガクラスやピラティスクラスに追加で入る必要があります。

■ 健康に必要なフィットネスとは??

 健康を維持するということを考える上でとても有名な本の内容を引用したいと思います。「脳を鍛えるには運動しかない!」という本です。

そこでは運動というのが健康維持、老化防止に大きな役割を果たすことを科学的に証明されました。そこで必要なエクササイズは、下記です。

■ 60歳以上はほぼ毎日(週6日)運動することが望ましい
■ 運動のプランを立てる上では4つの領域をカバーすることが望ましい。それは「有酸素運動」「筋力効果」「バランス」「柔軟性」である。
■ 有酸素運動・・・週に4回、30分〜1時間、最大心拍数の60−65%の運動をする(※最大心拍数は、220-年齢が目安です)、週に2回は、20〜30分、最大心拍数の70-75%の運動をする
■ 筋力トレーニング・・・週に2回、ダンベルかトレーニングマシンを使った筋力トレーニングを無理のない重さで10〜15回を3セット(※筋トレは筋肉と共に骨のの衰えも防いでくれます)、なお、テニス・ダンス・エアロビクス・縄跳び・ランニングも骨強化には良いと言われています。
■ バランスと柔軟性・・・週に2回、バランスと柔軟性を重視した運動。例えば、ヨガ、ピラティス、太極拳、ダンスなど(バランスボールやボスでもOK)。これは有酸素と筋トレを続けるために必要な要素だそうです。

長くなってしまいましたが、アスリートを目指している人以外は、健康維持が大きな目標となっているので、有酸素運動だけ、筋力トレーニングだけ、では片手落ちのフィットネスになるます。

そうした時、月額39$で、有酸素も筋力トレーニング、ストレッチもまるっとできるフィットネスはとても便利なのだと思います。それをPelotonが目指しているのではないかと思います。

エゴサしていると、こんな微笑ましい投稿を見つけました。まさにこういうことなんだと思いますw(自分もこういうのあれば親に買おうかなと思いました)

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Pelotonのバリエーション展開は、如実にエクササイズ回数に反映されており、2019年は月平均12回だったワークアウト数が2020年では、平均24.7回ワークアウトをしているという実績が出ました。それでもし、Pelotonユーザーが非ユーザーよりも健康になれるというようなニュースが出たら、ますますPelotonをするようになるでしょう。

そうして、Pelotonに慣れてしまうと、外のジムには、たまに人恋しく行くくらいになりそうです。

3 Mirrorのようなサービスは検討しているか?

 最近、Mirrorフィットネスが流行っています。例えば、Lululemon ルルレモンが最近Mirrorを買収しました。

それについて語っています。

デジタルコンテンツの利便性の拡大は我々にとっても大きな焦点の一つだった。ただし、我々にとっては、Mirrorは本質的には、自宅の中でコンテンツが提供される新しい画面の一つにすぎないと捉えている。例えば、あなたが我々のアプリをダウンロードすると、それは、携帯だけでなく、iPadやパソコンにつなげれる。さらに最近では、AppleTVや、Roku、Amazon FireTV、Samsungが出しているAndroid TVsのようなTVコネクト媒体ともつなげることができる。そして、それが意味するのは、それらが家にあるものの中で、鏡よりも便利なスクリーンだということです。

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Rokuとは今年の7月に提携したようです。確かに、最近のテレビは大きい画面です。大体40インチ以上が普通になっているのではないでしょうか?(ましてやPelotonがターゲットとする高所得者層は、もっと大きな画面を持っていると思います。)

そうすると、わざわざ鏡の前に立ってやる必要はないかもしれません・・。もうYouTubeとかNetflixとかと同じような感覚でPelotonをやるのでしょうね。

あとは、決算の際に話していましたが、新しいプログラムである「Bike Bootcamp」は、バイクを乗ったり降りたりするプログラムです。再掲の動画になりますが、このCMでもあるように、新商品のBike+の画面の向きを自由に変えれるという特徴を活かしながらやるプログラムです(まだほとんどのユーザーに届いていないですがw)。

旧型バイクの人は、(モニターの向きを変えれない代わりに)それをテレビ画面に移してやってほしいと言っていました。

さて次の項目に移ります。

4 バイクやトレッドミルの価格について(安くても2,000ドルする)

 10万円位用意すれば、Amazonとかで何かしらのホームフィットネスバイクとタブレットを用意することができます。そうした中、Pelotonは、2000ドルを超えてます。そうした金額に関してのコメントです。

我々自身も、Pelotonの製品を買う値段が最も大きな障害になると理解していた。そのため、商品の製品価格についての調査をたくさん実施した。そして、我々が大規模に製品を作り、そして数少ないモデルに絞ることにより、今後コスト効率化に繋がり、結果顧客の費用節約への道だと信じている。
現状、今回の新モデル発売のために、過去の旧モデルを下げる、以外での価格に対しての施策はないが、将来的に我々は、サプライチェーンの改良、そして自動化、効率化していくこことにより、最終的に顧客が我々の製品をより利用しやすく、手ごろな価格で入手しやすくしたいと考えている。
しかしながら、価格を下げるために商品自体の形や部品などのクオリティを減らすことはしないので、製品の質の低下を心配する必要はない

このあたりの話を決算で補足しておきます。

今回、トレッドミルの売上は良かったものの、旧型バイクの値段を下げたことによりバイクの売上が一部落ちました。現在の(Connected fitness segment)売上高構成をみると、79%($601.4 million)が機器の売上です(※この売り上げは、新規会員増加と新機種による買い替えによるものなので、上昇幅には限界があ流のではと思っています)。

そして、この構成比を今後減らしていくそうです。目標数値をどこかで見たのですが、見つけたら更新しておきます。

またサプライチェーンの改良という観点では、製造拠点である台湾の施設の増強を行い、生産可能数の拡大を実施していくそうです。実際に、Pelotonの求人をみると現在約600名ほどのポジションを探していますw この辺りが数値に出てくるのが、Q3あたりからかと思っています。

前回のnoteでも書いたのですが、Pelotonは、自ら製造し、自らのスタッフ・トラックで顧客の家まで配達します。さらに、製品を自宅に設置してくれます。Amazonで頼んで、どこかの配達員が配達するのとは違います。そうしたサービスまで全部含めての価格になります。

余談ですが、Ivanka TrumpもPeloton配達員に配達してもらったようです。それがニュースになるという面白さw

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5 今後の海外展開、成長戦略について

次に、どのような戦略をもってサービスを広げていくのかについて話しています。現在Pelotonは、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダでサービスを展開していますが・・

アメリカ、イギリス、ドイツは、世界でNo1,2,3の市場です。そして、アメリカ以外の国でのPelotonのブランド認知はまだまだ初期の成長ステージです。そして、その市場ではかなりの成長余地をまだ持っています。もちろん私たちは国際的に広げていきますが、現時点でその他の国に関しては公表できることはありません。

ちなみに、最初の市場で紹介したstatistaのデータによると、フィットネス人口は、イギリス1000万人、ドイツ1166万人だそうです(2019年)。ちなみに、日本は320万人だそうなので、市場としては3−4倍です。日本人がこんなにもジムをやっていないかということは驚きですが・・

そう考えると、まずは英語圏が通じるヨーロッパを中心に今後は展開していくのかなと思います。

ちなみにヨーロッパのフィットネス市場を分析したデロイトが出しているこのレポートによると、ドイツ、イギリスは群を抜いています。次点として、フランス、イタリア、スペインの市場が大きそうです。

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昔ヨーロッパの、インドアサイクルについて調べていたのですが、あまり大きなチェーンはありませんでしたが、いろいろな店舗があります。例えば、フランスだと、DynamoCyclingが5店舗くらい展開しています。

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また、成長戦略に関して下記のように述べられています。

ペロトンはまだ若い会社です。もし我々が世界的なコネクテッドプラットフォームのリーダーになりたいのであれば、利益性よりも成長性をとります。それは、積極的な新商品への開発や、製造拠点の拡大、新しいソフトウェアの導入、そしてプログラミングの強化です。バイクの価格を下げた理由は、私たちは時間の経過とともに、トップラインで成長できることを知っているからです。

そして、データの扱いに関してです。

我々は、サードパーティにデータは共有しません。それは、我々のコンテンツのブラッシュアップと改良に絶えず利用します。もしあなたが新しいバイクの提案(例えば、インストラスターからの負荷チェンジにおいて、手動からボタン一つで自動で変更するシステムの導入)をみたら、それはメンバーからの要望を満たしているのです。我々はそれがどれくらい使われたか絶えず追いかけています。すべては我々のプログラムをよくするために。
また、さらにはデータを下記のようにも使います。例えば、もしあなたがメンバーでPelotonを使用していないことが認識されると我々からプラットフォームに参加してほしいという連絡を行います。
ただし、そのような言い方ではなく、とても親しみやすい方法です。それは、「新しいクラスの提案」や「ライブラリーの追加」です。こうした連絡が実は、我々のプログラムを長く楽しんでもらうための行為とは驚くかもしれません。

実際にPelotonは、こうした研究開発費に多額のお金をかけています。今回の決算で出された数字としては約40億円($36.6 million/前年比110%)です。

また、改良の例として、”Skip Intro”という機能が追加されたとのことです。これは何かというと、NetflixとかでよくあるOP飛ばしです。Pelotonも最初にプログラムの説明とかが入るのでしょうが、それを飛ばしてすぐにレッスンに入レルようになったようです。

その他には、クラスが終わった後にそれをすぐにSNSで紹介できる機能をつけたようです。

6 年末のキャンペーンは?

また、昨年の年末、Pelotonが展開したTVCMが、性差別だと大きな批判を産みました。それについてコミュニケーション展開を聞いています。

<気になる動画はこちら、そして下の解説をお読みください。僕はこれで炎上するんだ・・と思いました。>

私たちは多くのことを学びました。明白なことは、フィットネスそれ自体が人々のマインドの中に既に定着していることを考慮した時に、私たちがどのように伝えるかということに関しては、より気を付けなければならないと感じています。

そして、こちらも再掲になりますが、今回のキャンペーン(英国)は、ファミリーにフォーカスするそうです。

個人に1台というよりも、家族に1台という感じで、テレビがあるようにPelotonも普通にあるというような訴求なのだと思います。

7 コロナによる顧客層の変化はどんなものだったか?

コロナによる集客の影響を聞かれています。

データでも物語っておりますが、我々が2020年に販売したバイクの約50%は、年収が10万ドル(1050万円)以下の世帯でした。10万ドル以下の世帯の割合は、2014年の29%から2020年には46%に増えました。そして、35歳以下の割合も同期間で16%から31%と倍増しました。そして、その世代は最も伸びています。
つまり、現在のサブスクリプション契約が約100万人とした時に、約半分の層が年収10万ドル層であり、35歳以下の層はまだ3割程度であるということが伺えます。

ちなみに、世帯年収として、1050万円(10万ドル)という数字が出ていますが、これはアメリカでどの程度かというと全体の20%がそれにあたります。つまり全世帯数1億2800万あるので、その1/5である約2,500万世帯が10万ドル以上、残りの約1億世帯がそれ以下ということになります。

そうした意味でいうと、100万台の56%が10万ドル世帯=56万台しか、10万ドル層の中で普及していないので、アメリカ国内でもまだまだ伸びる見込みはありそうです。

ちなみに、購入時には、月々の支払いのローンも組めますので、そうしたことが10万ドル以下層での普及に貢献しているのだと思いました。

おわりに

今回の内容をざっくりとまとめていきますと、

▷ Pelotonは現在アメリカ国内でのジムシェアは1.5%程度まだ成長段階であり、積極的展開を行う(とにかくコネクテッドフィットネスでNo1になることが一番の目標)
▷ 若年層内でも人気であり、"Peloton"を持つことがステータスとなっていそう
▷ 今後はあらゆるフィットネスプログラムを対応していき、それだけで事足りるようにする(他のジムに行く理由をなくす)
▷ カスタマーリクエストをどんどん取り入れ改良していくので、今後は、その土地で流行っているエクササイズを取り入れるかもしれない(ダンスとか、太極拳とか・・)
▷ データは自社のもの。サードパーティには共有しない。
▷ リサーチ&研究開発費はとにかく大事!
▷ アジアや日本にはまだこなさそう・・

以上です、

そして、改めて他のフィットネスと大きく異なるなと思ったことは、「インストラクターが少ない=精鋭のみ」ということです。

普通のジムだと各店舗にインストラクターを派遣して、運営をしていないといけないのですが、Pelotonに関しては、中継スタジオ以外ないので、ほとんどいません。

実際に17,000ものバラエティーに富んだプログラム展開をし、社員も1,000人を超えているのに、Webサイトに掲載されている人数は34人しかいません。内訳としては、花形のバイクが21人トレッドミルが12人ヨガが6人(重複が数名あり)という構成(2020年11月時点)でした。そのメンバーだけで世界4カ国を行っているのですから相当効率が良いし、相当優秀なインストラクターしかいないということになります。

実際に採用されるまでのエピソードを紹介されたブログがありました。

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例えばADRIANは、オーディションに約6ヶ月かかったそうです。そして、さらにデビューするまで約6ヶ月トレーニングしたそうです。それくらいまでにこのメンバーになることはすごいのだとわかります。

その他には、Leanne Hainsbyという人は、3歳からダンスをはじめ、Taylor Swift、Kylie Minogue、Katy Perryのバックダンサーを勤めた人だそうです。

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そして、気になる給与を調べてみましたw
確証は得られませんが、あるサイトによると多い人で30万ドル(3000万円)/年の収入があるようです。Soulcycleでも5万ドルくらいと言われているので、相当すごいポジションです。

それほどまでに、憧れ・スターという感じになるのでしょう。実際にそれぞれがSNSを運用し、インフルエンサーとして活躍してます。実際に人気の高い2人をあげると、すごいフォロワー数がいます。

ALLY LOVE さん 46万人
https://www.instagram.com/allymisslove/

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Robin Arzón さん 60万人
https://www.instagram.com/robinnyc/

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そうしたことがよりますます、Pelotonを信仰化させ、いわゆるPeloton信者を生み出す要因になっているんだなと思います。もしかしたら子供たちの将来の希望として、俳優やタレントと同じく、Pelotonのインストラクターという日も近いかもしれません。

ということで、ざっとインタビュー記事を訳そうと思っただけなのに、長文となってしまいました。本当にすみません、またありがとうございます。

もし宜しければ、ここまで付き合っていただいたということでいいねも押していただけると幸いですmm

では、さようなら。

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